19.仲間との信頼関係

※この話は、実話をもとにしたフィクションであり、オリジナルな世界観になっています。よろしくお願いします。

 

※登場人物※

海(うみ)→僕・中級者水泳教室の生徒 介護福祉士

中野(なかの)→元空手全国大会優勝者・中級者水泳教室の生徒

糸川さん(いとかわ)→会社事務員・中級者水泳教室の生徒

唯コーチ(ゆい)→元水泳全国大会優勝者・スイミングクラブのコーチ

佐山(さやま)→海(僕)の昔の知り合い・ウェイクボードやスキーをしていた。

三角(さんかく)→佐山さんの仲間

潮川(しおかわ)→地方水泳大会優勝者

 

 

    ━━━本編━━━

蟹マスターズ水泳大会。

個人種目、最後のクロール700mの男女が終了しました。

休憩15分を挟んで、いよいよチームメドレーリレーです。

チームは、全部で12チームあり、1チーム4人で構成されています。

Aブロック、Bブロックの2ブロックで最初競技を行い、各ブロック上位3チームが決勝の6チームで競います。

Aブロック6チーム、Bブロック6チームがレースをし、各ブロック3位までが決勝で戦います。

決勝でAブロック3位、Bブロック3位の6チームでレースをして、上位3チームが入賞し、蟹を貰うことが出来ます。

プールは、25m短水路。全6レーンを、1レーン1チームが使います。

1人が1種目100mを泳ぎ、次の泳者にタッチし、全400mです。(壁にタッチするとバトンを次の泳者に渡せる。)

泳法の順番は、背泳ぎ→平泳ぎ→バタフライ→自由形です。

最後の自由形は、みんなクロールとなります。

僕達は、4人しかいないので丁度よく1チームになりました。

他のチームは、泳がない人も出るのでチームメドレーリレー以外の個人種目にたくさん出ている人もいました。

チーム名も、自由に決めることが出来、僕等は「チーム サウルス」と言う名前にしました。

ただ単に強そうだからと言う理由です。

 

    ━━休憩時間━━

僕は、みんなと一緒に唯コーチの掲示されている結果票である、リザルト記録を見に行きました。

僕と中野は、Tシャツを着て、糸川さんと唯コーチは、パーカーを羽織っています。

糸川さん「唯コーチ!凄いね!1位だね!凄いな〜タイムは、7分58秒か。」

唯コーチ「糸川さんありがとうございます。」

中野「俺達も、周りから一目置かれたな。」とニヤニヤとしてます。

僕「周りの予想を見事に、うらぎったからね!」とニコニコ。

唯コーチ「あと少し時間あるので戻って秘密のレッスンをしましょう。」

僕と糸川さん「えっ!?秘密の?」

唯コーチ「そうですよ。」と笑顔でいいます。

中野が、男性選手のリザルト記録を見て言います。

中野「おっ!これ男性700mか?」「女性700mの前に競技してたな。俺、あまり見てなかったけど、男性の1位は速いな。」「1位 7分32秒か」「まあ、男だからこんなもんだろな。潮川(しおかわ)って人か。」

唯コーチ「そういえば、かなり速い人ですよね。色んな大会で優勝している方です。」

糸川さん「潮川さんは、唯コーチより速いの??」

唯コーチ「そうですね。基本的に女性より男性の方が、力が強いから速いんですよ。」

僕「ん?だけど、唯コーチって選手時代、男性より速かったんじゃなかったっけ?」

糸川さん「そういえば、焼肉屋の食事会の時、言ってたよね?」

中野「そー言えば、焼肉屋で言ってたな。」

唯コーチ「あ、あれは昔の選手時代の話ですよ。今は泳いでないし全然無理です。」

中野「じゃあ、選手時代は、今より力が強かった訳だから、もっと筋肉質だったってことかな?」

糸川さん「えっ?そうなのかな?」

唯コーチ「せ、選手時代は、もっと泳いでたから確かに今よりは力が強かったですが、体形はあまり変わらないですよ。」「私は、技術的な面で速かったんですね。」

僕「そうだね。この前プールで、水泳部の合宿に来てた男子選手に勝ったよね〜」「毎日泳いでいる連中相手に勝っちゃったね!」「やっぱり技術面で唯コーチは、優れてるんだな。」「練習もしてないのに力の男子選手に勝てるんだから驚きだな。」

唯コーチ「私は技術的な面で言う、技(わざ)が優れてると言われてました。」

中野「お!技か。俺も技は優れていると言われてたよ。空手だけどなっ!」

唯コーチ「技で、力に対しても勝てますよ。」「と、いうことで、丸秘レッスンをしておきましょう。」と笑顔で話します。

その時・・

2人連れが、僕達の横を通り過ぎようとして、気がついたように話し掛けてきました。

佐山「おっ!」「海くんじゃないか。」と、言って立ち止まりました。

僕は、振り向いて無言で黙ってました。

佐山「いやー海くん達。凄く速かったね〜」

僕「あっ佐山さん。」と、わざと少しびっくりしてみました。

佐山さんは、水着でだけの姿です。

隣にいるのは、さっき競技をし終えた女性の三角さんでした。

三角さんも水着のままの姿です。 

佐山「さっきのレースは、びっくりしたよ。海くんチームの人、当然負けると思っていたけど、速い子もいたんだね。」

僕「半分は素人ですけど玄人も半分いますよ。」

佐山「ほほう、さっき言ってたことは、ほんとだったんだね。」

中野も糸川さんも唯コーチも、堂々とした様子で一緒に見てます。

僕は、さすがに全国大会優勝者だと思いました。

佐山「まあ俺は昔、空手やってて県大会まで、行った腕前なんだが、水泳は種目が違って苦手でね。」

僕「そういえば、ウェイクボードしてた時に、言ってましたね!凄かったんですね。」と、褒めてみた。

佐山「そうなんだよ。俺も元アスリートだったから、海くんたちの、水泳だけの人達に、次は負けないようにするよ。」

僕「次はチームメドレーリレーですよね?出るんですか?」

佐山「ああ俺と、こっちの三角さんと、もう1人速い男が居て、あと女の水泳部だった子とのチームを組んで出るよ。」

僕「いいチームですね!」

佐山「あっそれと俺達も、女の子を入れたチームでやるよ。やっぱし混合が、いいからな!」

三角さんは、笑いながらみてます。

佐山さんは、結婚してて子持ちですが、アウトドア派で、いつも他の女性を連れています。

ハッキリ言って女好きです。

佐山「海くんチームの、可愛い子達も、頑張れよ」と糸川さんと唯コーチを見て言うと、中野が話しだした。

中野「俺も空手やってたんで、光栄ですよ。次のレース頑張りましょう。」

佐山「ほほう。君もやってたんだ。」「まあ、空手を遊びでしてた人間と本物との違いを見せなきゃいけないんだが、今日は水泳だな。」「本物を見せる為にも、負けられないな。」

中野「そうですね!俺はチームリーダーの海さんの為に、負けるつもりないっす!」手を上げてガッツポーズ!

佐山「いいチームだな!女の子連れてるしな。」

中野「そうです!世界一です。」堂々としてた糸川さんと唯コーチが、少し照れます。

佐山「ちなみに空手は県大会いったのか?」

中野「空手は全国大会優勝です。」佐山さんと三角さんが「え?」と止まります。

中野が、振り向きながら・・・中野は、「じゃあ、また!」と言って僕と糸川さんと唯コーチに目で合図をして、チーム指定場所に歩き出しました。

僕と唯コーチと糸川さんは、中野に続いて歩き出します。

その場を離れて歩きながら、僕は中野と糸川さんと唯コーチに「相変わらず佐山さんは、いちいちイラとする言い方するよ。」

中野「それに女性に目がない感じだな。こっちが、恥ずかしくなるな。」

僕「でも、世界一と言ったのも恥ずかしくなるぞ。」

糸川さんと唯コーチが、少し恥ずかしそうにしてます。

糸川さん「で、でも佐山さん。女性を、口説くのは上手そうだよね。」

僕「そうなんだよ。常に女性を連れてるよ。」

唯コーチ「でも、敵が現れて何だか面白くなってきましたね!」と元気に話します。

唯コーチ「こういうの燃えてきます!」と手の平を広げて言います。「さあ、元気に席に戻って丸秘レッスンです!」

僕「唯コーチは、さすが元気だな。こっちまで元気になってくるよ。」

唯コーチ「私、元気が取り柄なんですよ。」と笑顔で答えてくる。

中野が、コソッと・・・

中野「海さんと唯コーチは、なかなかいい感じだよ。」

僕は、びっくりしながら歩きました。

元気に早足で歩いて行く唯コーチと、それについて行くように、糸川さんと中野が僕より先に行きます。

最後になった僕がそれに続きます。

先に歩いている3人は、チーム指定場所へ向かっています。

 僕は、少し遅れてプールの3レーン、飛び込み台を通り過ぎる際、僕は2人の男性が唯コーチと糸川さん、中野を見て話しをしているのに気付きました。

見た感じ歳は2人とも、30代ってとこで、1人は背高で上半身がゴツいゴリゴリな体形。

もう1人は体が大きく身長も高く体脂肪も、そこそこある水泳体形という感じです。

話し声が聞こえてきます。

僕には気付いてないので聞き耳を立てます。

ゴリゴリな男性「あれって、さっき女性1位になった子だぞ。リザルト見たら7分58だった。女で7分台は速いな。」

水泳体形の男性「ああ、3レーンで泳いでいた子だな。」

ゴリゴリな男性「ん〜でも、潮川(しおかわ)さんの相手じゃないな。」

僕は、潮川って・・・・・あっ唯コーチが言っていた男性700mで1位になった人かな?と思いました。

水泳体形の男性・潮川「まあ、女の子だからな。」

ゴリゴリな男性「少し挨拶して行くか?」

水泳体形の男性「そうだな。次のチームメドレーリレーも面白くなるしな。」

僕達のチームは、唯コーチの劇的な優勝で周りに一目置かれた為か、目立つようになってました。

唯コーチが、主な活躍者だけど、みんなチームリーダーである僕を立ててくれて、凄く有り難い良いチームだと思いました。

僕は、少し離れた場所から、しばらく、中野と糸川さん、唯コーチに潮川さんにゴリゴリな男性を見ていました。

ゴリゴリな男性と水泳体型の潮川さんは、少し唯コーチと中野と糸川さんと、話して自分達の待機場所に、帰っていきました。

僕は、みんなのところへ戻り、誰だったかを聞いてみました。

僕「さっきの人、誰だった?」

中野「男性700m1位の潮川さんって人らしいよ。チームメドレーリレーにも出るんで、よろしくってことだな。」「唯コーチが、かなり目立ったからな。まあ、唯コーチに挨拶したいんじゃないかな。」

糸川さん「この大会で有名になりましたね!唯コーチ。すごいなぁ〜」

唯コーチ「プレッシャーになってきました。」

僕「でも、プレッシャーをヤル気に変えそうだよね!」

唯コーチ「そうです。適度な緊張感は能力を底上げしますよ。」と笑顔で話します。

中野「じゃあ、色々あったけど丸秘レッスンやろうぜ!」

糸川さん「唯コーチ!お願いします!」

僕「唯コーチ!よろしくね!」

唯コーチ「はーい!」

━━━ みんな整列 ━━━

唯コーチ「バタフライの中野さんは、腕の掻き方は今のままでいいのでドルフィンキックのうねりを使いながら第一キック、第二キックを意識してみてください。」「私の読みが正しかったらタイムは格段に上がりますよ。」

中野「りょうかーい!!」

唯コーチ「背泳ぎの糸川さんは、足が下っているから、体幹を意識しながら、体が水平になるように意識してみてください。」と言って椅子を使ってやってみせる「こんな感じ。」

糸川さん「はい!OKです。」

唯コーチ「平泳ぎの海さんは、キックを意識してみて下さい。両足で水を押し出すようにね。」

僕「了解!!!」

唯コーチ「これだけです。」「たぶんタイムが上がりますよ。」と言って3分で、唯コーチのレッスンが終わり、チームメドレーリレーが始まるのでした。

みんなで「ファイト!オー!!」

つづく・・・

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