28.初めて海で練習した時の話
※この話は、実際にあったことを元にしたフィクション作品です。よろしくおねがいします。
※今回は海が舞台なので、僕の名前はややこしいので「うみ」と表記します。
━━━本編━━━━
7月に入り、アクアスロン練習会まで、あと2週間。
と言っても島の国トライアスロン協会による練習会でアクアスロンをします。
スイム1kmラン5kmです。
僕たちは、1年後の夏に開催される第23回島の国トライアスロン大会へ出場する為に、アクアスロン練習会に参加します。
今日は、「チームサウルス」での初めての海練習です。
隣町にある「サンサンビーチ」に中野の車で、やってきました。便利な男です。
サンサンビーチは、人工ビーチで湾になった穏やかなビーチです。
水は、あまり綺麗ではなくどちらかと言うと、濁っている海水です。
まあ、このあたりの海は、どこも似たような感じです。
僕「着いたね〜」と駐車場に降りました。
中野「25分掛かったな。反対方向の隣町にある隣国海洋プールと距離的には同じだな。」
糸川さん「人がまあまあ来てるね〜キャンプも出来るんだね。」
唯コーチ「このあたりは、近くにビーチがないから、人が多いみたいですよ。」
車から離れて、みんなで道具を持ってビーチに歩きます。
僕「取り敢えず僕は、いつものスイミングクラブ道具とシュノーケルを持ってきたよ。海は、怖いからね。」
中野「なかなか準備がいいじゃないか〜俺も怖いから貸してけれー」
僕「OK〜!」
糸川さん「スイミングクラブであれだけ練習してても、私も怖いです〜」
唯コーチ「大丈夫!大丈夫!練習を信じて。練習は裏切りませんから!」
僕「でも、唯コーチも海で泳ぐのは初めてなんだよね!」
唯コーチ「はい!初めてです!」
糸川さん「意外ですよね〜唯コーチ」
唯コーチ「海は遊びには、来たことがあるのですが、泳いだことは1回もないです。」
中野「おいおい!なんだか不安だな〜」
唯コーチ「大丈夫!大丈夫!何とかなります!」
糸川さん「さすが、元スーパーアスリートだね!」
ビーチに入る前に更衣室で着替えてきました。
僕「ビーチで、競泳用水着は流石に目立つな・・・」
糸川さん「少し恥ずかしい感じがします。」
中野「俺たち全員、競泳用だから何かの集りだと、みんな思うだろうから大丈夫だぜ!」
唯コーチ「まっ大丈夫!大丈夫!」
当時、僕は海に初めて入る時は、スイミングクラブと同じように競泳用水着で行きました。
スイミングクラブと同じ装備にするくらい、足の着かない海で泳ぐのは怖かったです。(実話です。)
ビーチには、屋根付きの白い石で作られたで作られたベンチがあり、そこに歩いて行き道具を置きます。
ビーチまでは30mくらいです。
中野「じゃあ日焼け止めも塗りまくったし、みんなそろそろ行きますかね!!」
みんな「おーーー!!!」
日焼け止めは、水に濡れるとかなり落ちますが塗ってないよりマシです。
スイミングキャップとゴーグルと僕のシュノーケルを持って、砂浜までチームサウルスの一団は意気揚々と歩いて行きました。
糸川さん「周りにも、遊びに泳ぎに来ている人達、沢山いますね。」
中野「そうだな。遊んでいるのがほとんどだな。」
僕「おっ!湾の沖の方に1人泳いでいる人がいるぞ!」
唯コーチ「クロールですね!たぶん練習ですね。やっぱりトライアスロンに出る人が練習に来るんでしょうね。」
僕「そうだね、トライアスロンだから海で練習もするだろうね。」
実際に、この辺りにはビーチがないので、沖で黙々と泳いでいる人はトライアスロンの練習している人が、ほとんどでした。これは、後にわかりました。
ウェットスーツを着て泳いでいる人もいるし水着のままで泳いでいる人もいましたが、いずれにしろ浜辺には戻らず離れた沖でずっと泳いでいるので、差ほど目立たなかったです。
僕は、いちばん最初に海練習した時は、生まれてはじめて足の着かないところで泳ぐので、怖くて足の着く場所で最初は、泳いでいました。
シュノーケルを、わざわざ買って持っていきました。まっほとんど使いませんでしたけどね。
周りに海水浴に来ている人達が疎らにいる中。
僕たち、全員が競泳用水着とスイミングキャップにゴーグルをして、僕だけシュノーケルを持って、横一列に並びました。
少し変ですが、4人居ると、なんかの集まりだろう感があるので、たぶん怪しくないと思います。
中野「さあ〜おめ〜ら、全員行くぞ!!」中野の声掛けが入ります。
僕「おっしゃ〜!」
糸川さん「おう!」
唯コーチ「はい!!」
全員が入水します。
腰まで水に浸かると・・糸川さん「あれ?意外に温かいね〜」
中野「プールより温いな。」
僕「プールは、温水だからボイラーで選手用に調整してるからね。」
唯コーチ「この辺りで1回慣らし泳ぎをしましょう!」
僕は、シュノーケルをして潜りました。
中野も糸川さんも、唯コーチも潜ります。
僕は、すぐ水から顔を出します。
すると糸川さんも顔を上げ水から顔を出します。
僕「シュノーケルしてるけど息がうまくできん!」
糸川さん「ひどく濁っているね〜」
ふと見ると唯コーチが、クロールで泳いでいきます。
中野もクロールで泳いでいます。
糸川さん「さすが中野さんも唯コーチも元スーパーアスリートだわ。ひるまないね〜」
僕「まったくだ!大したもんだ!」
最初は、みんなこの程度でも凄いと思う。
唯コーチ「ぷはぁ〜」顔を上げ立てります。
唯コーチ「ここから50cm沖に進むと足が着かないですね。水底は見えてます。慣れないと足のつくところと着かないところは解りづらいですね!」
僕「ほほう、やっぱり唯コーチでも初海は、慎重だな。」
唯コーチ「最初は怖いですよね〜」と笑顔で答える。
中野が顔を上げ・・
中野「おおおい!ここ・・は、足がつかないぞ!!・・」とびっくりしながら声に出します。
糸川さん「だ・だいじょうぶ?」
中野「だ・だいしょうぶだ!水底も見えんぞ!!やばいところまで来た!」
僕「急に深くなってるんだな・・大丈夫か?」
中野「俺様がこのくらいでは死なんぞ!」
まあ、最初は大げさです。
唯コーチ「でも、練習はうそつかないですから、いままでの泳ぎを信じて更に沖にいきましょう。」
糸川さん「そうだね〜みんな立ち泳ぎも出来るしね。」
中野「あっぷあっぷ・うみさんはシュノーケル大丈夫か?あっぷ・・」
僕「なんかうまく息吸えないし、ややこしいから浜に置いてくるよ。」
中野「早くしてくれよ〜」と立ち泳ぎしてます。
僕は走って、ある程度の高い浜辺にはシュノーケルを置いて腰まで水がある元の場所に帰ってきました。
僕「よっしゃ!いくぞ!」
唯コーチ「とりあえず10m程、進んでみましょう。」
中野「よし!きたー」泳ぎだします。
糸川さん「はーい!」泳ぎだします。
僕も、泳ぎだします。
唯コーチも泳ぎだします。
10m程、進んで顔を上げあげると全員が顔をあげ立ち泳ぎをしています。
僕「ありゃ?!」
さすが、唯コーチ。泳ぐのが速い為に一番沖に進んでみんなより離れています。
唯コーチ「みんなゴメンねー海が黒くて見えないから進みすぎちゃった〜」と大きな声で言います。
中野「水中だけだと、方向がわからんし、流されてるな〜」と中野が変な方角へ進んでいました。
糸川さん「私も、自分が思ってない方向へ進んでいました。顔を上げてびっくりしましたよ。」
僕「こりゃ意外に難義だな〜」
立ち泳ぎしながら、みんな話します。
唯コーチが、離れていたところから泳いできます。
唯コーチ「ぷはっ・・みんなヘッドアップをしながら前に進むといいですよ。」
中野「ああっ顔を上げて目標物を見ながら進むあれだな。」
唯コーチ「そうです!と、言っても私もヘッドアップは出来るんですがあまり上手くはないです。」
糸川さん「まあ、みんな素人だから仕方ないよね!」と笑顔で話します。
僕「みんなヘッドアップはある程度できる?」
中野「顔を上げ前を見ながらは出来るが意外に疲れるな」
糸川さん「私も何とか出来ますが意外に疲れますね。」
唯コーチ「たまに、前を見ながらで大丈夫なのでメインは息継ぎの横で大丈夫ですよ。あとは慣れです。」
僕「じゃあ、このあたりを円に回ってから取りあえず浜辺に戻ろう!」
唯コーチ「はーい!」
糸川さん「はーい!」
中野「おう!」
全員、円に回りながら泳ぎます。
泳ぎは悪くなくしっかり安定しています。
そして、全員浜辺へ向かって泳ぎだします。
周りの海水浴客がこちらを見ています。
浜辺に着くと全員が別のところへ到着してました・・・
と、言うように海は流れがある為、泳いでいると方向が、よく変わります。
僕は今でも良く方向が変わって真っ直ぐ、なかなか泳げません。
ヘッドアップクロールで時々、方向修正しながら泳ぐ必要があります。
━浜辺にて━
中野「やっぱりプールとは違うな。」「なんか怖いもの感じるぜ!」
僕「そうだね。海中は真っ黒だから、なんかゾッとするものがあるな。」
糸川さん「私も似たような感覚がありますよ。しかも、陸に上がったら体だフラつくね。」
唯コーチ「私も、ふらつきました。たぶん波に揺られるから三半規管が正常に働かなかったんでしょうね。」「海はプールと違ってそこが見えないから、気持ち悪いところもありますね。」
中野「まっ慣れだな!」
僕「そうだな。自分の泳力を信じて、みんながんばろうよ!」
糸川さん「OK〜!」
唯コーチ「はーい!」元気に返事します。
みんな再びゴーグルをします。
周りの海水浴客がこちらを見ています。
僕「よし!じゃあ今度は沖の防護ネットがある浮きがあるところまで行こう。」
中野「おっしゃ〜!」グーと親指を立てる。
糸川さん「がんばりまーす!」
唯コーチ「いちおう、みんなそれぞれ離れないように泳いで下さいね。やっぱり初めては危険もあるから。」
みんな「おっけ〜!」と、周りの海水浴客が見ている中、返事をします。
まあ、ビーチはこんな感じですかね。
全員、水に入り泳ぎだします。「バシャバシャバシャバシャ〜」
100m━波が少し高くなりました。
200m━僕「みんな〜居る?」
唯コーチ「中野さんがだいぶ左に行ってますね〜」
糸川さんは、あとに続いて来ている為、少し遅れて今、顔を上げました。
糸川さん「中野さん随分ズレてますね!」
僕「おーい!中野ぉ〜!」と叫びます。が、聞こえてません。
僕「少しは止まってこっち見ろよな〜やれやれ」
唯コーチ「私が行ってきますね!」
僕「あっ僕が行くよ。」
糸川さん「あれ?さっき沖で泳いでいた人が中野さんに近づいてるよ。」
中野は近づいてきた人に気づき立ち泳ぎで何か話してます。
僕「おいおい、何か揉め事か?」
糸川さん「しかし立ち泳ぎで待ってると結構疲れてきますね〜」
唯コーチ「じゃあ私達も行きましょう。」
僕たちは、中野ともう1人のところに泳いでいきました。
僕「中野どうしたんだ?」
糸川さん「大丈夫?」
唯コーチ「あれ?!」
中野「まさかここで岬さんに会うとは思わなかったぜ!」
唯コーチ「あっやっぱり岬さんですね!」
中野と話していたのは、たまたま練習に来ていた岬さんでした。
岬さん「こんにちは!」
僕「おっ岬さん!」
糸川さん「こんにちは!でも、疲れてきました。」
岬さん「無理はしない方がいいです。浜辺に戻りましょう。糸川さん楽な泳法で大丈夫。浜辺まで帰りましょう。」
僕「よし、帰ろう」
中野「おし!」
岬さん「私が最後に付いていきますね。」
ということで、僕たちは岬さんと、たまたま会いました。
海は無理は禁物。
防護ネットの浮きまで行く予定を一旦やめて、みんなで浜辺に、ゆっくりとした泳法で戻りました。
ということで海練習は、岬さんも含めて、もう少し泳ぎます。
つづく・・・