42.第21回 島の国トライアスロン大会(3) ―― 南城颯太 真夏の海で大会新記録を打ち立てる ――

※この物語に登場する組織やルールは架空のものであり、実在する組織とは無関係のフィクション作品です。

※この物語の舞台は、実世界におけるITUやJTUが存在しない、完全にオリジナルな異世界です。ここではトライアスロンは独自の歴史と発展を遂げ、従来の枠にとらわれない革新的な競技となりました。その結果、最高権威を持つ組織として誕生したのが「インフィニティ・トライアスロン・フェデレーション(ITF)」です。ITFは、自由な装備選択や革新的なルールを推進することで、選手たちが個性と戦略を存分に発揮できる環境を提供し、この世界におけるトライアスロン競技の基盤となっています。

ーーーーーーーーーーーーー登場人物ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

近江 海(おうみ うみ)

チーム「TRY REX」のリーダー。介護福祉士として働きながらトライアスロンに挑戦中。現在はバイク未所持で大会エントリーを見送り、応援と次回の出場を目指す。

中野 直也(なかの なおや)

元空手道全国大会優勝者。試合ではほぼ秒殺優勝という“伝説”を持つ男。強烈な根性論タイプだが、最近は唯コーチの科学的指導で「心肺を壊さずに走る」ことを学びつつある。

糸川 陽子(いとかわ ようこ)

会社事務員。普段は地道な努力を重ねる“努力の天才”。スイムとランの成長速度は目覚ましく、来年の島の国トライアスロンに初出場予定。ふんわりした雰囲気だが意外と熱い。

速水 唯(はやみ ゆい)

元学生水泳全国大会優勝者。男性選手相手にも負けなかった“伝説のスイマー”。現在はスイミングクラブのコーチ。水泳の指導だけでなく、チームのラン練習もメニューを考えるほど頼もしい。本人いわく「生まれてから水泳で負けたことがない」

植田 亮一(うえだ りょういち)

スポーツメーカー「ファルコンスポーツ」の天才技術者。ファルコンスポーツは有名メーカーに隠れて商品を提供し爆発的ヒットを飛ばしている世には知られていない天才メーカーである。植田さんは常にタブレットやGPS機器を持ち歩き、選手の動きを科学的データで分析する。性格は堅苦しいが憎めない、一風変わった科学者的存在。

岬 智子(みさき ともこ)

チーム「鉄神51.5」のリーダー。「島の国トライアスロン大会」常連優勝者で、他大会でも優勝歴が多い実力派。パープルのハイレグカットの競泳用水着(トライスーツ)で、抜群のコース熟知力を発揮する。

八王子(はちおうじ)

ロングディスタンス・トライアスロンで大活躍。ワイルドな性格&高いプライドを持つ。黒い袖付きハーフスパッツのトライスーツ姿で“DHポジション”を多用し、パワー爆発のバイクを得意とする。

嘉栗(かくり)

“鉄の肺”を持つ男。潜水や心肺勝負で並外れた能力を発揮する変人。黒の袖付き・ハーフスパッツ一体型トライスーツを着て、行動も謎めいている。

藤原 涼子(ふじわら りょうこ)

チーム鉄神51.5所属でスイムが得意。ネイビーのスパッツ型競泳用水着(トライスーツ)を着用し、オープンウォータースイムでは岬と互角の実力。ただし、ぬかるみ道や激坂にはやや苦手意識あり。


南城 颯太(なんじょう そうた)

伝説のスイマーと言われた若き天才。高校時代、体調不良により日本選手権に出られなかった過去を持ち“幻のスイマー”と噂された。今回トライアスロン初参戦。スイム1位で抜群の速さを見せたが、バイクでは苦戦中。丈の短いTシャツ型でお腹が見えたベリーショート型水着(ツーピーストライアスロンウェア)を着ている。

蒼井 颯那(あおい そうな)

プロ・トライアスロン選手。日本人×アメリカ人のハーフで、藍色のハイレグカット型競泳用水着(トライスーツ)を着ている。世界トップクラス、オリンピック出場経験があり、自己ベスト1:59:59という超人。“氷の女王”とも呼ばれるほどクールな性格で、大人びた美貌と圧倒的実力を誇る。先ほどスイムで2位アップし、現在バイクパート1位を走行中。

ーーーーーーーーーーーーーー 本   編 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

――灼熱の日差しが降りそそぐ、8月24日(日)午前10時。ーー

「第21回 島の国トライアスロン大会」は、猛烈な熱気とともにスイムパートが始まった。

僕・近江 海(おうみ うみ)たち「チームTRY REX」は今年出場を見送り、会場で応援に徹している。

参加している選手は国内の超実力者も多数いる。

とくに噂の新人”南城 颯太”

オリンピックで2時間切りを達成した”蒼井 颯那”

地元女王・岬 智子

怪物的な“鉄の肺”をもつ男”嘉栗”

そして・・・

ロングディスタンスで大活躍の”八王子”

など・・・まさに・・・“史上最強メンバー”が顔をそろえたと言っても過言じゃない。

ーーーーー スイムパート残り100mーーーーー

スイムコースは1500m。

すでに1.4km以上泳ぎ切っており、ビーチ横の特設スタンドからは、どよめきの声が上がっている・・・

僕たちも大型モニターと海辺を行き来しながら、必死にトップ争いを追っていた。

1位は、予想外の伏兵「南城 颯太(なんじょうそうた)」

学生時代“出場すれば優勝確定”とまで噂された伝説のスイマーだが、体調不良で日本選手権を欠場した過去を持つ。今日はトライアスロン初挑戦らしいが・・・なんとここまで驚異的なスイム力を発揮し、2位以下を大きく引き離している怪物である。

2位はオリンピック選手「蒼井 颯那(あおい そうな)」

プロ・トライアスロン選手。オリンピック経験もある。ハイレグカット型競泳用水着のトライスーツを着て、鋭く伸びのあるフォームで追うが南城との距離は徐々に離されている。あの“氷の女王”とも呼ばれる蒼井が苦戦しているなんて、誰も想像しなかっただろう。

3位、集団では地元女王「岬 智子(みさき ともこ)」が気合いの泳ぎをしている。

紫色のハイレグカット型、競泳用水着を着ている。

4位に、ロングディスタンスの覇者「八王子」

5位、そして“鉄の肺「嘉栗」

6位、それからチーム鉄神51.5の藤原 涼子が泳ぐ展開・・・

アナウンス(スピーカー)

「こちら大会本部です。まもなくトップがスイムアップ! 先頭は南城 颯太選手!恐るべきスイム力です。残り100m付近ですが・・・海の流れが激しいエリアに差し掛かっています!」

僕は双眼鏡で南城の泳ぎを見つめる。腕のかきが速いだけでなく、うねりをうまく利用して体を前に押し出しているようだ。

時折、大きくヘッドアップしコース確認をしている・・

中野「海さんよ、あいつ本当に化け物スイマーだな。水中でぶっ飛んでるぞ。どういう神経してんだ?」

海「僕にはわからないな・・・少なくとも相当な練習量か、天賦の才か、あるいは両方かだな。しかし凄いよ。さすが“幻の天才スイマー”って言われただけあるね」

糸川「蒼井さんが追いつけないなんて、驚きですよね〜」

唯コーチ「あの蒼井選手を差し置く形で先行するなんて、まさに想定外でっすね〜私でも苦戦かもしれないな・・・」と苦笑い。

植田「ひょっとしてスイム13分台で上がるかもしれませんよ。これは世界レベル・・・いいデータが取れそうです。はい」といつもの調子です。

すると・・・

ビーチから100mを切った地点で、南城が一瞬海面から頭を出した。

さらにヘッドアップの姿勢でラストスパートに入る。水の泡が吹き上がり、まるでモーターボートのように周囲を置き去りにしている。

アナウンス(スピーカー)

「すごい波しぶき!南城選手が最後の力を振り絞っている! 2位の蒼井選手はさらに遅れています!!すごい光景だ!!・・・ 残り50mを切りました!」

そして南城は、最後の10mを腕を豪快に回転させ、一気にゴールへ突き進む・・・

ビーチへタッチ!!      スイムアップだ!!!!!

アナウンス(スピーカー)

「南城 颯太選手、驚異の13分15秒スイムアップ! 本大会新記録を軽く更新です! すごいぞ!」

観客スタンドからは「うおおおぉぉぉ!」と割れんばかりの拍手と歓声が湧き起こる。

僕の肌にも鳥肌が立つほどの熱気だ・・

南城は少し息を切らせつつ、浜辺へ小走りで上がっていく・・

体格は細身だが筋肉が浮き彫りだ。切れ長の目で前を見据え、トランジッションエリアに向かう姿はまさに“天才トライアスリート”だ。

中野「何だよコイツ・・・13分15秒って、1500mじゃ・・世界トップレベルどころじゃねぇ・・すごいじゃね〜か」と呆気にとられている。

海「これが“夢の島トライアスロン大会”の面白いところか・・・すごすぎる」

しばらくして・・・

続いて2位でビーチに上陸してきたのは、オリンピックの女王・蒼井 颯那。

記録は14分ちょうどか、それでも驚異的だ。

藍色のハイレグカット型、競泳用水着を着て、すらっとした身体のラインが浮かび上がる。表情はクールだが、わずかに呼吸が乱れているように見える。

アナウンス(スピーカー)

「蒼井選手、14分ジャスト! さすが世界レベル! しかし南城選手には追いつけず・・・ これは予想外の展開です!」

蒼井は、砂浜を走りながら体の水気は気にせず、すぐさまトランジッションエリアへすごいスピードで走って行った・・・・・

その隣にはカメラマンが追いかけようとするが、蒼井は目もくれず風のようにスルリとかわしていった。

さすがプロ・トライアスリート“氷の女王”という感じだ。

3位集団がビーチに押し寄せる。

先に出てきたのは岬 智子。

紫のハイレグカット型競泳用水着が美しく映える。

彼女のスイム記録は15分すこし。地元で毎回優勝しているだけあって、コースや潮の流れを知って、大きなトラブルなく泳ぎ切ったようだ。

4位で八王子がほんの数秒遅れてスイムアップ。

彼はフルスーツ型で上半身に袖の付いた足首まである股下が長いトライスーツ。

ロングの実力者である八王子は、少し表情が硬い・・・「スイムに手こずった」という感じかな。

5位は“鉄の肺”嘉栗だ。

さっきブイ付近で潜水→謎の逆転をやらかしたが、どうやら藤原さんを引き離して先に出てきたらしい。「やはり変人的な速さだ!」と僕は思った。

6位がチーム鉄神51.5の藤原涼子。

「くぅ〜〜嘉栗さんに潜水戦術やられた!」と言わんばかりに肩を揺らしているが、スイム得意の彼女も十分速い。15分台でビーチに上がっている。こちらはネイビーのハーフスパッツ型競泳用水着で、砂が少し張り付いている。

潜水が速いかどうかはさておき、現在の順位でした。

ーーーーートランジッションエリア:スイム→バイクーーーーー

スイムを終えた選手が続々とトランジッションエリアへと駆け込む。

先頭の南城 颯太は、トランジッションエリアに入ると、一瞬だけ息を整えて体の水気は全く気にせず、すぐさまバイクラックへ走って行った・・・・・

南城は、細身のハイエンドロードバイクをバイクラックから下ろして、ザッとヘルメットとサングラスを装着し、バイクを押してトランジッション出口へ走る!スイマーにしては驚くほどの速さだ。

スイム→バイクのトランジッション、時間は20秒ほどか? 恐ろしい効率ぶりである。

中野「すげぇ!あれが若き天才のスイムからバイクへの動きか。無駄がなさすぎるぞ!」と思わず声をあげる。

僕「ほんと、トランジッション練習も相当したんだろうね。あのスイムの速さに加えてこの切り替えかぁ〜」

南城は、真っ先にバイクスタートに入る。周りのスタッフが「南城選手、バイクへGO!」と声援を送っている。周りの観客から声援が上がる!

2位で入った蒼井 颯那は、ほんの数秒後に同じくトランジッション入る。

藍色のハイレグ競泳水着のままでバイクに乗るスタイルだ。ここはさすがトライアスリート。

足首のチップを一度確認、そこからヘルメットとサングラスを着け、バイクシューズをペダルにつけたままバイクスタート地点まで走っていく。大きな動作はせず一瞬の戸惑いも見せない。プロの貫禄が漂っている。

その後ろには岬さんが見える。

地元の連覇女王らしく動きが早い。

海「あれ岬さん、意外と蒼井さんと差が少ないかも?」と僕は口にする。

蒼井がバイクにまたがった直後、岬さんもバイクラックへ到着し、ささっとサングラスをしてヘルメットを被る。

しかし蒼井が先にスッと走り出していく。速い!その差はおよそ6〜7秒か。

岬さんは「追いついてみせる!」という目をしている。背中から紫の競泳用水着が光って見えた・・・

八王子は、そのさらに後ろで、袖付きで足首まで覆っているトライスーツで走りながらバイクラックまで行きバイクの準備をしている。ロングの実力者だからか、焦りはない。「ここからバイクで取り戻す」と独り言を言っている感じがする。サングラスとバイクシューズを装着するのに若干時間はあまりかからず。
さすが落ち着きがある。

その後の嘉栗はすでにトランジッションのバイクラックにいる。無言でサングラスを装着してヘルメットを被ると、急いでバイクを持ち上げて担いで走り出す!力は相当のもののようだ!その動きにはやはり荒々しさがある。「鉄の肺」はバイクでどう戦うか想像もつかない。

藤原が「くそ〜ちょっとタイムロス」と悔しそうにサングラスをし、ヘルメットのストラップを止め、素早くバイクを押して走り出す。

ーーーーー バイクパートへ ーーーーー

午前10時15分

先頭の南城が猛スピードでバイクコースへ突入。

ここから片道10kmを2周回=合計40kmのバイクコースが始まる。

一般のロードバイク大会とは違い、舗装の甘い場所や急な傾斜、ぬかるみゾーンに謎のイノシシ出現ゾーンまである超難易度コースだ。

そもそも“日本屈指の難コース”と言われているゆえんだ。

公式パンフレットにも「野生動物に注意」と大きく警告が出ている(笑)・・。

僕ら観客席付近に設置された大型ビジョンには、ドローン映像と手元のGPSデータを組み合わせたリアルタイム中継が映し出されている。

アナウンサー(スピーカー)

「さあ先頭が南城選手、時速45km超えてる!? すさまじい巡航速度だ!これはバイク練習も相当積んだかもしれません」

アナウンス(スピーカー)

「後ろから蒼井選手が迫る!時速44km! 追いつくか追いつかないか・・・差は6秒程度でしょうか! そのさらに8秒後ろに岬選手が鋭く追撃している展開!」

中野「むちゃくちゃ速いな・・・俺なら下りでも出せないレベルの速度じゃね〜か」

海「スイムであれだけぶっちぎった南城が、さらにバイクも速いとは・・これは大波乱だよ。さすがに蒼井は追い上げるだろうけど・・」

糸川「岬さんも着実に追ってるし・・・まだまだ目が離せないですね!」

さらに映像では4〜5位争いに八王子、嘉栗、藤原がいる。八王子が先に飛び出し、それに嘉栗が食らいつき、藤原さんはその後ろでチャンスを狙っているような走りだ。

アナウンサーも興奮気味に伝える。

アナウンサー(スピーカー)

「八王子選手はロングディスタンスが主戦場ですが、短距離でもパワーは健在!ここで一気に勝負を仕掛けるか? 嘉栗選手は鉄の肺をバイクでも活かすか? そして藤原選手は少し様子見か・・・」

画面が切り替わり、一気に標高差のあるヒルクライム区間へ映る。そこには“激坂10%”の看板が立っている。

アナウンス(スピーカー)

「ここで激坂!気温はすでに36℃を越え、路面温度は40℃超。選手には厳しい試練です!熱中症に要注意!」

僕は大画面を見ながらハラハラする。

アナウンス(スピーカー)

「トップの南城は立ち漕ぎでダンシングをしながら登る・・・きつそうです。ここはさすがに南城はスイマーです。バイクの洗礼を受けている様子です。」

アナウンス(スピーカー)

「蒼井選手と岬選手もさほど差はありません。岬選手がトランジッションとコースを知り尽くしている為か速かった様子・・・二人とも、ぐんぐん坂を登っています。さすがトライアスリート!」

よく見ると、わずかに・・・・蒼井が速い・・・さすがプロです!!

しかし岬も速い・・・あまり差がない様子です。

アナウンス(スピーカー)

白熱した展開でトップの南城が激坂を苦戦している後方から蒼井選手と岬選手がドンドン迫っています。

海「すごい展開だね・・・」

唯コーチ「私も燃えてきました〜〜〜!!

海「唯コーチは、ほんとアスリートだね」

唯コーチ「はい!」

アナウンス(スピーカー)

「おおっと更に後方誰かが激坂を登り出した〜〜〜!!しかもこの激坂をDHポジションで登っています!!」

誰だ!!?

植田「私の計測器からはスピードは39km/hを指しています!!ひぇえええ〜!はい!」

中野「なにぃ〜!!!登り坂でも40km/h出るのか!?化けもんだな!!!何者だ!!!」

アナウンス(スピーカー)

「八王子選手だ〜〜〜〜〜〜〜〜!!すごい!!!激坂をDHポジションで登っている!」



アナウンス(スピーカー)

「計測では時速41km/hだ!!!」

糸川「ひぇえええええ〜〜すっごいですね〜〜〜〜」

中野「やっぱりあいつ怪物だったな」

海「八王子さん、どんどん前に追いついているよ。すごい!」

八王子が岬さんの後ろに迫ってきました。速い。

その前に蒼井がいますが、南城に追いつきかけています。

それからいうと八王子のスピードは超驚異的だった。

激坂、頂上付近でついに蒼井が南城を抜いた〜〜〜

南城はかなり疲れている。その後ろに岬さんと八王子が並んでいる。



後方には嘉栗が息を切らさないで登ってきているが・・バイクパワーは八王子の方が上。話にならない。

そしてやっと藤原さんが激坂を登りだす展開・・・・

植田「皆さん、ほら・・・スマホ配信での位置情報を見ると、これから未舗装ゾーンに入る予定です。ここでトラブル続出する可能性がありますね。注意するところです。」

その言葉を聞き終える前に、映像に砂利道ゾーンが映し出された。早くも中盤を走っている先頭グループの蒼井、南城、岬、八王子がそこへ突入。車体が跳ねて危なっかしいです。

岬さんは、経験と直感を使って、石が転がる道をスイスイ進んでいます。さすがベテラン速い・・・。ちょっと信じ難いテクニックで時速30km/h近くを維持している。さすがだ。岬さんもトップ選手に引けは取らない技術を持っている!トップ集団の中では現在スピードは一番速い。

蒼井は顔色一つ変えず、すでに後輪が滑りそうになるのをコントロールしながら先頭を守っている。後方、南城と順位が変わった岬さんが追い上げてくる。差はほぼ変わらな苦なってきている。

そしてDHポジションのままこの荒地を進む強靭!八王子が南城を抜きました。

3位に躍り出た八王子は、先頭2人に12秒差。グラベルで振動が大きいが慣れているらしく、歯を食いしばってDHバーを押さえ込み、パワーを逃がさない姿勢で進んでいる。どこかで逆転を狙うか!?

4位5位争い:南城。水泳で鍛えた持久力とパワーを活かし、パワフルにペダルを踏む・・・が・・・鉄の肺を持つ男。5位の嘉栗がピタリと後ろに付いている。

アナウンス(スピーカー)

「画面を見る限り、みんな互いに譲らない攻防戦を繰り広げています。」「藤原選手は、ちょっと離されて6位だが、まだバイクコースは残っています。彼女も得意の持久走で、後半伸ばす作戦かもしれません。」

バイクコース15km。

森を抜ける道で湧水による“ぬかるみゾーン”に突入する。過去に出場したトライアスリートたちが次々にスリップし、ドロドロになっている映像が映される。

中野「おい!ありゃあっぶね〜じゃね〜か!!」

海「これがこの過酷なトライアスロンの醍醐味らしいよ」

糸川「このバイクコース過酷ですよね・・・」

アナウンサー(スピーカー)

「さあ〜ここで最難関のぬかるみゾーン! 昨日の小雨が追い打ちをかけてコンディション最悪か!? さあ転倒選手は出るのか〜あっと、今、一人バランス崩して泥まみれに!誰だ・・・」

会場が「おお〜」とざわつく。



アナウンス(スピーカー)
「南城 颯太だ〜〜〜!!!」

アナウンス(スピーカー)
「スイムでは劇的な速さだった南城選手!しかしバイクでは他の選手には歯が立たないのか!!ここがトライアスロンの難しいところだ!」


中野「・・・怪我しなきゃいいけどな。泥だから痛くはないか」とポツリ。

海「ほんと、普通のトライアスロンじゃあ考えられないコースだよね。この島の国大会はマジで別次元だ。」

そんな中、トップ争いの岬さんと蒼井は転倒など全くなさそう。ピタリとラインをキープしている。

しかし、蒼井の方がリードしている・・・

1位 蒼井

2位 岬

3位 八王子

4位 南城

5位 嘉栗

6位 藤原

南城は転倒後に体制を整えるのに時間がかかり・・・

嘉栗に抜かれました・・・・・過酷なトライアスロン・・・

南城はスイムのみ劇的な速さだったがバイクで置いて行かれてしまう・・・

岬さんは、この区間は自分の知り尽くしたコースと経験を最大の強みと思っているのかスイスイと滑るように進んでいます。さすがです。



すでに8秒差程度まで詰め寄っている。

あのオリンピック選手の蒼井に迫り、トップへも手が届くかもしれないと思わせる見事なバイク操作です。

ここはコースを知り尽くしている岬さんが強い!!

アナウンサー

「岬選手、慣れたコースをフルに活かしてきましたね〜!ぬかるみゾーンでグンと距離を詰めました! これは見物!!!」

3位、八王子と少し距離を開けて4位嘉栗が進むレースの展開です。どちらも強引に突き進む感じだ。ドロを巻き上げながら嘉栗は「うおおおぉ〜〜」と声が出ている。

八王子がちょっとバランスを崩すと、嘉栗が猛ダッシュで追いかける。「おおぉ〜」と迫力満点だ。八王子もすぐに体制を整えてスピードを上げる。二人の気性の荒さが伺える感じだ。

藤原さんは「ぬかるみ苦手か・・?」と会場に設置してあるモニターを見ても、ややスピード落ちている。それでも安定走行だが、このままでは前と差が開く一方だ。

さらに、竹林があるあたりで「猪注意!」の看板が見える・・・

アナウンサー(スピーカー)

「ここは有名な猪ゾーン! 選手は猪が出ることもありますが、今年はどうでしょうか・・・!あ、ああっ! な、なんか今出た!? 何か黒いものが横切った!? ・・・・・これは危ないぞ!!!」

中野「あっぶね〜な〜大丈夫か安全対策は・・!?」

糸川「なんだかドキドキしますね・・・来年出ないといけないのかな・・・(汗)」

会場がドッと沸く。

しかし画面には一瞬猪のようなものが映っただけで姿を消す。

八王子や嘉栗は、変わらず「はぁぁあっ!」と声を上げつつ猛スピードで通り抜ける。

アナウンサー(スピーカー)

「おっと!!!猪がでた!!」モニターに映った猪は相当でかいオスの猪だ!

八王子は「ゲゲッ」とした感じでバランスを崩す!しかし・・・・

野生児の嘉栗は全く動揺をしない。

嘉栗に猪が後方から追いかけてくる!猪は結構速い!嘉栗まったく動揺した様子はなくバランスの崩した八王子を抜いていく!!!!!

嘉栗3位!

八王子は後方に迫る猪に若干ビビっている様子だ。

海「八王子さん大丈夫か??」

モニターに横たわる猪が映る・・・・・

中野「どうしたんだ!!」

植田「あれは麻酔銃を使いましたね〜はい!」

モニターには獣専門スナイパーが誇らしげに仁王立ちで映っている・・・

中野「なんだありゃ〜おっそろしいのが安全を守っているんだな・・やばい大会だな」

糸川「あれってスナイパーっていうんですかね。」

植田「たぶん猟師です。はい!」

スナイパー(猟師)によって眠らされた猪は安全に・・森の奥に消えていった・・・猟師によって・・・

会場からは安堵の笑いと歓声が上がる。「あぶねー!」とか「そこも、この大会の醍醐味か〜」と・・

再び舗装路に出ると、前方トップ3人が激しい先頭争いを繰り広げている。

蒼井→岬→嘉栗の順にわずか6秒、5秒といった差が詰まってきた。

バイクコースの折り返し地点”20km” 大きな赤いコーンを回ります。

蒼井はスッとスピードを落としてターンを綺麗に回り、岬さんが少し強引にインから回る。

しかし嘉栗はアウター側に回ってしまい少しコースアウトしてしまう。

その後・・・

DHバーを終始持って高速でバイクを走らせる・・・選手が来た・・・おお!!



八王子選手だ〜〜〜

折り返しに入るバイクスピードはかなり速く、流石にコーンを回る時はDHバーは持たずドロップハンドルを持っているが、超高速で回る。一番速いくらいだ〜この速さで嘉栗の後ろに着く・・・

更にしばらくして、黒いハーフスパッツのトライスーツを来た選手が来た。

チーム鉄神51.5の藤原 涼子が折り返しのコーンを回る。けっこう速いスピードだ。

南城は・・・見えない・・・・・

しかし・・後方より別の選手が姿を現した・・・

男性の選手で身長は高い。

丈の短いタンクトップでお腹が見え、ビキニ型競泳用水着を着用したトライアスロンウェアの選手が折り返しのコーンをゆっくり

と回る。

南城はその後も見えない・・・

後方では八王子と嘉栗がわずか2秒差で折り返し20kmを終える。

お互い抜きつ抜かれつ、泥にまみれた姿で勢いよく加速している。

アナウンサー(スピーカー)

「泥んこバトルですね! 八王子選手、ロングで鍛えたスタミナで最後に勝負か? いっぽう嘉栗選手は潜水で見せた”鉄の肺”があります。果たしてバイクでもその心肺を爆発させるのか・・・」

二人ともバイクスピードはかなり速い!さすが男性です。

どちらが速いのかというと・・・・・・・八王子です!

しかしかなり接近してきて、ついに嘉栗と八王子は両横に並んだ!

接近といっても接触、スレスレの状態で嘉栗は八王子を行かせようとしない。



この世界のトライアスロンは、こういった行為も公認である。

僕はモニターを見ながらヒヤヒヤしている。衝突しないのか・・・?

糸川「これってほんとギリギリですよね? コケたりしないのかな?」と驚く。

植田「たぶん両者とも上手いから大丈夫です。はい」と落ち着いて答える。

中野「俺だったら、ぶっ飛ばしているぜ!」許されるなら・・・

レースはこのように各選手が接近している。

1位 蒼井

2位 岬

3位 嘉栗

4位 八王子

5位 藤原

6位 名前不明選手

と、あとに続いている・・・・

藤原「あと19km・・・絶対追いつく!」と言ってるような感じだ・・闘志が燃えているようだ。

僕と中野、糸川さん、唯コーチ、そして植田さんは、会場アナウンス(スピーカー)と大スクリーンを交互にチェックしながら手汗を握る。

中野「おい海さんよ。このレース誰が勝つかわからんな〜」

海「南城はスイムは速かったけど、バイクではかなり抜かれてしまったようだしね・・」

唯コーチ「まさに“三つ巴”ならぬ“四、五、六つ巴”になりそうですねぇ〜〜〜」と笑顔で言う。

植田「しかも気温がどんどん上昇してます。はい。・・・あっ!現在、37℃になったらしい。いや!すごい気温ですます!はい!」

糸川「うわあ〜37℃〜ほんとに大丈夫かな、選手たち・・?」

中野「ドクター・モーガンとかいうアメリカの先生が来てるから安全対策はバッチリだろうよ。俺も飲み物多めに買っとくぜ!こりゃおっもしれぇ〜試合になりそうだなっ!」と小銭をポケットに手を入れ探している。

海「そうだな。僕たちも熱中症に気をつけながら応援をしよう。応援するだけでも汗が止まらないや」

そう言って僕らは屋台ブースで冷たいスポーツドリンクを買った。噴き出す汗を拭いながらごくごく飲む。

海「ああ、美味いっす!」

視線は再び大画面へ。

こうして、灼熱の太陽の下で壮絶なバイクパートが続くのだ。

誰がバイクを制し、最後のラン10kmに突入するのか。

蒼井のプロの走りが本領発揮するのか?

地元の女王・岬さんが逆転を狙うのか?

はたまた八王子や嘉栗が突如爆発するか?

藤原の巻き返しはあるか?

謎の男性高身長アスリートも迫る!!

まだレースの半分にも満たない段階。予想外の波乱が待っている予感がする。

僕は興奮を抑えられず、中野に小声で言う。

海「この大会・・・ほんと凄いね!来年出場するには普通の努力じゃ足りないよな?」

中野「おうともよ! だけど俺様たちは諦めねぇ! こうして“最高の舞台”を目てよけい、燃え上がるってもんさ!」

僕「僕もだ!」と中野に言う。

次回、バイクパート2周目! 誰がバイクパートを制するのか!!

つづく・・・


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