43.第21回 島の国トライアスロン大会 (4)ー黒い稲妻、八王子の逆襲ー

※この物語の舞台は、実世界におけるITUやJTUが存在しない、完全にオリジナルな異世界です。ここではトライアスロンは独自の歴史と発展を遂げ、従来の枠にとらわれない革新的な競技となりました。その結果、最高権威を持つ組織して誕生したのが「インフィニティ・トライアスロン・フェデレーション(ITF)」です。ITFは、自由な装備選択や革新的なルールを推進することで、選手たちが個性と戦略を存分に発揮できる環境を提供し、この世界におけるトライアスロン競技の基盤となっています。

ーーーーーーーーーーーーー登場人物ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【主要登場人物・チーム紹介】

近江 海(おうみ うみ) 僕

 チーム「TRY REX」のリーダー。

 介護福祉士の仕事をしながらトライアスロンの練習を続けている。

 今年はバイク未所持などの理由で本大会を見送り、仲間とともに応援と次年の出場を目指す。

 根は冷静だが、内心は誰よりも熱く燃えるタイプ。

 中野 直也(なかの なおや)

 元空手道全国大会優勝者。試合のほぼすべてを“秒殺”で勝ち上がった伝説を持つ。

 根性論のかたまりだが、唯コーチの科学的指導で有酸素運動も学んでいる。

 今年は応援に専念しつつ、来年の出場を熱望している。

 口調は荒々しいが、憎めない豪快キャラ。

糸川 陽子(いとかわ ようこ)

 会社事務員。地道な努力を積み重ね、“努力の天才”とも呼ばれる。

 スイムとランが着実に伸びており、来年の大会に初出場予定。

 ほんわかした雰囲気だが、決めるときは決める芯の強さがある。

速水 唯(はやみ ゆい) 唯コーチ

 元学生水泳全国大会優勝者。“生まれてから水泳で負けたことがない” という伝説的スイマー。

 現在はスイミングクラブでコーチを務め、チームの練習メニューも組む頼もしい存在。

 今年は観戦&応援に専念し、“スーパーアスリート魂”をくすぶらせている。

植田 亮一(うえだ りょういち)

 スポーツメーカー「ファルコンスポーツ」の天才技術者。

 いつもタブレットやGPS機器を持ち歩き、選手の動きを科学的に分析。

 性格は礼儀正しく堅苦しいが、どこか愛嬌があり、チームの“頭脳”や“サポーター”のような存在。

岬 智子(みさき ともこ)

 チーム「鉄神51.5」のリーダー格。

 「島の国トライアスロン大会」常連優勝者で、他大会でも優勝歴が多い実力派。

 パープルのハイレグカットの競泳用水着(トライスーツ)で、抜群のコース熟知力を発揮する。

八王子(はちおうじ)

 ロングディスタンス・トライアスロンで大活躍。ワイルドな性格&高いプライドを持つ。

 黒い袖付きハーフスパッツのトライスーツ姿で“DHポジション”を多用し、パワー爆発のバイクを得意とする。

嘉栗(かくり)

 “鉄の肺”を持つ男。潜水や心肺勝負で並外れた能力を発揮する変人。

 黒の袖付き・ハーフスパッツ一体型トライスーツを着て、行動も謎めいている。

 今回バイクパートでどんな戦術を見せるか、周囲から注目されている。

 藤原 涼子(ふじわら りょうこ)

 チーム鉄神51.5所属でスイムが得意。

 ネイビーのスパッツ型競泳用水着(トライスーツ)を着用し、オープンウォータースイムでは岬と互角の実力。

 ただし、ぬかるみ道や激坂にはやや苦手意識あり。

高橋 結城(たかはし ゆうき)

 黒のハイレグカット型競泳用水着(トライスーツ)で理論派女性ランナー。 

 スポーツ科学をバックボーンに、理論とデータに基づいた緻密な練習プランを自ら構築する戦略家。

 バイクとランが得意で、特に長距離レースにおいては細部まで数値分析を駆使して最適なペース配分を実現する。

南城 颯太(なんじょう そうた)

 伝説のスイマーと言われた若き天才。

 高校時代、体調不良により日本選手権に出られなかった過去を持ち“幻のスイマー”と噂された。

 今回トライアスロン初参戦。スイム1位で抜群の速さを見せたが、バイクでは苦戦中。

 Tシャツ型にボックス型水着(ツーピーストライウェア)を着ている。

“謎の高身長選手”

 謎の高身長アスリート(190cm)。今回初参加。

 着用するのは丈が短いタンクトップ+ビキニ型競泳用水着の2ピーストライウェア(黒色)。

 バイクは並だが、ランが驚異的と言われる。バイク後半でどこまで堪えてランに繋ぐか。

蒼井 颯那(あおい そうな)

 日本人×アメリカ人のハーフで、藍色のハイレグカット型競泳用水着(トライスーツ)を着ている。

 世界トップクラス、オリンピック出場経験があり、自己ベスト1:59:59という超人。

 “氷の女王”とも呼ばれるほどクールな性格で、大人びた美貌と圧倒的実力を誇る。

 先ほどスイムで2位アップし、現在バイクパート1位を走行中。

ーーーーーーーーーーーーーー 本   編 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

バイクパート後半:残り19km〜トランジッション〜到着まで(バイクからラン)

(前回までの順位)

1位:蒼井

2位:岬

3位:嘉栗

4位:八王子

5位:藤原

6位:“謎の高身長選手”(タンクトップ+ビキニ型の2ピースウェア)

7位:榊原(チーム鉄神51.5)

8位:南城
以下まだ続いています・・・・・

気温が37℃近くまで上がる厳しい暑さと、ちょっとクセのあるコースに選手たちは苦戦しながらも、ここまで大きなリタイアは出ていません(落車がいくつか発生していますが・・・)

そんな中、現在1位の蒼井に2位の岬が追いかける展開、3位、4位の嘉栗と八王子もドロドロの道で火花を散らすバトルを繰り広げている。

藤原は、5位でチャンスを狙いながらバイクを走らせている。

2周目

午前10時45分ごろ

バイクコース後半20kmに入る。気温はさらに上昇し、38℃近い。路面温度は45℃を超すとも言われ、猛暑との戦いにもなっていた・・・・

アナウンス(スピーカー)「さあ、バイクパートの折り返しを終えて、後半戦が続いています。先頭は変わらず“氷の女王”蒼井颯那選手です。そして 2位は地元女王・岬智子選手! さらに後ろに嘉栗選手、八王子選手が続いています! 午後にかけて気温が上がりますので、選手の皆さん水分補給を忘れずに摂ってください!」

僕(海)は、大スクリーンやスマホライブ中継を交互に見ながら、興奮で汗が噴き出している。日よけテントの下にいても焦げそうな日差しだ。中野と糸川、唯コーチ、植田さんも同じくタオルで汗を拭いている。

巨大スクリーンは、あちこちに設置されていて日よけテントからも1台巨大スクリーンが見える。

選手たちの近くには放送用ドローンがたくさん飛んでいる。

救助用大型ドローンもあたりにたくさん飛んでいるハイテク・トライアスロンであるこの「島の国トライアスロン」は本当に田舎の大会ながらすごい大会である。

スクリーンには蒼井颯那が、藍色ハイレグカットの競泳用水着型トライスーツの上から何も羽織らず、やや泥が付着しつつも姿勢が崩れていない。さすがだ。DHポジションでバイク走行している。モニターには時速38kmと表示されていてとてつもない速さを見せている。

もはや“氷の女王”ではなく“真夏の女王”だ!

そして巨大スクリーンには岬さんが、紫色のハイレグカット競泳用水着型トライスーツも泥まみれだが、確かなハンドルさばきで未舗装路を駆け抜けている。舗装に入った瞬間に一気に加速している。「島の国トライアスロン」のコースを熟知している岬さんの強みだ! 差は5秒ほどの様子。プロ選手相手に許容範囲というところが岬さんの凄さだ。

アナウンス(スピーカー)

「岬選手、先頭の蒼井選手にしがみついています!! 差は5秒、6秒・・・さすがに蒼井颯那選手は速いです!」

しかしテクニックが必要なカーブが多いコースに差し掛かるとコースを熟知している岬さんが徐々に差を縮め出した・・・

グイグイとペダルを回し、岬さんが猛烈に追い上げようとする・・

砂利から舗装に変わった瞬間が、勝負どころ・・どちらが先に出るかはわからない様子。

岬さんは「ここから勝負!」と言わんばかりに脚に力を込め、グッとスピードを上げる。

先頭を走る蒼井がヘルメット越しに後ろをチラッと見たように見えるが、ここで意地でも引かないところがプロ蒼井颯那である。

まさに世界トップレベルVS地元女王の激突だ!

しばらくして・・・岬さんが蒼井の横に並ぶように見えたが、蒼井はさらにギアを重くして踏み込んだ。

蒼井は岬さんより前に出たがコースを熟知しているのは岬さんの方。

ついに・・・

2人は横並びになり一瞬だけ視線が交差した。

しかし蒼井が低く構えたまま更に加速し、岬さんをわずかにリードした。

さすがオリンピック出場経験があるプロ・蒼井颯那。なかなか前に出られない・・

日よけテントで・・

糸川「うわぁぁ〜ものすごいレベルの戦いですねぇ〜なんだか同じ人間とは思えないですね〜」

中野「だから!おもしろぇ〜!来年は俺たちもあそこ走るんだぜ!」「いいかやろーども!はっはっは〜」と豪快に笑う。

みんな笑いながら「お〜!!!」と言う。

そして2周目。再度、激坂区間がやってきた。ここがラストの激坂登りだ!

1位 蒼井

わずかな差で・・・

2位  岬

蒼井は落ち着いて呼吸をコントロールしながらダンシング(立ち漕ぎ)で激坂を登っていく。

岬は逆にシッティングでサドルから腰を上げず、見事なペダリングで激坂を登っていきます。

二人の死闘とも言える雰囲気が画面越しにも伝わってくるほどだが、まるで“苦しみながらも楽しんでいる”かのようにも見える。

アナウンス(スピーカー)

「先頭の蒼井選手とほぼ並ぶ時速28km!岬選手もまったく引けを取らず、プロ相手に同じペースで戦っています!!!」

そこへ「ギュワ〜〜ン!ギュワ〜ン!」というバイクのディープホイールの音が聞こえてきました・・・3位集団がモニターに映ります。

嘉栗は、黒色の袖付きハーフスパッツ型トライスーツで、八王子は黒色の袖付きロングレッグ(足首まで覆うロングレングス)トライスーツを着ていて威圧感があり嘉栗が八王子よりわずかに先に出ている展開で、この激坂に入ってきました。

先頭2人からは30秒以上離れている。

アナウンス(スピーカー)

「八王子選手は、ロングでやっている選手で世界大会、アイアンマン・トライアスロンへの出場実績あるすごい選手です。実績がすごい!」

アナウンス(スピーカー)

「得意とするバイクで激坂に入ってきました。そして1周目と同じでシッティング体制で、この激坂でもDHポジション走る!!すごい!凄すぎます!平地走行とよりスピードが速くなり、一瞬にしてスピードを時速37km /hへ上げてきました!!!1周目と同じ展開!」

「ギュワ〜〜ン!ギュワ〜ン!」と八王子のディープホイ「ギュワ〜〜ン!ギュワ〜ン!」ール音が響いてくる!!

アナウンス(スピーカー)

「嘉栗選手を追い抜きました!!!すごい!」

しかし嘉栗も負けていない。鉄の肺を武器に酸素をたくさんに取り込み、まるで酸欠とは無縁な様子でゴリ押しペダリングで必死で追いかける!!!!!

「ギュワ〜ン!ギュワ〜ン!」と嘉栗のディープホイール音もするが・・八王子の方が強烈である。

アナウンス「八王子選手!!時速は38km/h!!はっ速い!! 後方の嘉栗選手は置いていかれている。鉄の肺を持つ男。ここで3位八王子選手と差が開いていきます!平地よりも激坂の方が速い速度で走るとは!?八王子選手、ただものではありません!」

しかも路面が灼熱で、汗がボタボタ落ちる。嘉栗も負けじと必死でペダリングで必死に八王子に喰らいつく。

僕(海)はモニターに釘付け。

中野「あの2人、狂ってる・・・いいねえ!俺も混ぜてもらいたいぜ!」とニヤとしている。

糸川「もう倒れないか心配ですね・・・」心配そうな表情。

唯コーチ「いくらなんでも、酸欠にならなきゃいいけど・・心拍は200近くなってるかもしれませんね〜」と笑顔で言う。

植田「ここでの無理は、後のランに響きますが、2人とも負けず嫌いなのでしょう。はい」と呆れながらの苦笑い。

ここまでの展開ーーーー

1位:蒼井

2位:岬(チーム鉄神51.5)

3位:八王子

4位:嘉栗

5位:藤原

6位:“謎の高身長選手”(丈が短いタンクトップ+ビキニ型競泳用水着の2ピーストライウェア)

7位:榊原(チーム鉄神51.5)

8位:南城
以下・・・・・

そんなバトルの裏で・・・

藤原(5位)と“謎の高身長選手”(6位)が淡々と登っている。

藤原は女性だがバイク苦手。明らかにペースが落ち気味。

“謎の高身長選手”は背が高い(190cm)の丈が短いタンクトップ+ビキニ型競泳用水着の2ピーストライウェアでダンシングが、すごく様になっている。

バイクの技術不足で激坂はあまり伸びないが藤原さんに迫る勢い。

アナウンス(スピーカー)

「この謎の高身長選手は、なかなかのイケメンのようです。速いですが、バイクスキルはまだまだのようです。 脚力はあるが激坂は、やや減速気味のようです。」

中野「藤原さんに着いているやつは誰だ?また無名選手か??」

海「たくさん選手がいるから、中にすごい選手もいるみたいだね。南城さんみたいにね・・・」

アナウンス(スピーカー)

「え〜と?この高身長選手は・・・調べました!!清澄 快人(きよすみ かいと)選手です。」

糸川「また知らない選手が上がってきましたね〜」

唯コーチ「私も知らない選手ですね〜どんな選手ですかね〜」

アナウンス(スピーカー)

「清澄 快人(きよすみ かいと)選手は、雑誌で噂されているようです。『バイクは平均的でも、ランで頂点を狙う』と評されている清澄 快人選手。全国高等学校陸上競技対校選手権大会(インターハイ)で10,000m。え〜とすなわち・・10kmで日本一になった選手です。記録は・・・なんと29分45秒を誇ります。すごいですね!!今のバイク位置からランパートでどう動くか・・・目が離せません!」

清澄 快人(きよすみ かいと)は選手紹介をされると、観客からはバイクが、どこまで行けるのかという注目が集まっています。

そして7位・高橋 結城(たかはし ゆうき)が後方からじわじわ追い上げてきた。やはり鉄神51.5のトライアスロンを専門とするチームだけあってバイクパートで清澄 快人を追いかけてきました。

高橋さんは、ハイレグカット型競泳用水着のトライウェアです。バイクコースを走って泥にまみれているがスピードは2周目とはいえ、遅くなっていない様子です。

良いペースでバイクを走っているが高橋さんは本来はランを得意とする選手です。

この後の展開が楽しみなところです。

1位 蒼井

2位 岬

3位 八王子

4位 嘉栗

5位 藤原

6位 清澄 快人

7位 高橋 結城

番外 南條颯太・・・他の選手が続く・・・

レースは徐々に残り10kmを切ろうとしていた・・・そのとき・・・

空が急に曇り始めたと思いきや、ポツポツと大粒の雨が降り始めた・・・

このあたりは変わりやすい天気なので珍しくはないのですが、この天候の変化も島の国トライアスロンの過酷さの一つなのです。

アナウンス(スピーカー)

「ええっ!まさかのゲリラ豪雨です。 このあたりは急に大雨になる可能性もあるようです。気温は、まだ36℃を越えていますが、雨粒が大きいです!選手の皆さんは視界が悪くなるのと、スリップに要注意してください!」

中野「視界が悪くなるのとスリップに注意してください!ってあっぶね〜じゃね〜かっ!」

唯コーチ「自然相手のトライアスロンは自然も相手にするから、このあたりは選手の判断に委ねるようですよ」と笑顔で話す。

海「雨宿りするのも選手自身に任せるということだね・・・」

中野「雷はどうなるんだ〜」

唯コーチ「でも雷はいっとき、競技をストップするみたいですよ。選手は近くに退避するみたいです」

糸川「まさにサバイバルだね」

植田「さすが過酷そのものです。はい!」

モニターのコース映像では、ぬかるんだ箇所が再び泥沼化してい映像が見られます。

すでに通過した場所も2回目通過するので、二度目のぬかるみゾーンは1回目よりもさらに走りにくくなっています。

突如悲鳴が上がった。「ぎゃああ〜!」

カメラが映したのは1周目通過中の脇役選手が大きく横にスリップして転倒しているシーンが映った。

頭を打ったようだがヘルメットをしているお陰で無事の様子です。へ

ヘルメットは砕けて衝撃を和らげるよう設計されているので替えがない選手はリタイヤとなります。

泥まみれになっている選手が多数見られます。

怪我をした選手も映像に映し出される。すると・・・

すかさず上空の大型AI救助ドローンがサイレンを鳴らし「ビィィィィッ!」と急降下し、テント状の救助器具を展開して選手をすっぽり保護する。

ドローンはAI判断で周囲に安全を確保し、すぐに医療チームを呼び寄せています。

脇役選手は、速やかに救助されている。すごく行動が速い!!さすが近未来的安全対策の整った大会だ。

中野「すげぇえ!!ドローンが救助してるよ!!映画かこれはっ!」びっくりしている。

海「これだけ過酷なコースでも救護体制がハンパないから、ある意味安心なんだろうけど・・すごい非日常の世界だな・・」

糸川「でもあの選手はリタイアかな? 頑張ってほしかったけど・・無事を祈るばかりですね・・」

唯コーチ「この大会は競技はするものの安全対策は万全のようですね。何事もなくてよかったです」

植田「はい。近未来のトライアスロンとは、まさにこのことです」

島の国トライアスロン大会の非日常な光景が見られた場面だった・・

雨足はやや弱まり、蒼井と岬さんが変わらず先頭争いを続けている・・

そこに・・・

「グオン!グオン!グオン!」と強烈なホイール音を立てて蒼井と岬さんに近づいてくる選手がいた・・・

そう!八王子だ!

激坂は時速38km/hほどで登ったそのパワーで激坂が終わったあとはややスピードが落ちたものの、得意のバイクパートは速い。

八王子の時速は約35km/hでそうこうしている。前方、蒼井と岬さんよりもやや速い。さすが男性だけあって速い!

植田「力を温存していたのか八王子さんは速くなりましたね〜どの選手よりも速いです。私の計測では時速36km/hです。」

八王子は前方の岬さんに迫ってきました。

蒼井も岬さんが後ろについてきているのは意識していたが、さすがに八王子に気付いたようで車速を上げた様子です。

蒼井、岬さん、八王子が縦に並んでレースをしている展開。離れて嘉栗がいる。

蒼井は、大型モニターでは時速は38kmと表示されている。だいたいの数値らしいが明らかに速くなったのが見てわかる。

そして大雨が降った後、2周目の森を抜ける道で湧水によってできた“ぬかるみゾーン”に突入した・・・・・

蒼井、岬さん、八王子の3人とも泥水を跳ね飛ばしながらバイクを走らせる。一気にどれまみれになる・・・呼吸も荒れてきているが、どちらも絶対に引かない姿勢が映像に焼き付く・・

アナウンス(スピーカー)

「先頭は、ほぼ並走状態です!蒼井選手が少し前だが、岬選手がアウト側から抜きにかかり出しました!どうだ!?抜けそうか!? 」

岬さんは、島の国トライアスロンをよく熟知している。蒼井と八王子は、そうでもなく初出場。このあたりの差は勝負あり!岬さんが蒼井をすんなり抜いてトップに出てきました!

八王子も経験不足か車速が落ちる・・・

1位は、岬選手。後方2位は蒼井選手、3位が八王子選手は少し離れた感じ・・4位嘉栗が15秒差で追う展開! さらに藤原、清澄が続く。高橋も後方で怒涛の走りを見せるが、なかなか追いつけない様子だ。

1位 岬

2位 蒼井

3位 八王子

4位 嘉栗

5位 藤原

6位 清澄 快人

7位 高橋 結城

番外 南條颯太・・・他の選手が続く・・・

そして・・ぬかるみゾーンを抜けると・・・

ここで八王子が“DHポジション”を解き、猛烈なラストスパートを仕掛けた!

路面が濡れて滑りやすいがゴリ押し。ガツガツとペダルを踏んでコーナーを減速せず攻める姿勢は、一種の狂気すら感じます。さすがアスリートだ。

嘉栗も後方で頑張っているが・・・強烈な加速に耐えかねてか、遅れはじめた・・・

アナウンス(スピーカー)

「八王子選手が2位の蒼井選手に近づいています。 差は大きくないぞ! トップ集団に入って行きました。 雨でスリップしてもおかしくないが強引な攻めは、さすがアスリート魂です!」

画面には、岬さんと蒼井が強烈な激闘を繰り広げている中に八王子が飛び込んで来るシーンが映る。まさかの三つ巴になってきました。

岬さんは気づいている様子で「ヤバい、八王子きた」と思ってか、もうひと踏ん張りしてスピードを上げる。

しかし、岬さんはきつそうな様子。ここは男女差がある上に八王子のバイク技術が凄すぎる!

蒼井は八王子の前方で冷静な表情をしている。小雨が頬にあたりながら、微動だにせずハンドルをしっかり抑え、バイクのゴールを見つめているような感じだ。

アナウンス(スピーカー)

「バイクパート、ゴール目前で、トップ3名は岬選手、蒼井選手、八王子選手! さらに4位に嘉栗選手、5位藤原選手、6位清澄選手が追う展開・・・」

大型モニターにトップ3選手が映し出される・・・

八王子が車速を上げた・・・

蒼井も気づいて車速を上げた・・・が・・・八王子は・・速い!!!

すごい光景だ!プロ選手蒼井を八王子が一気に抜いた!!!

2位 八王子!

蒼井は猛烈なペダリングを見せるが八王子は速い!!

さらに岬さんに迫る!

岬さんも猛烈なペダリングを見せバイクを左右に揺らしながら踏ん張る!!

アナウンス(スピーカー)

「八王子選手、一気に2位に浮上だ〜オリンピック選手の蒼井選手を抜いた〜これはすごい光景です。地元のアスリートがプロ蒼井選手より前に出ている!!」

中野「嫌な言い方だな〜あのアナウンサー。俺もスーパーアスリートだが・・なんだか蒼井さんの気持ちがわかる気がするぜ・・・」

海「まだわからないよ。バイクパートだからね・・・」

植田「ここからが勝負です!はい」

会場モニターには「あと1km」の表示。選手たちはすでに汗と泥にまみれているが、最後の力を振り絞って踏んでいる。

突然、太陽がまた顔を出し、雨が止んだ。

路面は濡れたまま。湿度はさらに上がり、体感40℃を超えるほど蒸し暑い。よくこんな気象で走れるものだ・・・と僕は感嘆するほどだ。

先頭の岬さんが路肩の看板を顔を向けてチラッと確認、「残り1km」と思うと・・・さらに加速した・・!

しかし後方から八王子がグオン!グオン!と音を立てながら一気に岬さんを抜いていった・・・

1位 八王子

2位 岬

3位 蒼井

4位 嘉栗

5位 藤原

6位 清澄 快人

7位 高橋 結城

 

岬は八王子に食らいつくが、伸びるスピードでは八王子が一枚上手。

3秒差、4秒差・・やや広がっていく。

八王子が差を広げた・・・さらに滑りやすい路面で一瞬ハンドルがブレる。「くそっ!」と歯がみしている。

残り500m、先頭集団が大歓声に迎えられて戻ってきた!!!

僕たちもゴール前(トランジッション)の観覧スペースで必死に手を振る。

観客「すごい!!!」「がんばれーー!!」の声が飛び交う。

ついに八王子が、バイク降車ラインに先頭で突入した。降車してバイクを押して走っていく・・・

次に、岬さんが降車ラインに入ってバイクから降りて走って行った・・・太腿には飛び散った泥がいくつもの筋を描いているが、どこか美しく力強い走りだ。

そして蒼井が降車ラインに入って即座にバイクを降り、トランジッションへ走る。さすがに速い。スタッフの指示どおりバイクラックへ掛ける。トランジッションの作業に移っていった・・・

【バイクパート暫定順位&タイム】

• 1位 八王子

    • 黒い袖付きハーフスパッツ型トライスーツ。最後の1kmでディープホイール音を轟かせ、猛烈なスパートを決めてトップで降車ラインに突入。

    • (暫定バイクタイム:約1時間04分前後)

• 2位 岬智子

    • パープルのハイレグカット型競泳用トライスーツが泥まみれに。地元コースを熟知した走りで、蒼井颯那から約2秒差でゴール。

    • (暫定バイクタイム:約1時間05分)

• 3位 蒼井颯那

    • 藍色ハイレグカット型競泳用トライスーツ。スイム14分+バイク1時間04分+トランジット少々で、合計約1時間19〜20分。終盤の攻防にわずかに屈しながらも圧倒的な速さを見せた。

• 4位 嘉栗

    • 黒の袖付きハーフスパッツ一体型トライスーツ。“鉄の肺”の持久力で粘るも、トップから約20秒差でフィニッシュ。

• 5位 藤原涼子

    • ネイビーのスパッツ型競泳用トライスーツ。オープンウォータースイムは得意だがバイクでやや失速。後半に盛り返し、トップから約30秒差でゴール。

• 6位 清澄快人

    • 泥まみれの丈が短いタンクトップ+ビキニ型2ピースウェア。バイク技術に課題を残しつつも、約2分遅れで健闘。

• 7位 高橋結城

    • 黒のハイレグカット型トライスーツ。理論派ランナーらしい安定感で、トップから約2分30秒差。

• 8位 南城颯太(番外)

    • Tシャツ型トップ+ボックス型ツーピースウェア。“幻のスイマー”はスイム速さをバイクで活かしきれず、トップから数分遅れ。

バイク→ランのトランジションエリア

1. 八王子

    • 泥を払い流す間もなくランシューズへチェンジ。拳を握りしめ「逃がすかよ・・」と低く呟き、トップランナーとして次パートへ飛び出す。

2. 岬智子

    • 小石を取り除きながら手慣れた動きでランシューズに履き替え。背筋を伸ばし「絶対抜く」と静かに誓い、ランへ集中。

3. 蒼井颯那

    • タオルでさっと泥を拭い、軽量ランシューズにスムーズに履き替え。深呼吸で心拍を整え、約1時間20分台の全体タイムでランへ。

4. 嘉栗

    • タオルで足を丁寧に拭い、怪しげな微笑みを浮かべつつ深呼吸。無言でランスイッチをオン。

5. 藤原涼子

    • 疲労をにじませつつ歯を食いしばり、靴ひもを結び直す。「ここからが私のランだ・・!」と自らを鼓舞。

6. 清澄快人

    • 長身を揺らしながら泥をはらい、ランシューズに履き替え。「バイクきつかった・・・でもここからだ」と弱音を吐きつつも、爆速ランを予感させる。

7. 高橋結城

    • ハイカットのトライスーツにこびりついた泥を払い、黙々とシューレースを締める。「ランは苦手だけど、自分の走りをするだけ」とつぶやき準備完了。

8. 南城颯太

    • 疲労困憊の表情でゆっくりとチェンジ。得意のスイムを終え、ランでの挽回を信じつつシューズを履き替える。


僕たちの視線はランパートへ

大スクリーンには順位・タイム・心拍数がリアルタイム表示。

海「まさかこんな死闘が見られるなんて・・・夢みたいだ」

中野「来年は俺もあの場に立つぜ!」

糸川「私は無理だけど…なんか燃えるわ」

唯コーチ「ランで逆転も十分あり得ますね〜特に清澄選手が怖いかな・・・」

植田「総合力が問われるから、最後まで目が離せませんです!はっい!」

猛暑と泥塗れのまま、次はいよいよ10kmランパート――

つづく・・・


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