41.第21回島の国トライアスロン大会(2)ーー「地元女王・岬さん!海上の死闘」――
※この物語に登場する組織やルールは架空のものであり、実在する組織とは無関係のフィクション作品です。
※この物語の舞台は、実世界におけるITUやJTUが存在しない、完全にオリジナルな異世界です。ここではトライアスロンは独自の歴史と発展を遂げ、従来の枠にとらわれない革新的な競技となりました。その結果、最高権威を持つ組織として誕生したのが「インフィニティ・トライアスロン・フェデレーション(ITF)」です。ITFは、自由な装備選択や革新的なルールを推進することで、選手たちが個性と戦略を存分に発揮できる環境を提供し、この世界におけるトライアスロン競技の基盤となっています。
ーーーーーーーーーーーーー登場人物ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【主要登場人物・チーム紹介】
近江 海(おうみ うみ) 僕
チーム「TRY REX」のリーダー。 介護福祉士の仕事をしながらトライアスロンの練習を続けている。
今年はバイク未所持などの理由で本大会を見送り、仲間とともに応援と次年の出場を目指す。
根は冷静だが、内心は誰よりも熱く燃えるタイプ。
中野 直也(なかの なおや)
元空手道全国大会優勝者。試合のほぼすべてを“秒殺”で勝ち上がった伝説を持つ。
根性論のかたまりだが、唯コーチの科学的指導で水泳の練習をしている。
今年は応援に専念しつつ、来年の出場を目指している。
口調は荒々しいが、憎めない豪快キャラである。
糸川 陽子(いとかわ ようこ)
会社事務員。地道な努力を積み重ねて“努力の天才”とも呼ばれる。
スイムとランが練習量が多い為か着実に伸びており、来年のトライアスロンへの初出場を目指している。
ほんわかしたおっとりした性格だが、決めるときは決める芯の強さがある。
速水 唯(はやみ ゆい) 唯コーチ
元学生水泳全国大会優勝者。“生まれてから水泳で負けたことがない” という伝説的スイマー。
現在はスイミングクラブでコーチを務め、チームの練習メニューも組む頼もしい存在である。
今年は観戦&応援に専念し、“スーパーアスリート魂”をくすぶらせている。
植田 亮一(うえだ りょういち)
あまり名の知られていないスポーツメーカー「(株)ファルコンスポーツ」の技術者。
しかしファルコンスポーツはほとんどの有名メーカーが発売している爆発的ヒット作を他メーカーに提供しているとんでもない会社。
そのファルコンスポーツの天才技術者が植田さんである。
いつもタブレットやGPS機器を持ち歩き、選手の動きを科学的に分析。
性格は礼儀正しく堅苦しいが、どこか愛嬌があり、チームの“頭脳”や“サポーター”のような存在。
岬 智子(みさき ともこ)
チーム「鉄神51.5」のリーダー格。
島の国トライアスロン大会」常連優勝者で、他大会でも優勝歴が多い実力派。
愛用しているパープルのハイレグカットの競泳用水着(トライスーツ)で、抜群のコース熟知力を武器に今大会は勝負をかける。
八王子(はちおうじ)
ロングディスタンス・トライアスロンで大活躍。
ワイルドな性格&高いプライドを持つ。
黒い袖付きハーフスパッツのトライスーツ姿で“DHポジション”を多用し、強力なパワーを武器にバイクを得意とする。
黒の袖付きフルロングスパッツ一体型トライスーツを着ている。
嘉栗(かくり)
“鉄の肺”を持つ男。潜水や心肺勝負で並外れた能力を発揮する変人。
黒の袖付き・ハーフスパッツ一体型トライスーツを着て、行動も謎めいている。
今回バイクパートでどんな戦術を見せるか、周囲から注目されている。
藤原 涼子(ふじわら りょうこ)
チーム鉄神51.5所属でスイムが得意。
ネイビーのスパッツ型競泳用水着(トライスーツ)を着用し、オープンウォータースイムでは岬と互角の実力。
ただし、バイクは少し苦手で特にぬかるみ道や激坂にはやや不得意である。
高橋 結城(たかはし ゆうき)
足回しの良いことを根拠にして黒のハイレグカット型競泳用水着(トライスーツ)でレースをする理論派女性ランナーである。 スポーツ科学をバックボーンに、理論とデータに基づいた緻密な練習プランを自ら構築する戦略家。
ランが得意で理論的な走りをする。
蒼井 颯那(あおい そうな)
プロ・トライアスロン選手。
日本人×アメリカ人のハーフで高身長で足が長い。藍色のハイレグカット型競泳用水着(トライスーツ)を着ている。
世界トップクラス、オリンピック出場経験があり、自己ベスト1:59:59という超人。
“氷の女王”とも呼ばれるほどクールな性格で、大人びた美貌と圧倒的実力を誇る。

ーーーーーーーーーーーーーーーー本 編ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
――スイムパートの激動――
午前10時
“第21回 島の国トライアスロン大会”が幕を開け、約500名の選手が海へ雪崩れ込んだ!!
日本のトライアスロン大会では珍しい一斉スタート方式が採用されている本大会は、スタート位置であるビーチと海の幅は300mほどあるとても広いスタート位置でスイム会場も相当広いビーチである。
この海水浴場は砂浜が大きな湾になっていて各選手が混雑を避けて泳ぐには十分な広さだ。
しかし折り返し750mを2回周って1500mの周回コースなので、スピードを競う選手はイン側を泳ぐ為、混雑はある程度してしまう。
現在、スイムスタートをしたがビーチから海を見ると洗濯機のように選手がぶつかり合い、波と泡が渦巻く光景が広がっている・・・・・
応援の和太鼓が「ドンドンドン!!」となっていてレースを盛り上げている。
最初の100m
先頭付近は・・蒼井、岬、藤原か・・・八王子か・・それとも嘉栗か・・・
アナウンス(会場スピーカー)
「先頭の選手は・・・よくわかりにくいですが・・男性選手のようです。」
中野「誰だ・・?唯コーチか??」
唯コーチ「私はここに居ますよ〜誰か別の選手ですね〜」と笑顔で言う。
海「まあ、これだけ沢山いれば他に速い選手がいてもおかしくないかな・・」
植田「私のデーターによれば・・かなりの速さですよ〜はい!」
100mを超えたが先頭は男性選手のようで後続者を相当引き離している。凄い速さだ・・・
アナウンス(会場スピーカー)
「圧倒的な速さで先頭の選手はスイム力は本物です! ・・後方では・・・おっと、蒼井選手、岬選手、嘉栗選手、八王子選手が集団を形成しているようです。 まさに予想通りの強豪たちが先頭を追うかたちです!」
糸川「なんでアナウンスの人、誰かわかるんだろう?」
唯コーチ「たぶん、小型ドローンで上空から見ているんでしょうね。」
植田「あと各選手の足首にセンサーを取り付けていてGPSがついているのですよ。」「なかなか高性能のセンサーです。はい」
糸川「なるほど〜」
中野「あとあそこに巨大モニターがあるんだよな。しかし大型救助用ドローンは飛んでるし、小型監視用ドローンはいるし、潜水士は沢山潜っているし、ライフセーバーは沢山いるし、最後にアメリカの医者まで来ているしで、ほんとにすげぇ大会だな・・」
海「テレビやネットで生中継されているしね。」
中野「ありえん・・・だが!おもしろい・・・」
映像では、先頭の男性選手が滑るように泳ぎ、その背後の4人(蒼井・岬・嘉栗・八王子・藤原)が、ほぼ順番に縦並びになっている。
さらに榊原、高橋など他のチーム鉄神51.5メンバーも10位前後のグループにいる。
僕ら応援組はビーチから大スクリーンを見るしかないが、ドローン映像が海上を捉え、トップ勢がどのように泳いでいるかなんとなく分かる。
見えにくい場合はスマホのネット中継を見ながら確認をしている。
中盤750m折返しへ
スイムは合計1.5km、750m地点でブイを回る折り返し前です。
先頭の男性がブイを回る瞬間!
男性の体が「ぐわぁっ」と持ち上がって体が回転したのが見えた!!
海・中野・糸川「ええっ!!」
中野「なんだありゃ〜腹まで見えたぞ!」
糸川「今回転しましたよね・・・」
海「確かに・・・」
唯コーチ「あれは強烈な流れによるものですよ。」
植田「あの折り返しの下に大きな岩がありましてですね〜そこだけ強烈に浜辺に向かって流れがあるんです。」
中野「なんだと〜あぶねぇ〜じゃね〜か!!」
海「そういえば・・このトライアスロンは過酷なコースで有名だからね〜」
植田「そもそも、ここのビーチは流れが穏やかなのですが、あの折り返しのところだけは流れがキツくなります。」
唯コーチ「流れと言っても、時間によってビーチに向かって強烈な流れが来るだけで事故はいっさいないみたいですよ。」
糸川「まあ〜安全って・・・ことですよね・・・」
唯コーチ「でも、いつも流れが来る時間帯にはライフセーバーがいるって話ですよ。ちょっと怖いですよね〜」と笑顔で言う。
アナウンス(スピーカー)
「おおっと先頭の男性選手。島の国トライアスロン大会名物の黒潮海流引っかかりました〜」
中野「名物!黒潮海流だと〜舐めんなよ〜!」
先頭の男性は回転した後、流されていきます。その後ろにすぐに蒼井 颯那が迫っています。蒼井と並びかけた瞬間!!
先頭の男性スイマーは体制を立て直して、腕を猛烈に回転させ飛び跳ねるようなクロールをしだしました。
蒼井 颯那と並んだかと思うと一気に前に出ます!
そして蒼井 颯那がブイを回る瞬間に男性が猛烈なクロールで前に出ました〜
アナウンス(スピーカー)
「す、すごい!さっき流されたのに男性選手は、この海の流れをものともせず行けていきました〜凄い!」
蒼井 颯那は少し流されたものの、飛び跳ねるようなヘッドアップクロールでブイを周り・・・やや苦戦しながらもブイを抜けていきました。
アナウンス(スピーカー)
「さあ、皆さん!今、スイムスタートから折り返しの750m地点を先頭と蒼井選手が行けていきましたが、ぶっちぎりで先頭を泳ぎ!駆け抜ける、あの男性選手は誰なんでしょうか?素晴らしい泳ぎです。」
会場内は期待と興奮に包まれ、誰もがその先頭の男性の泳ぎに釘付けになっています・・・
上空では小型ドローンが静かに旋回し、選手の足首に装着されたGPSセンサーがリアルタイムで位置とタイムを記録している。
アナウンス(スピーカー)
「おっと、皆さん、見てください!小型監視用ドローンとGPSセンサーから判明しました。先頭を独走しているのは、伝説のスイマーと呼ばれた”南城颯太”選手です!」
中野「なんだそいつは・・・?知らん」
海「聞いたことないね・・伝説なら唯コーチも伝説のスイマーだけどね・・」
糸川「唯コーチは知らないんですか?」
唯コーチ「はい!知ってますよ。」
植田「さすがスイマーですね〜はい!」
唯コーチ「南城さんは南城颯太(なんじょうそうた)と言います。現在は20歳ですね。高校学生水泳選手権で不動の速さでしたが、肝心の日本選手権では体調不良で出場を逃して、学生時代は惜しまれながら幕を閉じました。その速さは生涯で無敗だとか・・・でも今日、南城さんはトライアスロンの大会に出てますね。これは学生時代の悔しさをぶつける為にトライアスロンに挑戦しているんでしょうかね〜・・・」
海「すごそうだね〜でも唯コーチも無敗なんだよね?
唯コーチ「はい!私も生まれてから水泳の試合では負けたことがありません。」
糸川「唯コーチと同じ感じなんですね〜凄いな」
海「でも南城はさ、学生時代は3年あるのに一回くらいは出られなかったの??」
唯コーチ「それが中学時代までは大会に出て優勝していたみたいですが高校3年間だけ、すべて体調不良で欠場ということらしいですよ。かわいそうですね・・」
中野「ガラスのメンタルじゃね〜のか・・・」「俺は意地でも出て優勝するぞ!」
植田「中野さんは硬派ですからね〜はい。彼は、壊れやすいくらい繊細なのかもしれませんね。はい」
アナウンス(スピーカー)
「南城選手、折り返しましたが全くスピードが落ちない。まさかこんな選手が出ていたとは・・予想外だけにすごい番狂せです!」
その一方で、蒼井 颯那がスーッとピッチを上げてきました。さすが泳力もかなりあります。距離を詰めはじめる。
蒼井 颯那は、藍色のハイレグカット型競泳用水着を着ていて脚が長く、水中カメラが撮影したシーンでは流線形のフォームが活きている。全体重を効率的に推進に変えています。
続いて、岬 智子がついていく。ハイレグカット型競泳用水着を着ているトライアスロンの地元女王としてスイムにも自信はあるが、さすがに蒼井と並ぶと少し苦しそうだ。
嘉栗と八王子はさらに2〜3m後ろで泳ぎ、様子を伺っている形である。
アナウンス(スピーカー)
「南城選手がトップを泳ぐのか・・・ しかし蒼井選手が秒差で迫っている、これは分かりません!」
残り700m程・・・
南城は、腕を更に早く回し出す。そして後ろに迫っていた蒼井を急に引き離し出した・・・凄い・・
すると蒼井の後に続いていた岬さんも引き離されていく。なんて速さだ・・・
実際の映像を見ても、南城と蒼井の速さがよくわかる・・・二人とも必死に腕を回し続ける。
蒼井は相変わらずクールで、横から伸びやかにクロール。
アナウンス(スピーカー)
「今、常連の岬選手がブイを回ります。流石にコースを知り尽くしている為か、流れをものともせず折り返していきます。」
岬さんは離されていき少しきつそうな感じがする・・そのかなり背後に嘉栗と八王子がついていく。
八王子は、さすがにベテラン。折り返しでは流れをものともせず折り返していく。その後ろから嘉栗が来る。
嘉栗は、折り返しで・・・流れをものともしないで流されていきました・・・・・・・・・
その後ろから藤原さんがきました。さすがスイムが得意でこのコースを知り尽くしている。簡単に抜けていきました・・・
海「藤原さんさすがだな〜」
糸川「嘉栗さんはどこにいきました??」
中野「流されているじゃねーか〜(笑)」
と、僕たちは思っていたら・・・なんと・・・クロールで泳いでいる藤原さんの前に嘉栗が出てきました。
アナウンス(スピーカー)
「あれ?今、無名の男性選手が流されていったのに、先にいった女性選手の前に出てきました???どう言うことでしょう??」
唯コーチ「う〜ん・・・たぶん・・・嘉栗さんは・・・潜水してたんですね〜」
海「せ、潜水って??あの強烈な流れの中???」
中野「そんな人間、普通いねぇ〜んじゃね〜のか〜・・・」とびっくりしながら唯コーチに言う。
唯コーチ「いいえ!嘉栗さんの異名は”鉄の肺を持つ男”です。」
一同「ハッ・・・・」
確かトライアスロン会長、石原祐一郎さんがいっていたあの言葉が・・・それです・・・
嘉栗は、そう潜水をしてあのパワーであの折り返しの流れを水中で泳ぎ、ブイを回った上でさらに水中で藤原さんを抜いたのです!凄い!!ありえないです。
唯コーチ「嘉栗さん凄いですね・・・私にはできない泳ぎですね〜」と笑顔で言う。
中野「くそぉ〜変人め〜」と驚きを隠せない様子。
海「このレースますますわからなくなってきたな・・・」
さて・・・・
アナウンサー(スピーカー)
「トップは依然として南城選手です。 後ろから蒼井選手が必死で追いかけている様子ですが、なんと!ジワジワさが開いていきます!南城選手!なんという速さだ!!」びっくりだ・・・
アナウンサー(スピーカー)
「岬選手もいい位置だ! さらに八王子選手に後続は・・嘉栗選手が続いています。」
南城がやはり速くて、後続の蒼井を離していく・・見事な泳力です。
1位 南城
2位 蒼井
3位 岬
4位 八王子
5位 嘉栗
6位 藤原・・・・・こんな感じ・・
と言う展開。
海「なんちゅー速さだ!蒼井 颯那が一位になるかと思ったら南城か〜」
中野「伏兵だな・・しかしなんちゅー速さだ・・こんな田舎のトライアスロンで観れるとはな・・ありえん」
糸川「まあ、トライアスロンは水中だけではないですから〜」
唯コーチ「わあ〜さすが南城さんですね〜速いですね〜」
植田「私の計測器の予想では1500mは13分くらいです。はい」
海、中野、糸川さん「えっ!?」13分って・・・・世界記録じゃない?
ーーーこの世界はフィクションの世界ですーーー何があるかわからないーーー
植田「世界記録くらいの速さですね〜はい〜」
そのまま全選手リタイアする選手もなく進んでいくが最後の300m急に波が荒くなる・・・
アナウンス(スピーカー)
「最後の300mあたりから強烈なうねりが出てきます。ここのビーチでは遊泳禁止区域です。」
中野「な・なんだと!!」
海「大丈夫かここの大会!」
アナウンス(スピーカー)
「しかも今年はそれに加えて強烈な流れがあり・・流されて折り返しまで戻される選手が予想されます。」
南城が流されて少し後退する・・・腕を大きく回して流れに逆らって進んでいく・・・
蒼井も、流されている・・・腕を大きく回して流れに逆らって進んでいく・・・
岬さんも流されている・・・腕を大きく回して流れに逆らって進んでいく・・・
八王子、嘉栗、藤原さんはこれからここに差し掛かる・・・どうなる・・・
普通では考えられないこの世界のトライアスロンは現実社会のレースよりも過酷な競技です。
誰が勝者になるかは誰にもわからない・・・・・
海「バイクとランは、また違った過酷さが待ているはずだ!本当の勝負は、スイムを出てからが始まりだ!」
中野「よっしゃ〜! つづく・・・!」
つづく・・・・・・

AMINOSAURUS GEL アミノサウルス ジェル アルギニン 2種各4合計8個入 (マンゴー・レモン) 国産 機能性表示食品 マラソン 補給食 ジェル ランニング 補給食 フル マラソン完走セット 長距離ランナー 完走セット

【店内商品3点以上でさらに3%OFFクーポン配布中】アリーナ ARENA 水泳 バックパック 35L リュック スイミングバッグ デイバッグ スポーツバッグ 2025年春夏モデル AS5SBP11U