21.元アスリート!意地をみせる!

※この話は、実話をもとにしたフィクションであり、オリジナル世界観になっています。よろしくお願いします。 

 

※登場人物※

近江 海(おうみ うみ)    →僕

中野 直也(なかの なおや)    →元空手全国大会優勝者

糸川 陽子(いとかわ ようこ)    →会社事務員

速水 唯(はやみ ゆい)    →元水泳全国大会優勝者

佐山 勝武(さやま かつたけ)     →昔の知り合い(チームひかり)

三角 静香(さんかく しずか)    →佐山さんの仲間(チームひかり)

潮川 厚(しおかわ あつし)    →地方水泳大会優勝者(チーム隼) 

 

 

   ━━━本編━━━   

   蟹マスターズ水泳大会

   チームメドレーリレー 

第3泳者 

バタフライの、中野直也(なかの なおや)選手と大岩菱(おおいわ りょう)選手がバタフライ25mを、折り返して並びました。

中野が先にスタートし、差が開いていた大岩選手が25mの折り返しで、中野に追いついてきました。

糸川さん「中野さん!がんばれー!」

僕「中野ーー!」

唯コーチ「なかのさーん!がんばれー!」

中野と大岩山選手は、バタフライで大きな水音をたてて突き進みます。「バッシャーン!バッシャーン!バッシャーン!」

中野と大岩選手は、並んだまま37mを通過します。

僕「中野に追いついてきた大岩選手が中野を抜けないみたいだぞ?!なんでだ?」

唯コーチ「たぶん、中野さんがフルパワーで泳いでるんだと思います。さすが凄いパワーですよ。」

糸川さん「中野さーん!がんばれー!」

中野と大岩選手は、遂に50mまで並んで折り返しに入ります。

両者!壁タッチ!体を反転させて壁キック!蹴伸びー!

両者!ドルフィンキックー

唯コーチ「中野さん・・・動きも、かなりいいですよ。」

僕「ほんとだ。綺麗に折り返しも出来ている・・・パワーもあるしな。」

糸川さん「あっ水面に出てきたよ!」

両者、ドルフィンキックからバタフライに入ります。

凄い波しぶきを上げています。

どちらかというと中野の方が、波が荒い。

唯コーチ「中野さん、フォームも動きも今までで、一番いいです。それに加えてパワーが入っていて速いんですよ。」

僕「でも、あれだけ離れていた大岩選手が、中野に追いついてきたくらいの実力者というのに、追い越せないなんて??」

唯コーチ「たぶん、25m折り返しで中野さんが、追い付かれたことに、気付いて格闘家的パワーでスピードを上げていると思います。かなり無理していると思いますけど・・・」唯コーチは、スイミングキャップを被りながら言いました。

糸川さん「75mのターンに入るよ!」

中野と大岩選手は、同時に75mの壁をタッチします!

体を反転させて壁キック!蹴伸びからドルフィンキックー!水中の攻防です。

唯コーチ「じゃあ、海さん糸川さん、私は行くね!」

唯コーチは、次の泳者の為、飛び込み台に上がります。

僕「よし!がんばってね!」

糸川さん「唯コーチ!ファイト!」

バタフライの1位、2位、3位の選手が100mを終えて最終、自由形の選手が飛び込んでいきます。

「ドドドドッボーン〜!」

それとは、別に熱い攻防が繰り広げられてます。

中野と大岩選手は、同時に浮上してバタフライに入ります!

「バッシャーン!バッシャーン!バッシャーン!」

中野は、物凄い水しぶきとうねりを使って、大岩選手と折返し後も、並んで突き進みます!!

僕「あっ少し大岩選手が前に出てきた!」

その時、中野のバタフライの様子が変わりました。

糸川さん「あ!中野さんが大岩選手より少し前に出たよ!凄い抜き返した!中野さん!」

中野が大岩選手より少しだけ前に出たが、大岩選手も負けじと波しぶきを立てて再び中野と並びます!

唯コーチは、ゴーグルを目に当てます。

唯コーチ「息継ぎなしのバタフライですね!かなり抵抗が減ってますよ。」

糸川さん「えー大丈夫??」 

中野と大岩選手は87mを同時に越えます!

唯コーチ「私、いきます!」「海さん中野さん引き上げてくださいね!」と手の平を見せて笑顔で言う。

僕「任せといて!唯コーチがんばれー!」 

唯コーチは、スーパーアスリートの輝きを出していました。

中野と大岩選手は、周りの目を引く強烈なバタフライで突き進んできます!「バッシャーン!バッシャーン!バッシャーン!」

唯コーチが、構えます。

中野は、息継ぎなしバタフライの強烈パワーで大岩選手と並んでます。

糸川さん「なかなか前に出られない・・がんばれ〜中野さん〜!」

僕「なかのー!」

僕も糸川さんも唯コーチも、さすが空手日本チャンピオン!勝負してると思いながら見てました。

両者「バッシャーン!バッシャーン!バッシャーン!」

唯コーチが更に構えます。

隣の飛び込み台には、早川ひかり選手が構えています。

中野と大岩選手が、壁をタッチ!100m!!!

唯コーチが飛び込みー!「バシャーーン!」

早川ひかり選手も飛び込みます!「バシャーーン!」

少し唯コーチが速い!

2人とも、水中ドルフィンキック!速い!水中の攻防戦!

僕は中野が顔を出すと、息が切れているのに気づき、中野と目を合わせて、すぐにプールサイドに引き上げた。 

中野は、すぐに横たわってしばらく話をしない。「ぜぇぜぇぜぇぜぇぜぇぜぇ・・・」

隣の大岩選手も佐山さん達に引き上げられて、横に寝転んでいる。

かなり疲れている様子です。

糸川さん「凄い!中野さん、さすがですね!」

中野は、横たわりながら僕と糸川さんを見て、ニヤッとして右手で親指を立ててグーとやった。

唯コーチは、浮上して6ビートクロールに入っています。

早川ひかり選手は、浮上して唯コーチの手前5mをクロールで泳いでいます!

僕「速い!!早川さん・・むちゃ速いぞ!」

糸川さん「唯コーチ!がんばれー!」と声援を送ります。

大岩選手「お、俺が素人と同着だなんて!!」と両手をついて上半身を起こしながら言いました。

佐山さん「まあ、ひかりちゃん速いからな。仇を取ってくれるよっ!」と大岩選手を軽く叩く。

中野「はっはっはっ俺を舐めるなよ!コノヤロー」

糸川さん「喧嘩にならないの?」

僕「たぶん、中野のことは佐山さんが知ってるから、ならないかな・・」

大岩選手「ひかりちゃんは、速いからな。隣のチームには負けないよ!」

中野「そうはいくかっ!」

僕は唯コーチを見ます。

早川ひかり選手は、物凄いスピードで25m折り返しをクイックターン!

すぐに潜水してのドルフィンキック!スゥーと水中を進んでいます。

唯コーチも、遅れて25mクイックターーン!!

速い!もうドルフィンキックに入ってます。むちゃくちゃ速いです。

水中の攻防です。

浮上すると早川ひかり選手が前に出てます。

唯コーチも浮上します。

早川ひかり選手が前にいます。唯コーチが2m後ろです。

両者、6ビートクロールで前進してます。速い!!

糸川さん「クロールのスピードは五分五分ですね。」

僕「でも、唯コーチのクイックターンが激烈に速いな。」

中野は、横たわったままです。

早川ひかり選手と唯コーチの距離は変わらず2m差。

1位 リレー400mゴールしました!

山田陽一郎選手のチーム隼が、吉川弥生選手の、いるかスイミングを抜いて優勝です。

早川ひかり選手、50m折り返し!前転してクイックターン!

壁キックし蹴伸びー!

唯コーチも前転して高速クイックターン!

もう、蹴伸びに入ってます!速い!

水中の攻防戦!ドルフィンキック!

僕と糸川さんは、唯コーチをじっと見てます。中野は横たわってます。

佐山さん「よっしゃー!そのままひかりちゃん!いけー!」

大岩選手「ターンが速いな・・・何者だ?」

早川ひかり選手は、浮上しクロールに入ります。

唯コーチも、浮上しクロールに入ります。

その差、1m。

僕「ターンで差が縮まってる・・」

糸川さん「唯コーチ、凄いけど相手も速いね・・」

2位がゴール!いるかスイミングの吉川弥生選手!

3位ゴール!鉄神51.5の岬智子選手!

早川ひかり選手と唯コーチの差は変わらず1m。

大岩選手「ひかりちゃん次のターンで、本気だす気だな・・あまり速く泳いでない。」

佐山さん「そ、そうなのか?まだ速いのか。信じられん。」

大岩選手「あんなもんじゃないよ。ひかりちゃんはな。」

隣のレーン、飛び込み台近くで話している佐山さんと大岩選手の話を聞きながら僕達は、唯コーチを見てた。

糸川さん「唯コーチ・・大丈夫かな?」不安そうにしてます。

僕「大丈夫!大丈夫!これからだよ。元アスリートの維持だね。」

早川ひかり選手と唯コーチはの差は1m。

変わらずいよいよ70m近くまできました。

中野「唯コーチ、出るぞ!ここは勝負だぜ!」と、両手をついて上半身を起こした。

大岩選手「まさか・・な?」

佐山さん「何が起こる?」

早川ひかり選手が75m。前転、高速でクイックターン!

壁キック!けのびー!

唯コーチ75m。高速クイックターン!壁キックー!

スゥーーーと、けのびで伸びます。

水中攻防戦、ドルフィンキック!

先に、早川ひかり選手が浮上して強烈な波しぶきをたてて、6ビートクロールに入りました。

唯コーチ浮上ー!凄い水しぶきを上げて6ビートクロールです。物凄く真っ直ぐとした体で、体幹がしっかり見て取れます。

大岩選手「あっ!こいつ!やばい!」

よく見ると早川ひかり選手の前に、唯コーチが泳いでます。

その差、僅か20cmくらい。「バシャバシャバシャバシャバシャバシャ」とぶん殴るようなクロールです。

僕「よし!唯コーチいけー!」

糸川さん「唯コーチ!がんばれー!」

中野「ゆ、唯コーチ〜」と疲れた声。

早川ひかり選手と唯コーチが、再び並びました。

大岩選手「よし!並んだ!よし!」

佐山さん「さすが!ひかりちゃーん!」

僕「唯コーチ!がんばれー!」

糸川さん「唯コーチ!がんばれー!」

中野「さすが、唯コーチだぜ!」

90m通過します。あと少し・・

僅かに・・唯コーチの前に、早川ひかり選手が出ます。

大岩選手と佐山さんが「よっしゃー!」

僕「唯コーチ!」

糸川さん「唯コーチ!」

中野「ふわぁ〜〜」

唯コーチの前に出てた、早川ひかり選手が壁タッチ!唯コーチも壁タッチ!

ゴールしました!!

4位 早川ひかり選手 

    チームひかり

5位 速見唯選手   

    Teamサウルス

佐山さんと大岩選手「いっ!やったぁ〜!」

僕と糸川さん「やったぁ〜〜!」と唯コーチ向かって拍手をします。

中野「さすが唯コーチ!いい勝負したな〜」

大岩選手「やっぱり実力の差が出たな!」

佐山さん「まあ、ひかりちゃんは、現役選手だからな。勝って当然だ。」

僕は、佐山さん達の言葉を無視して、唯コーチの方へ行った。

飛込み台下の、プールに浸かったまま、ゴーグルを外した唯コーチを見ました。

唯コーチ「海さーん!負けちゃいました〜すみませーん。」

僕「大丈夫!大丈夫!いい勝負だったよ!さすがアスリート!感動したよ。唯コーチ大丈夫?」

唯コーチ「大丈夫です!」意外に、疲れていない唯コーチを見て、びっくりしました。

隣の早川ひかり選手は、疲れたみたいで、まだゴーグルを付けてコースロープに、しがみついています。

佐山さんに、三角選手に、大岩選手が、早川ひかり選手に近づいてきます。

佐山さん「大丈夫か?」

大岩選手「ん?大丈夫?」

早川ひかり選手は、疲れた表情で唯コーチを見て「あなた・・・むちゃ速いわね〜」「なんて速さなの・・」

唯コーチ「早川さんも、かなり速いですよ。」と言いながら唯コーチは、ゆっくりとプールサイドに上がった。

案外、疲れてない唯コーチを見て更に、びっくりしました。

僕「大丈夫なんだね!唯コーチ。よかった。」

唯コーチ「あ、ありがとう。短距離だったから大丈夫でした。」

糸川さん「唯コーチ!凄かったよ。私いいレースが見れました。カッコよかったです。」

唯コーチ「ありがとうございます!」

中野「さすが元アスリート!意地を見せてもらったよ。」

唯コーチ「中野さんもね!」

6位 烏賊本成江選手 チームいかもと家ゴール!しました。

隣の早川ひかり選手が、大岩選手にプールの水から引き上げてもらってます。

プールサイドに上がると、フラフラになってました。

唯コーチ「さて、チーム席に帰りましょう!」

僕「取り敢えず、これでレースが終わったけど、次が楽しみになったね!」

糸川さん「私もそうです!出せる力だしたから悔いないです。」

中野「俺も、悔いなしだぜ!」

唯コーチ「私もいいレース出来ました。」「現役の時より遅くなりましたけどね!」

僕「へっ?」

糸川さん「はっ?」

中野「なぬっ!」

僕「もっと、速かったの?」

唯コーチ「はい!速かったです!」と笑顔で言う。

チーム席に歩いている途中で、3位の岬さんがきました。

岬さん「みんな、お疲れ様。」

僕「お疲れ!岬さん3位決勝おめでとう。」

岬さん「ありがとう!」と笑顔で話します。

岬さん「みんな凄くいいレースしてましたね!やっぱり唯コーチは、凄い人なんですね。」

唯コーチ「ありがとうございます!岬さんもおめでとうございます。」

じつは僕達のチームは、あまり上位のレースは見ていなかった。

岬さん「Teamサウルス。いいチームですね。」「私達はトライアスロンチームだから、今回のスイムレースは満足のいく結果だったんですよ。」

中野「そうだな。トライアスロンなら水泳専門じゃないから、自転車やマラソンでも勝負するからね。」

岬さん「そうなんです。」

僕「また、機会あったらよろしくお願いします。」

唯コーチ「スイミングクラブにも練習に来てくださいね。」

岬さん「はい。行きますね。」

糸川さん「わぁ、岬さんとも知り合いになれて、よかったです。」

岬さん「そうそう、そこでいいチームだから、皆さんトライアスロンにチャレンジしてみませんか?」

僕「トライアスロン・・」

岬さん「そうです。夢の島トライアスロン大会ならリレーの部があるから、皆さんいい成績になると思います。」

僕「ハードル高そうだな・・」

唯コーチ「私も、知らない世界です。」

僕「ま、まあ、また考えておくよ。」

中野「俺はリーダーが行くと言えば出撃OKだぜ!」しばらく僕は考え込むが答えなし!

岬さん「まあ、声掛けだけだから、また機会あれば大会でお会いしましょう!」と行って手を振ってくれた。

岬さんと別れた僕たちはチーム席に帰りました。

僕達の、蟹マスターズ水泳大会は、これで終わることになるのでした。

つづく・・・

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