46. 島の国トライアスロンその後・・・ーープールでの練習でーー



※この物語に登場する組織やルールは架空のものであり、実在する組織とは無関係のフィクション作品です。

※この物語の舞台は、実世界におけるITUやJTUが存在しない、完全にオリジナルな異世界です。ここではトライアスロンは独自の歴史と発展を遂げ、従来の枠にとらわれない革新的な競技となりました。その結果、最高権威を持つ組織として誕生したのが「インフィニティ・トライアスロン・フェデレーション(ITF)」です。ITFは、自由な装備選択や革新的なルールを推進することで、選手たちが個性と戦略を存分に発揮できる環境を提供し、この世界におけるトライアスロン競技の基盤となっています。

登場人物紹介

近江 海(おうみ うみ)

 「チームTRY REX」のリーダー。介護福祉士。「島の国トライアスロン」と、あの夜の唯コーチとの出来事が、彼の心に静かな何かを感じさせている。ターコイズのビキニ型競泳用水着を使用している。徐々にチームリーダーらしくなってきている。

中野 直也(なかの なおや)

 「チームTRY REX」元空手道全国大会秒殺優勝の伝説を持つ男。ほぼ空手では負けたことがない。グレーのハーフスパッツ型競泳用水着を使っている。プールでは真面目に練習をしているが勝負となると根性で勝つとてつもない根性を見せる。

糸川 陽子(いとかわ ようこ)

 「チームTRY REX」努力の天才。会社事務員。鮮やかなオレンジ色のハイカットワンピースの水着を使っている。「島の国トライアスロン」の感動を胸に、今日も真面目に練習に取り組む。おっとりとした性格である。

速水 唯(はやみ ゆい)唯コーチ

 「チームTRY REX」元学生水泳全国大会無敗の伝説を持つ。海が通っているスイミングクラブのコーチ。ハイレグカットの競泳用水着を使っている。チームTRY REXの美人で明るいコーチ。「はーい!」という元気な声と太陽みたいな笑顔がチャームポイントだが、海さんに向ける視線には、時々、コーチ以上の熱がこもっている・・・かも?

植田 亮一(うえだ りょういち)

「チームTRY REX」 スポーツメーカー「ファルコンスポーツ」の天才技術者。ファルコンスポーツ社の天才開発者。今日もデータ収集に余念がない。スイムウェアは黒色ボックス型を使用している。堅苦しい雰囲気だが実は運動も定期的にやっていて動ける体である。


ーーーーーーーーーーーー  本  編  ーーーーーーーーーーー



数日後・・・

あの凄まじいレースだった「第21回 島の国トライアスロン大会」のが終わった・・・

そして・・・

トライアスロン後、民宿のテラスで唯コーチと二人きりで話した、まるで・・夢みたいな夜から数日が過ぎた・・

いかんいかん、最近よく思い出してしまう・・・



何を思い出すのか・・・唯コーチとテラスで一緒にいた時間のことです。

でも、あの時の星空・・・彼女の優しい声は何度思い出しても胸の奥が熱くなる。

その熱は、確実に!僕のトライアスロンへの情熱を・・・そして・・

まあ、色んなモチベーションを爆上げしてくれていた。

ーーーーーーーーー   夜  7  時  チーム練習の日 ーーーーーーーーー

いつもの「隣国海洋プール」。

塩素の匂いと、パシャーン!バシャーン!という威勢のいい水音が響き渡る。

水泳も慣れるとこの光景が当たり前になってくる。

中野「おっしゃー!今日も俺様が一番乗りだぜー!」

今日も中野は黒のスパッツ型競泳用水着で元気に泳いでいる。

糸川「あ、中野さん、もうアップ始めてる!早いですねー!」

糸川さんは、いつものオレンジのハイカットフィットネス水着である。

植田「今日もみんなのデーターを取りながら私も泳ぎますよ」と植田さんは黒のボックス型フィットネス水着でデーターを取りながら泳ぐ練習もしている。

中野「植田さん、今日はクロールの練習だぜ!俺様が今日もコーチをしてやるぜ!!」

植田「中野さんのコーチは根性論が多すぎてキツすぎます!はい!」

中野「はっはっは〜!まあ〜俺は格闘家だからな!はっはっは!」

糸川「やっぱり唯コーチが頼りになるね!」と楽しそうに会話をしながらみんなアップをしている。

海「3人とも、気合入ってるなー」

少し遅れてきた僕は、そそくさとターコイズ色ビキニ型競泳用水着に着替え、プールサイドへ行く。

すると、僕の視線は自然とある一点に吸い寄せられた・・・

中央レーンで、泳ぐ唯コーチの姿が見えた。

民宿のテラスで唯コーチと二人きりで話した時以来・・余計、意識してしまうようになった・・・

ターコイズ色のハイレグ型競技用水着を着た唯コーチは、まるでイルカの流線型を思わせるしなやかなクロールで、水を切るたびにひときわ美しく見える・・・っと、見とれてはいけない!

僕の視線に気づいたのか、クイックターンした唯コーチが顔を上げ、パッと笑顔を向けてくれた。

唯コーチ「あっ、海さん!お疲れ様ー!」と大きな声で挨拶をしてきた。

僕は、唯コーチのいる中央レーンへ近づいた。

海「お、お疲れ。唯こーちっ!」

やばい、声が裏返ったかも。今日の唯コーチ、いつもよりさらにキラキラして見えるのは気のせいか?・・

唯コーチ「はーい!じゃあ、みんな揃ったみたいだから、今日も元気に練習始めますよ〜っ!気合入れていきますよ〜!おー!」っと元気な声でみんなに言う。

中野「おっす!」

糸川「はーい唯コーチ!」

植田「はい!OKです」

海「はーい!」

彼女の掛け声一つで、プール全体の空気がパッと明るくなる。まさに太陽みたいな性格の人だ。ほんとスポーツインストラクターって感じだ。

スイムキャップを被ってゴーグルを頭にあげ、少し濡れた黒髪が見えている。僕は、この姿が何度見てもドキッとしてしまう。最近ではなく以前から・・

中野、糸川さん、植田さん、僕はプールの2レーンに入って唯コーチこの2レーンの少し離れたところからみんなにコーチをする。

唯コーチ「まずは、キック練習からです。縦に並んでビート板を持って順番にバタ足開始!」

僕たちはスイミングクラブと同じように縦に並んでビート板キックをしていく。

唯コーチ「海さーん!腰が落ちてる、落ちてるー!もっとお尻をあげて〜キックは水面を叩く感じですよ。」

身を乗り出すようにして僕にアドバイスをくれる唯コーチ。

近くに寄ってきて僕の足を持ち下がった腰を持ち上げて体勢を直してくれる。

海「はいっ!」と変に返事をしてしまう。

言われた通りに意識すると、確かに体が浮いて進みやすくなった!
この足を持って体勢を直してくれるのは、僕だけじゃなくみんなに当然している・・

中野「うおおおぉぉぉ!見よ、この俺様のダイナマイト・バタ足!水しぶきが芸術的だろーが!」

中野が相変わらず豪快というか、もはや迷惑なレベルの水しぶきを上げている。

唯コーチ「中野さーん!それ、ただの水遊びになってます!もっと水中でしっかり水を捉えて!足をお尻あたりから、しなやかにキックしてくださいね〜」といつも笑顔で言う。

中野「なにおー!これは俺様流の威嚇だ!敵を寄せ付けん!」

唯コーチ「はいはいはい、敵はいませんから、真面目にやってくださーい!」

この二人のやり取りは、もはやチームの名物だ。糸川さんもクスクス笑ってる。

クロールの練習に入った。100mを5本したあとクロールのフォームを直す練習に入る。

そして、また僕のフォームがまた少し崩れたらしい。

唯コーチ「あーん、海さん、そこの腕の入れ方がちょっと甘いです。ここの筋肉を、こう、ぐーっと・・」

そう言って、唯コーチが僕の肩から腕にかけて、そっと触れてきた。

今日は何だか意識しすぎかいつもより、ぎごちない腕の動きになっているみたい。

唯コーチ「海さんリカバリーの後、もっと遠くに手を入水してください。今日はなんか変ですね・・」

海「いや・・」と言いながら水に潜り唯コーチにクロールを見せる。

唯コーチ「ふふっ、そうそう!いい感じ、いい感じ!はーい、オッケーでーす!ちょっと力みすぎだけど、今の感覚忘れないでねっ?」と、明るく笑って言ってくれた。

唯コーチ「では、50m行って帰ってきてください」

僕は、唯コーチが言ったとおりに50mのクロールを泳ぎ始めた。

25m地点でクイックターンをして壁を蹴り、蹴伸びで折り返そうとしたとき、後ろから唯コーチがクロールでぴったりついてきているのが見えた。

驚いて僕は泳ぐのをやめ、その場で立ち止まってしまう。

すると、クイックターンから同じように蹴伸びした唯コーチが、僕の背後まで迫ってきた。

僕は、”唯コーチのレベルなら大丈夫”と油断した瞬間、僕と唯コーチはぶつかってしまった。前を見ていなかった唯コーチは、水中で驚いた表情ともがきながら浮かび上がってきた。

僕は悪いことをしたと思い、すぐに手が出てしまって唯コーチを支えた。水面に唯コーチが顔を見せると僕が触っていたのは唯コーチのウエスト部分だった・・・

とっさの判断だったので、チーム練習やスイミングクラブで合っているが触るってことはほとんどなかったので僕はドキッとしてすぐにウエスト部分から手を離した。

唯コーチ「ぷはっあっごめんなさい!当たっちゃった・・」
海「唯コーチ!ごめん!」僕はすぐに唯コーチから手を離し謝る・・・「大丈夫?」

唯コーチ「私は、大丈夫です。」

海「よかった・・」

僕はそのまま残りの25mを泳ぐ出した・・

丸顔の唯コーチの耳が、ほんのり赤かったような気がした。

練習を40分ほどしたあと休憩時間になった。

僕はプールサイドに座り込んだ。

中野もプールサイドに座り、糸川さんは近くの椅子に座った。植田さんは少し離れたブールサイドに座った。

唯コーチが僕の隣に座ってきた。

唯コーチが「はい、海さん、これどうぞ!」とスポーツドリンクを差し出してくれた。

中野「おいおい!唯コーチ、海さんだけかよ。俺たちにも少し分けてくれってかっ?」

唯コーチ「ごめんなさいね!海さんこの前、奢ってくれたからお返しでっす!」と丸顔の唯コーチが笑顔で言う。

海「そうだったっけ?」

唯コーチ「まあ・・だいぶ前ですけどね・・」

中野「はっはっは!・・・まあいいや」

糸川「中野さん、私も前に奢ったことがありますよ?・・何かくださいね!」

中野「えっ?そうだったっけ?」

そんなやり取りをしながら、また練習にプールに全員入りました。




しばらく練習をした後・・・


唯コーチ「さあ、今日はこの辺りで終わりにしましょう」と笑顔で言う。

中野「誰がリーダーかわからんな・・」

海「プールでは唯コーチが僕たちのコーチだからな〜」

糸川「こんなすごいコーチいませんからね〜」

中野「そりゃそうだ!なんてったって日本全国で戦ったんだからな唯コーチは。」

海「まあ中野も日本全国相手にトップになったけどな」

中野「まあなっ!」

植田「さて、今日は良いデーター取れましたよ」

みんな「どれどれ・・・」とプールサイドに上がって、中野と糸川さんは植田さんのところに行き、何かデータの説明を受けていた・・・

気がつけば僕と唯コーチがプールの中に残っていた。

二人きりになった瞬間、唯コーチがぽつりと言った。



唯コーチは小さな声でささやくように言った。

「ねえ海さん。私、『島の国トライアスロン』を見ていてね。・・なんかこう・・ジーンときちゃった・・」

僕も頷きながら答える。

「うん、僕もだよ。すごくかっこよかったね」

唯コーチは目を輝かせて続けた。

唯コーチ「そう!特に最後の岬さんの粘りには本当に感動したの。人が全力で頑張っている姿って、見る人にも勇気を与えてくれますよね。私も来年出場する時には、誰にも負けないように練習頑張るから・・・海さんも一緒にがんばってね・・」

僕は少し照れくさそうに笑いながら答えた。

海「うん・・・がんばろう・・」

と、僕が言うと唯コーチは、片目を閉じてウインクをした。

僕は、『私と一緒に』──その言葉が、不思議と心に残った。

海「唯コーチ!僕も、もっと練習をして”島の国トライアスロン”で誰のも負けないようになりたいと思っているよ。一緒に頑張ろう!」

唯コーチは、僕の言葉に一瞬驚いたような顔をして、それから、本当に嬉しそうに笑顔を見せた。

唯コーチ「うんっ!その言葉、待ってた!私ね、海さんのこと、めちゃくちゃ期待してますよ。一緒に頑張ろうねっ、海さん!」

その「一緒に」という言葉が、僕の中でとてつもなく大きな意味を持っていた。


中野「おーっと!そこの熱々カップルさんよぉ〜!練習再開の時間だぜー!いつまでイチャイチャしてんだ〜」

突然、背後から中野の声が割り込んできた・・

唯コーチはびっくりした表情で一瞬固まり・・

唯コーチ「私たちは真面目なトライアスロンの話をしてるって!!」と少し大きめの声で言った。

よく見ると顔を少し真っ赤にして反論する唯コーチが見えた。

糸川「ふふふっ、中野さんも唯コーチも、本当に仲がいいんですねー」

植田「感情の高ぶりとアドレナリン分泌量の相関関係について、非常に興味深い観察結果が得られました。これは新型スーツの生理的負荷テストにも応用できるかもしれません。はい」

中野「植田さん。さすが、あんただけはブレないな!・・さすがだぜ!」


練習も終盤、クールダウンを終えてプールから上がる。心地よい疲労感がある。


帰り支度を済ませ、ロビーで少しぼーっとしていたら、唯コーチが声をかけてきた。

唯コーチ「海さんっ!お疲れ様ー!」と元気な声で言ってきた。

唯コーチ「今日の泳ぎ、本当に良かったですよ。なんか〜・・・」両手を広げて、一生懸命ジェスチャーで伝えようとしてくれる。

海「今日はありがとう。唯コーチのアドバイスが的確すぎて結構スイム技術が上がっちゃたよ。」

唯コーチ「えへへ、それほどでもありませんよ・・・それでね、海さん、ちょっと相談があるんだけど・・・」急に声のトーンが少しだけ真剣になる。僕もゴクリと唾を飲んだ。

唯コーチ「も、もし・・もしよかったら、なんだけどね?今度、ちょっとだけ二人で会えないかな?」

海「会う・・・ってどこで?」

唯コーチ「えっ・・これからのチームの目標とか、もっと具体的な練習メニューとか・・ほら、チームのコーチとして・・ね?もっとちゃんと、チームや海さんのこと、応援したいな〜って思って・・ダメ、かな?」

海「えっははっ・・いいよ。OKです」

唯コーチ「ほんと!?やったー!じゃあ、決まりねっ!またちゃんと連絡するから、待っててくださいね!」

唯コーチは、子供みたいに顔を輝かせている。


そして中野も着替えてプールのロビーまで出てきた・・

中野「お待たせ!植田さんは後からくるよ。なんか端末いじってるぜ」

糸川さんも更衣室からロビーへ出てきた・・

糸川「みんなお待たせ〜」

そして植田さんも出てきた・・・

植田「今日の練習はデーターでは皆さん5%も、向上しましたよ!すごいです!」

中野「5%ってすごいのか??」

植田「5%はすごいです。」

糸川「普段はどのくらいなのかな・・」

植田「データーでは、普段は・・・0.5%ですね・・」

中野「ゲゲっ普段そんなもんかよ。今日はすごいんだな〜」

植田「まあデーターの話ですから、すごく向上する時もありまして・・よくて2%です。」

糸川「でも2%でもすごいですね」

中野「チーム全員のデーターだよな?」

植田「そうです。」

糸川「一番データ上、良かったのは誰だったんですか?」

植田「唯コーチです」

唯コーチがびっくりした表情をする。

植田「次いで、海さんです」

僕はびっくりした・・

中野「なんかいいことあったんじゃね〜か〜」

糸川「急に向上するってすごいですね〜」

植田「私が推測するところドーパミンとオキシトシンとが・・・・」と科学的な話をする・・

ーーーーープールの駐車場にてーーーーー

みんな「じゃあね、お疲れ様でしたー!」と手をぶんぶん振って、みんな自分の車で帰って行った・・・



僕は車を運転しながら思った・・・唯コーチ・・・完全にデートのお誘いだったよな?いや、「コーチとして」って言ってたけど・・・

外は、ひんやりとした夜風が、火照りまくった僕の顔を優しく撫でてくれた。

車の窓から空には、満天の星が見えている。

来年の「島の国トライアスロン」では、絶対に成長した姿を唯コーチに見せるぞ。


プールサイドで新たな進展が始まる。

僕の未来を、そして僕たちの未来を、キラキラと照らし始めている。

そんな、最高の予感がしてきた・・・




つづく・・・



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