27.走ることで、基礎体力を作る
※この話は、実際にあったことを元にして作ったフィクション作品です。よろしくおねがいします。
━━━本編━━━━
僕は来年開催される「第22回 夢の島トライアスロン大会」に向けて、まずは「夢の島トライアスロン協会」の練習会として行われる「アクアスロン」へ参加することになりました。
正式な大会ではなく協会の草レースみたいなものですが、トライアスロン経験のない僕たちのチームには、よい練習になる為、参加を決めました。
アクアスロンは、水泳とランニングという2種目のスポーツです。
水泳練習は、スイミングクラブと僕達のチーム練習で使っている隣町の「隣国海洋プール」で、唯コーチの指導による練習を続けていました。
ランニング練習については、どこでも出来るので、各自で時間が出来たら走ることになりました。
なので、今日は時間があるので1人でランニングをします。
少し前から1人で走っていたのですが、何km走っているのかわかりませんでした・・・たぶん10km近く・・・かな〜と、当時は思いながら、しばらく走っていたのを覚えています。
ある日、車でランニングコースを測定してみると・・・
僕「え!ええ〜」車の距離計を見ると、なんと・・・いつも走っていた距離が・・・
僕「たった3km・・まじか・・」
自分でかなり距離を走っていると思っていたら3kmしか走ってませんでした。10km・・・ほど遠い・・
今回のアクアスロンのスイムは1km。ランは5kmで、いつも走っていた距離がたった3kmしか走ってないのに、当時はびっくりでした(これは、ほんとの話です。)
ちなみにトライアスロンは、スイム1.5kmでバイク(ロードバイク)40kmにランニング10kmです。
3kmしか走ってない僕は、実際どのくらい走れば10kmになるのかを車で今更ながら測定しました。
まず5kmを、測定します。
5km地点で折り返しで帰ると往復10kmになるので、測定して練習をします。
僕は車を運転しながら、走れそうな歩道を見て車道を走ります。
そして片側2車線の広い道へ出て更に車で走り、本屋さんの前まで来ました。
僕「ここが5km地点か・・・こりゃかなりあるな・・」
その時は途方に暮れた感じでしたが、人間は筋肉を使って肺を使って練習を続けていると、簡単に走れるようになります。
いつ頃、慣れてきたのかは、覚えてないのですが最初は、この5kmと10kmの長さが大変でした。
大会に出て完走をすると自信がつくもので、10kmあたりまえに走れるようになりました。
ただ、当時の僕はアクアスロンまで1ヶ月しかなく、この期間で十分なランニング練習をするのは当然無理でした。
僕「まあアクアスロンは、あくまで練習だからね!」
さて、僕のシューズは当時スポーツ店でマラソンをやっている店員さんに選んでもらいました。
この店員さんは、沢山マラソン大会へ出場してましたが、たばこをいつも吸っている人でした。
ランナーなのに変わった人でした。
黄色の有名スポーツメーカーのシューズを選んでもらい以後、僕のランニングシューズのメインカラーになりました。
走るときの服装はTシャツに短い丈のランニングパンツ(以後ランパン)に、その黄色のランニングシューズです。
靴下はいつも普段使っているものでした。
今日もランニング練習です。
僕「さて今日もやるか〜!」
夜、暗くなっての練習です。
計測する機材は時計のみ。
スタートしました。
パタパタパタ・・・・とシューズの反発音を鳴らしながら走ります。
僕「はぁはぁ・・1kmほどて息が上がるな・・」
当時の走りはストライド走法で、簡単にいうと大股走りです。
パワーのある人はストライド走法でよいのですが、パワーがない人はピッチ走法がいいです。
僕は当然、それすら知りませんでした。
国道の歩道を走ります。
土手に続く登りです。
ここは、呼吸がまた上がります。冬場は体が特に温まる場所です。
土手に上がり、今度は左折して土手沿いの道を走ります。
ここは、けっこう暗い場所で、いちおう街頭があります。
前方に1人のランナーが見えました。
ゆっくり走っているように見えましたが、なかなか追いつきません。
僕「けっこう速いな・・はぁはぁ・・」
大きな川にかかる橋を渡ります。
橋に街頭がついていてきれいです。
まだ、前方にランナーが走っています。
橋を、わたり終えて少し街に出ました。
薬局の前を通過して道を曲がります。
まだ、前方にランナーがいます。
肩から腰に掛けて反射素材のついたタスキを掛けて走っています。
僕「はぁはぁ・・なかなか安全策をとる人だな・・」
更に走り片側2車線の広い道へ出ました。
僕は、片側2車線の広い道沿いを走るため、右に曲がります。
なんと、前方ランナーも右に曲がりました。
まあ、どちらかというと僕が後をつけている形ですが、とにかく行く道は同じです。
ついに交差点に差し掛かり前方の信号機が赤になりました。
僕「ありゃしまった!・・はぁはぁ」
前方のランナーは、歩行者用信号機が赤になってるので止まります。
止まっても軽く足を動かして体を止めません。
僕も、ついにランナーに追いつき信号機で止まります。
ランナーがチラッとこちらを見た瞬間、僕も目を合わせてしまいました。
そこで見たものは・・・・・
僕「ん?」
ランナー「ん!?」
僕「あれ?たしか・・」
植田「あっあなたは・・・確か近江 海さんですね!?」(おうみ うみ)
僕「植田さん?!」
そうファルコンスポーツの植田さんでした。
以前参加した「蟹マスターズ水泳大会」でチーム「ファルコンスポーツ」のところで1人、スーツ姿でプールに居た怪しい人でした。
(株)ファルコンスポーツという小さなスポーツ用品会社の技術者で、開発中の新型トライスーツの試験を兼ねて大会に、自分ではなく職場の人が参加していました。※詳しくは「蟹マスターズ水泳大会」の回を見てくださいね!
しかし・・植田さんは、走るイメージではなく、ここであったのにビックリしました。
でも、服装はファルコンスポーツのロゴが入ったハイテクなTシャツに、ファルコンスポーツのロゴが入った短いランニングパンツに、ファルコンスポーツのロゴが入ったランニングシューズが、かなり格好よかったです!
植田「やっぱり近江さんですね!チームサウルスの。」「こんなところですが、こんばんわ!」と、元気に挨拶をしてきました。
僕「いや〜びっくりしましたよ。植田さんこの近くだったんですね〜」「あっややこしいんで、僕の名前は海(うみ)でいいですよ。」
植田「恐れ入ります。それではお言葉に甘えまして海さんでいきますね!」
僕「それにしても、なかなかかっこいい格好ですね!ファルコンスポーツのですね。」
植田「はい!私が使っている自社製スポーツウェアです。かなりいいですよ。」信号機が青になりました。
僕「走りながら話しましょうか?大丈夫ですか?」
植田「はい!大丈夫です。ちょうどいいです。」
僕と植田さんは、青になった歩行者用信号機を見ながら横断歩道を小走りに渡ります。
ペースは、さっきより遅く会話ができるくらいです。
僕「植田さん、このあたりですか?」
植田「いえいえ、私は隣町です。」
僕「え?」「隣町で東側?」
植田「東側です。現在の距離は21km走っています。」
僕「え!?まじっすか?」
植田「マジです。このファルコンスポーツ製トレーニングシューズは、振動が少なくクッション性に優れてまして、21km走っていてもダメージが、かなり少ないのが特徴です。」「時間は2時間30分走っています。」
僕「疲れないんですか?」
植田「あまり疲れないんですよね。体にダメージが少ないので、私は週3回で20km走をしてます。今日は少し遠くにきてしまいました。」
僕「へぇ〜週3で20kmかぁ〜すごい!ランナーだったんですね〜」
植田「ははっそうです。私はランナーに近いですね。でも、大会経験はないですよ。」
僕「へぇ〜」
僕と植田さんは走りながら話します。
植田「もう3年走ってます。私は運動してないように見えますので、知り合いに会うとみんなびっくりしますよ。ははは・・・」
僕は植田さんがほんとに凄いと思いました。
僕「凄いですね〜」
植田「まあ~シューズのお陰もありますよね。私のレベルなら長距離走ってると体を壊しがちになるのですが、このシューズを履くと違います!」
僕「そういえば、この間のチームの人が着ていた水着も、すごい性能でしたからね。」
植田「このTシャツもランパンもファルコンスポーツの空力特性に優れた曲線技術と素材で・・・(難しい技術の話をしているのでカットしときます。)ということで、かなりこのウェアは、軽いし疲れにくいし涼しいんですよ。」
僕「ハイテクですね〜」
植田「うちの会社の自慢商品ですからね!」
しばらく僕と植田さんは片道2車線の広い道路の歩道を走ります。
僕「はぁはぁはぁ・・・」と歩幅を広げて走ります。
植田「ほっほっほっ・・・」と歩幅を小さくして走ります。
そして、僕の5km地点まで来ました。
僕「植田さん、僕は5km地点なので折り返しますね。」
植田「10kmコースですね!頑張ってくださいね!」
僕「植田さんも気をつけて帰ってくださいね!」
植田「ありがとうございます。」
僕「また、機会があれば走りましょう。」
植田「OKです!また、連絡ください。」
僕「わかました。」
植田「それでは!」と言って街頭がある薄暗い歩道を走って暗闇に消えていきました。
なんか、植田さんが凄くストイックで、たくましく見えました。凄い・・・思ってたより凄い人です。
僕は、5km地点で既に体がフラフラでした。
僕は後半5kmを走りながら帰っていきました。
つづく・・・・・