29.オープンウォーター(自然での水泳)はプールと違う
※この話は、実際にあったことを元にしたフィクション作品です。よろしくおねがいします。
※今回も、海が舞台なので僕の名前は、ややこしいので「うみ」と表記します。
━━━本編━━━
サンサンビーチ砂浜にて━━
僕「岬さんずっと泳いでたんですか?」
岬さん「1500m泳いでました。」
糸川さん「ベテランの岬さんでも、海で練習するんですね。」
岬さん「プールと海は違うので、たまに泳ぎに来ています。」
唯コーチ「岬さん。今年は何回かトライアスロンに出ているんですよね?」
岬さん「6月と7月に51.5kmの大会に出ましたよ。他県から参加している選手が沢山いましたよ。」
中野「へぇ〜月1回は出てるんだ。ハードだな〜」
糸川さん「他県から沢山、来ているんですか〜なんだかすごい大会ですね〜結果はどうだったんですか?」
岬さん「2大会は、優勝出来ました。」
中野「おっ!すげっ流石だな〜しかし岬さんは、地元の島の国トライアスロン大会、常連優勝者というのは、伊達じゃないんだな〜」
岬さん「島の国トライアスロン大会は、トライアスロン連合公認大会ではないのですが、地元のプロや実業団が参加していて、じつは全国的にはレベルが高いんですよ。」
唯コーチ「ヘェ~すごい大会をだったんですね。知らなかったです。でも、それなら自分試しに燃えてきますね!」
糸川さん「やっぱり唯コーチは、アスリートですね!」
岬さん「私もそう思います。みんな最初はビビっちゃうんですけどね!」
中野「俺もやってやるぜ!まかせておけ!」
糸川さん「中野さんも、スーパーアスリートですからね!」
中野「元だけどな・・・」
岬さんが笑います。
僕「・・・そういえば5月にあった蟹マスターズ水泳大会にも、出てたよね〜さすがだな〜」
岬さん「でも、蟹マスターズでは唯コーチに惨敗しましたけどね。正直にヒビリましたよ〜」と笑顔で答える。
僕「言うーても、唯コーチは水泳日本チャンピオンだからね〜」
岬さん「そうです。私も格の違いを見せてもらいました。」
唯コーチ「元ですけどね・・・」
みんなで笑います。
中野「けど、お互いの得意分野が強いよな〜おもしろいな。」
僕「まあ、中野は空手日本チャンピオンで、蟹マスターズでは、空手で鍛えた根性で、僕の嫌いな佐山軍団に勝ったからな。凄いよな。」
中野「俺も元だけどな・・」
岬さん「今日は、みんなと会ってよかった。私も一緒に練習に入れてもらえません?」
僕「えっいいけど岬さん、僕らと比べると、だいぶレベルが上だけど大丈夫?」
糸川さん「そうですよね。トライアスロンなら岬さんの方が上ですからね。」
岬さん「いえ、私も唯コーチに指導してもらいたいし、プールと比べて自然の泳ぐオープンウォータースイムは泳ぎ方が違うし、みんなも私が居た方が何かと役にたつと思うから損じゃないですよ・・・」
唯コーチ「面白そうですね!私はOKです。」
僕「よーし、じゃあ〜特別講師の岬さんも入れて今日は海練習するよ!」と、ガッツポーズ!
中野「よっしゃ!」
糸川さん「いえーい!」
唯コーチ「オッケーです!」
と、みんな答えます。
岬さん「じゃあ、みんなで頑張りましょう。アクアスロンまで時間もないしね!」
唯コーチ「じゃあ、今からさっき目指していた沖にある防護ネットまで泳いで帰ってきましょう。」
糸川さん「往復ですね。」
中野「まあ、ざっと200mだから行き帰りで400mってとこか」
僕「みんなある程度、固まって泳ごう。」
みんな「OK〜!」と片手を上げる。
岬さん「アクアスロンの練習になるから浜辺から走って泳いで往復して浜辺を少し走ると、いい練習になりますよ。」
中野「おっ!なかなかいいな!」
僕「じゃあ、この辺りからスタートしよう。実践的でいいからね!」と、僕は人工ビーチである「サンサンビーチ」の砂浜の入り口にある階段をスタート位置にしました。
ここから海まで30mほどあります。
唯コーチ「よーし!なかなかおもしろそうですね〜」
糸川さん「ゆ、唯コーチ対決じゃないですよ。」
唯コーチ「あっそうでしたね!」
中野「みんなさすがだせ!そういうところが俺たちのチームはいいな!」
岬さん「じゃあ階段まで、みんな移動しよう。」と、周りの海水浴客が見る中、スイムキャップとゴーグルを付け、競泳用水着を着た一団は移動するのであった。
実際に、ビーチでやった時に海水浴客が見る中、この格好でいると少し浮いた感はありましたが、さすがに5人いると完璧にクラブ活動に見えました。
さて、チームサウルスの練習が再開されます。
階段に5人横一列に並びます・・・
周りの海水浴客が見てます・・・緊張が・・何故か走ります・・・
僕「よーい!」・・・
中野「お、おい!レースじゃないぞ!」
僕「そうだった。」
糸川さん「横一列でレースぽい・・・」
周りの海水浴客が、チラチラ見てます。
さすがアスリート集団の練習会です。どこも、こんな感じ・・・変わった人達が多いです。
僕「スタート!」
みんな一緒に砂浜を走り出しました。
海まで30m。
なぜか中野が先頭です・・
続いて糸川さん。
次に岬さん。
唯コーチに僕が続きます。
中野が海に駆け足で入りました。
中野「おおおおー」と声を出し、走りながら海の深さが増してくると泳ぎに入りました。
後ろから、糸川さんが走りながら一旦減速して泳ぎだします。
岬さんが、飛び込みで泳ぎだしました。さすがです。
後ろから唯コーチが飛び込みで泳ぎだします。やっぱりさすがです。きれいに速い飛び込み!
その後ろから僕が海を走りながら深さが増してくると、どんくさい飛び込みをしました。
僕は最下位からヘッドアップクロールで安全の為、みんなを見ながら泳ぎます。
僕はリーダーなので、後からみんな大丈夫か見ています。
中野が結構飛ばしています。
やっぱり、もともとアスリートだから仕方ないな。
糸川さんが、マイペースに泳いでいます。
岬さんと唯コーチが並んで泳いでいます。
僕は、みんなを見ながら夢中になれる自分のチームを誇りに思いました。
糸川さんが、唯コーチと岬さんに抜かれました。
糸川さんは、僕のすぐ前になりました。
中野が岬さんと唯コーチの前を全力らしいスピードで泳いでいます。
糸川さんに僕は追いつきました。
僕「糸川さんマイペース、マイペース!」とヘッドアップで泳ぎながら言いました。
糸川さん「わかってる!」と泳ぎならが答えます。
しかし・・・完璧に競争だな。
またたく間に、中野は岬さんと唯コーチに抜かれます。
よく見るとトップは、唯コーチみたいです。
さすが、スイムは唯コーチが速い!岬さんも力強く追いかけてます。
唯コーチが防護ネットがある、浮きに到着しました。速い!
少し遅れて岬さんが到着。
中野が、その後ろを少し疲れた泳ぎで進んでいます。
全員が、浮きに到着しました。
全員浮きに掴まって、立ち泳ぎしています。
僕「みんなレースじゃないんだから」
唯コーチ「すみません。つい・・」
岬さん「さすが唯コーチ。ほんとに速いわ〜」
糸川さん「でも、すごいレースが見れて面白かったです。周りの海水浴に来てる人が見てもレベル高い泳ぎでしたね!」
中野「みんな、さすがだぜ!こうでなくちゃ盛り上がらないよな!」
僕「まあ、アスリートの集まりだからこんなもんか〜」と、みんなで笑いながら話します。
僕「じゃあ、次は浜辺まで今度は泳ぎ方は、みんなに任せるよ。僕は後から行って安全か見ながら泳ぐね!」みんな頷きます。
僕「よーい!スタート!」
一斉に泳ぎだしました。
中野が力強く先頭で泳ぎます。
その後ろから唯コーチが早々とクロールで追い抜きます。
岬さんが続いて中野を追い抜きます。
中野も負けじと、力強いクロールで泳ぎます。
唯コーチが、一気に突き放していきます。
なんと!唯コーチは、オープンウォーターでは経験が勝っている岬さん相手に、かなり前に出ています。
しばらくすると、唯コーチがあまり見えなくなりました。が、海でクイックターンをして反転しました。
少し戻って、またクイックターンをしています。
どうも、後続者を待っているようです。
岬さんが、唯コーチに追いついたようです。
唯コーチは、またクイックターンをして反転しました。
岬さんが唯コーチを追い抜きましました。
中野が、唯コーチに追いついたようで、再びクイックターン!
岬さんを追いかけ出しました。
すごい!再びバトルを始めました。
唯コーチは、チームサウルスの専属コーチ。折り返して、みんなを待ってくれました。さすがです。
しばらくして、浜辺に先に上がって走り出したのは・・・
凄い!唯コーチです。
階段まで走ってます。
岬さんは、まだ泳いでます。
こんなに差があるものなんでしょうか?ほんとに唯コーチはスイム速い!
岬さんが浜辺へ到着、階段まで走り出しました。
唯コーチは、ゴールしてます。
岬さんゴールしたみたい。
中野は、まだ泳いでいます。
僕と糸川さんは、並んで泳いでますが、中野とあまり距離は変わらないようです。
さて、全員浜辺。階段に到着してゴール〜!
周りの海水浴客は「おお〜!凄い!」と、声が聞こえてきます。
実際にチームで練習会をすると周りの海水浴客が、凄いと言ってくれる時が、あります。優越感に浸れます・・・
さてさて・・・階段にて全員集合。
3回同じことを繰り返して泳ぎ、4周回でトータル1600mを泳ぎました。
周りの海水浴客からは、完全に見せ物になってますが、レベルの高さに歓喜が上がっていました。
僕「意外にプールと比べて浮力がある為か、楽だった感じがするな。」
唯コーチ「男性は下半身が沈みやすいですから、海だと塩分で浮力が増して楽に泳げるんだと思います。」
中野「俺は、まあまあ疲れたぞ!」
糸川さん「中野さんは、飛ばしまくってるからね・・・でも、さすがアスリートだね!」
中野「はい、元アスリートです。」
岬さん「みんな、よく頑張ったね。思った以上に根性あって、ビックリしました。」
僕「岬さんに言ってもらえると自信がつくな〜」
糸川さん「そうです。スーパーアスリートと一緒に練習が出来てビックリしたと言ってもらえると、自信つくね!」
岬さん「みんな、ありがとう!でもスイムは唯コーチに惨敗でしたね。チームサウルスは、唯コーチの指導がいい感じだね!みんないい泳ぎしてますよ。私も良い刺激になりました。」
唯コーチ「ありがとうございまーす!」と手のひらを見せて答えます。
僕「よーし!最後は、みんなでビーチランで締めようよ。」
中野「そうだな。アクアスロンはラン5kmあるからな。」
糸川さん「私もラン練習ぼちぼちしてました!」
唯コーチ「あっ私も、やってましたよ。」
岬さん「じゃあ、私のGPSウォッチで3km測るから階段の上の道を往復しながら走りましょう。」
中野「よっしゃ!」
糸川さん「よーし!」
唯コーチ「はーい!」
僕「よし!」
みんな階段上の道まで上がって、人工ビーチを往復しながらランニングを始めます。
みんな上半身にシャツだけ着て水着で走る人と、シャツとランニングパンツを着用して走る人と色々です。
ランニングシューズは、今回はコンクリートの上を走るのでシューズを全員履いています。
トライアスロンのランだと、この頃の時代は、男性は上に何か着て走ります。
女性は、水着のままで走る人とTシャツを着て走る人がいました。
当然、上下着替える人(上から着るだけです)も、いましたが着替えもタイムに加算されるので、殆どがシャツを着るだけでバイク、ランに移行します。
まだ、トライスーツを着ている人は少ない時代でした。
僕たちは3kmランをし、練習会を終えました。
次回はいよいよ、「島の国トライアスロン協会のアクアスロン練習会」です。
つづく・・・