第48話   唯コーチと海、午後のカフェ




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※この物語に登場する組織やルールは架空のものであり、実在する組織とは無関係のフィクション作品です。 ※この物語の舞台は、実世界におけるITUやJTUが存在しない、完全にオリジナルな異世界です。ここではトライアスロンは独自の歴史と発展を遂げ、従来の枠にとらわれない革新的な競技となりました。その結果、最高権威を持つ組織して誕生したのが「インフィニティ・トライアスロン・フェデレーション(ITF)」です。ITFは、自由な装備選択や革新的なルールを推進することで、選手たちが個性と戦略を存分に発揮できる環境を提供し、この世界におけるトライアスロン競技の基盤となっています。

登場人物紹介

  • 近江 海(おうみ うみ) チーム「TRY REX」のリーダー。介護福祉士。あの夏の夜以来、唯コーチを強く意識しており、トライアスロンへの情熱も一層燃え上がっている。
  • 中野 直也(なかの なおや) 元空手道全国大会優勝者。“秒殺”の伝説を持つチームのムードメーカー。豪快な言動とは裏腹に、仲間を守るという強い信念を持つ。
  • 糸川 陽子(いとかわ ようこ) 会社事務員。“努力の天才”と呼ばれる心優しいメンバー。「島の国トライアスロン」でのトップ選手の激闘に感動し、練習への意欲を新たにしている。
  • 速水 唯(はやみ ゆい) 元学生水泳全国大会無敗の伝説を持つ美人コーチ。明るい笑顔と的確な指導でチームを導く。最近、リーダーである海へ特別な視線を向けることが増えた。
  • 植田 亮一(うえだ りょういち) スポーツメーカー「ファルコンスポーツ」の天才技術者。常にタブレットでデータを収集・分析する理論派。チームの活動を科学的見地からサポートする。

ーーーーーーーーーーーーーー 本編 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



約束の土曜日が来た・・・。


午前10時


カーテンの隙間から光が差し込む・・・いつもより眩し・・。

僕はベッドから起き上がると、大きく伸びをした。

窓の外は、雲が一つもない晴天だ!

トライアスロンの練習には絶好の日だが、今日は僕の心拍数を上げている理由があった・・・

僕は心の中で・・「午後2時、駅前のカフェで」




唯コーチとの約束を思い出すと、落ち着かないな・・・


僕は心の中で・・『チームの目標とか、具体的な練習メニューの話』・・・だよな・・・

あくまでコーチとリーダーとしての作戦会議なんだ。そうそう・・・


あの時の彼女の表情は、ただのコーチのそれだけではなかったように思うんだけどね。結局、僕は一番シンプルで自分らしい白のTシャツと、細身のスキニージーンズを選んだ。

変に気合いを入れて失敗するのも嫌だったから・・・何を失敗するんでしょう??まあまあ・・・






午後1時50分  駅前のカフェ「ソラリス」



僕は少し早く着きすぎてしまい、窓際の席に座ってアイスコーヒーを飲みながら、落ち着きなく通りを眺めていた。

心臓がドクドクと鳴っているのがわかる・・よくあっている人なのになぜか緊張する。なぜかってそりゃやっぱり意識しすぎているからでしょう・・・と同じことを頭の中で反芻思考しながら通りを眺めていんた。


唯コーチ「海さん、お待たせ!」

急に背後からかけられたトーンの高い明るい声に、僕は慌てて振り返った。
その目に飛び込んできたのは、息を呑むほど・・・美しい・・・普段とは全く違う雰囲気の唯コーチだった・・。

僕は心の中で・・「わぁ〜」思わず、言葉を失う。


綺麗だ。言ってしまった・・・心の中だからよかった・・・セーフ!


まあ、その一言しか浮かんでこなかったが。



彼女は、いつもプールサイドやランニングコースで見せるスポーティーな格好とはまるで違って見えた。

唯コーチ「ご、ごめん!待ちました?」

僕が呆然として唯コーチを見つめているのに気づいたのか、彼女は少し頬を赤くしながら席に座った。



海「ううん、全然・・・僕も今来たとこだから」

少し間をおいて・・
海「それと、その服・・すごく、似合ってるね」

唯コーチ「え・・!?」 「あ、ありがとう」

しばらく、ぎこちない沈黙が流れる・・。これはヤバいな。いらんこと言ってしまった・・・


少し沈黙の間が続く・・・・





沈黙を破ったのは、さすが唯コーチだった。

彼女はバッグから一冊のノートを取り出すと、テーブルの上に広げた。

唯コーチ「えっと、今日はまず、これの話がしたくて!」

唯コーチ「来年の『島の国トライアスロン』に向けた、チームTRY REXの年間トレーニング計画案です!」

海「すごい・・これ、全部唯コーチが?やったの?」

唯コーチ「うん。みんなの今までのデータ、特に植田さんの詳細な分析データと、この前の『島の国トライアスロン』を見てて、色々考えたの。例えば、中野さんはパワーと根性はあるけど、長距離でのペース配分が課題だから、心拍数をコントロールする練習を増やすとか。糸川さんは持久力がついてきたから、次はスピードを上げるためのインターバル走を取り入れるとか・・」

僕は夢中になって、彼女の熱心な説明を聞いた。コーチとしての彼女は、本当に頼もしくて格好いい!。

海「僕についてはどう?」

唯コーチ「海さんは、オールラウンダーだけど、だからこそ全ての種目でまだ伸びしろがあると思うのね。特にバイクは、これから本格的に始めることになるから、基礎からしっかり固めていきたいですね。スイムも、もっと効率的なフォームを身につければ、今の半分くらいの体力で同じ距離を泳げるようになるはずです。」

海「そういえばバイクの準備は、植田さんと進めてるんだ。ファルコンスポーツ社が試験的に開発している初の未完成テストバイクを、チーム全員分、提供してもらえることになった。安全性は完璧みたいでファルコンスポーツの安全用テスト装置を使って50万回試して合格しているらしいよ・・・だけど、バイクとしての走行性能は、まだ調整が必要なようでまだ予定性能には達していないけど、そのバイクはファルコン最新鋭のモデルみたい。僕たちTRY REXが最初のテスターになるみたいだ」。

海「テスターになる代わりにそのバイクを提供してもらえるみたいだよ」「最新鋭のトライスーツと合わせて、しっかりデーターは取られるだろうけどね」

唯コーチ「本当!?それはすごい!ファルコンスポーツの開発中の最新バイクを、チーム全員が乗れるなんて!」
唯コーチ「最新鋭トライスーツとバイクとでデーターは取られるけど一人一人を分析してもらえるってことね。すごい!」

そんなこんなで・・・僕たちは、カフェラテとコーヒーを飲みながら、時間を忘れてトライアスロンの話に夢中になったんだ。


話が一区切りついた頃、唯コーチがふと尋ねた・・・



その質問は、少し、個人的なものに踏み込んでいるように感じた・・・。



唯コーチ「海さんは、岬さんたちと出会って自分なりに、どうしてトライアスロンを始めようと思ったの?」

海「介護福祉士の仕事をしていて日々、人の老いや限界と向き合う中で、自分自身の限界に挑戦したいと思ったこと。走って、泳いで、ペダルを漕いでいる瞬間だけは、人に見られて自分を表現しながら日常の悩みから解放されてただ『生きている』と実感できることかな・・」

唯コーチ「そっか・・・」


唯コーチ「海さんの仕事、すごく必要な仕事だと思うよ。誰かを支えるって、簡単なことじゃないもの」

海「唯コーチだって、僕たちを支えてくれてるじゃないか。僕たちにとっては、唯コーチがいなかったら、ここまで来られてないよ」

唯コーチは少し俯いた。

唯コーチ「私はね、ずっと、自分のためだけに泳いできたから」 

僕の目を見ながら唯コーチは話た・・

唯コーチ「物心ついた時から、勝つのが当たり前だった。いつからか、勝っても嬉しくなくなっちゃったの。ゴールしても、誰も喜んでくれない。周りからは『勝って当然』って思われてる。それが、すごく孤独だった・・」

 唯コーチ「それで、選手を辞めて、コーチになったんだ。誰かが目標を達成するのを手伝う喜びを知りたかったの。海さんたちみたいに、一生懸命頑張る人たちを応援するのが、今の私の一番のやりがいかな」

僕は、お互いの心にある、深い感情を話した気がした。



カフェを出ると、街はすっかり夕暮れの光に包まれていた・・

駅までの道を、僕たちは並んで歩く・・・二人の間の距離は、カフェにいる時よりも、なんだか近い気がした。



駅の改札が見えてきた、その時だった・・・



唯コーチが、ふと足を止めた。彼女は僕の方を向くと、真っ直ぐな目で僕を見つめた。

唯コーチ「ねえ、海さん。改めて・・」

唯コーチ「来年の『島の国トライアスロン』で、海さんが最高のトライアスリートとして、目標を達成する姿を見届けたい・・」

その言葉に、僕の心拍数が跳ね上がった!びっくりするな・・

僕は唯コーチに・・

海「唯コーチのサポートがあれば、僕は最高の結果を出してみせるよ」

僕がそう言うと、彼女の表情が、ぱっと花が咲くように明るくなった・・

唯コーチ「もちろん、最高のコーチがついてるんだから、絶対に大丈夫!」

海「うん。でも、まずは、来年の『島の国トライアスロン』だ。そこで最高の走りをして、表彰台に立つ。それが、僕の今の、一番の目標だから、その時まで僕の成長を見ててほしいな・・」

唯コーチ「もちろんよ!私も、海さんに負けないように、来年はエイジグループで優勝しちゃうんだから!」



駅の改札で、僕たちは別れた。

海「じゃあ、また来週の練習で!」

唯コーチ「はい!今日は、ありがとうございました。すごく、楽しかったです!」

海「僕も楽しかったよ」


手を振って別れる彼女の後ろ姿を、僕はしばらく見送っていた。

夜空には、一番星が瞬き始めていた。


その星は、まるで僕と・・・そして彼女のトライアスロンの未来を照らす道しるべのように明るく輝いているように見えた・・・



僕たちの話は、これから始まったばかりだ・・・



つづく・・・




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