14.唯コーチの実力

※この話は、実話をもとにしたフィクションです。よろしく。 

ここは、公共の屋内50mプール「マンボー温泉プール」。

いつものスイミングクラブでの、練習は唯コーチを含めると難しい為、公共のプールで練習をすることになりました。

取り敢えず、今日はチーム練習初日。

全員この日に休みをとって、唯コーチの月曜日、休日に合わせて集合です。

全員が「マンボー温泉プール」の入り口で待ち合わせです。

中野が先に、着いて待ってます。

中野「おっ来た来た。糸川さん、こんちわー」

糸川さん「あっ中野さん!こんにちわー遅くなっちゃった。」と糸川さんが到着。

中野「大丈夫、大丈夫。俺、待ちあわせ早い方だからね。」

糸川さん「あれ?まだ唯コーチ来てないんですね。あと海さんもだね。」

中野「まあ、そのうち来るよ。」

糸川さん「そうだね!・・」「そういえば唯コーチが、まさかのチーム入りって凄いですよね。日本でトップになったんですよね。」

中野「確かに凄いな〜まさかお気楽水泳チームに本物が入るなんて漫画じゃないとあり得んわ。」

糸川さん「確か中野さんも、凄かったんじゃないですか?」

中野「俺も日本チャンピオンだよ。・・・空手のだけど・・」「だけど水泳ではまったく歯が立たないけどね。」「いけると、最初思ったけど、ぜんぜん話にならないよ。」「自分は優れてるって思っちゃだめだよね・・」

糸川さん「へぇ〜競技が変わると違うんですね〜」

 そうこうしているうちに、僕と唯コーチが一緒に来ました。

唯コーチと僕

僕「ごめんごめん、遅くなったよ。」

中野「いや、俺と糸川さんが早かっただけだよ。」

唯コーチ「こんにちは。」

糸川さん「唯コーチ、よろしくお願いします。」

唯コーチ「こちらこそ、よろしくお願いします。」

中野「よろしくお願いします!」

中野と糸川さん

唯コーチ「最初は、来にくかったから海さんに着いてきてもらいました。」

中野「なるほど、それで遅くなったのか。」

糸川さん「唯コーチ大丈夫ですよ。今まで通りです!」と、糸川さんが嬉しそうに話しました。

中野「唯コーチが仲間になってくれたら俺達、凄く心強いよ。」

唯コーチ「ありがとうございます。」

僕「唯コーチ。チーム入りしたから普通に喋ってくれて大丈夫だよ。」

唯コーチ「あっ・・・実話、私はこれで、だいたい普通なんです。」

一同「えっ」

唯コーチ「私、生まれは、ここだけど話し方が、標準語に近いから違和感があるって、よく言われるんです。」「まあ、大学は、首都の方に行ったんですけどね・・」

この人は、実際に標準語で話す人でした。

唯コーチ「さあ、早速行きましょう!」と唯コーチは元気にマンボー温泉プールに入っていきました。

中野「標準語でお淑やかな感じだけど、行動は積極的だな。なかなかいいじゃん。」

僕「さすがだな・・」

糸川さん「行きましょう!」プールへ入って行きました。

 マンボー温泉プールは、このあたりでは珍しい温泉水を使った屋内50mの長水路プール。

縦50m長水路プールを大会以外の普段の日は、横25mにレーンを張った短水路プールになっている。

要するに、たくさんレーンがあるということです。 

平日は年配の人が泳いだり歩いたりしています。

平日休みの若い人が稀に泳ぎに来ていたり、公認プールなので学生の水泳部が練習や合宿に使っている時もあります。

さて、いよいよプールサイドに入ってきました。

今日は、ちらほら年配の人が、歩いたり泳いだりしています。

僕は、ブルーのビキニ型競泳用水着に変えてきました。

中野は、ハーフスパッツ型競泳用水着に変えてきました。勝負水着らしい。

糸川さんは、いつもと同じ背中U字型の浅めのレグカットされた水着。

唯コーチは、ブルーのハイレグカットの競泳用水着でスイミングクラブとは印象が違い、久しぶりの選手復帰に気合が入ります。

みんながプールサイドに来ると「あれ?この4つのレーンは、使えないだ。」と中野が言う。

僕「コーンに立て札が付いてるね。

糸川さん「そういえば今、学生が合宿で使ってるみたいよ。」

中野「そういや、春休みだからな。今は。」「俺達、社会人には関係ないけどね。」

唯コーチ「さあさ、端のレーンが空いてるからいっきましょー!」と元気一杯。

 スイミングクラブとは違って最初は全員でアップで300m泳ぎます。

僕が最初で中野、糸川さん、唯コーチの順です。

僕はクロールで50m60秒ほどで泳ぎます。

僕と中野は、50mを60秒で簡単に泳げますが、糸川さんは60秒を越えてしまう為、3番めにすると、僕と中野が作った水の流れで同じペースで泳ぐ事が出来ます。

唯コーチは、当然楽勝です。ターンは、全員クイックターンで行います。

ターンは、タッチターンとクイックターンどちらでも良いのですが、みんなカッコイイのでクイックターンでターンをしてます。

クロールは、全員2ビートクロール。

唯コーチは、さすがみんなに合わす事が出来ます。300m泳ぐと僕は立ち上がりました。

僕「よ〜し、アップおわり!」

中野「みんないい感じだな。」

糸川さん「流れが水の気持ちいいですね!」

唯コーチ「わぁ〜楽しい!」

周りで水中歩行や、ゆっくり泳いでいる年配の人達が見ています。

月曜日に、4人で連なって泳いでいるのは珍しいですから・・・みんな20代だし。

僕「さて次はビート板キックを50mを、6本、300m行くよ。」

全員「イェッサー!」と元気よく返事をします。

僕→中野→糸川さん→唯コーチの順でビート板バタ足をします。 

立ち上がって休憩を挟む約90秒サークルでビート板キックをしていきます。

6本300m終わると、マンボー温泉プールの男性水泳コーチらしい人に声を掛けられます。

水泳コーチ「すみません。ここで大人の水泳教室があるので。」

僕「あっすみません。移動しますね。」

中野「そういやここは、よそのスイミングクラブに委託して水泳教室していたな。」

糸川さん「へぇ〜」

唯コーチ「じゃあ、あそこのレーンで練習しましょう。」と、学生の水泳部合宿がある横に1レーンで空いている為、移動します。

学生水泳部のレーンは端から4レーンも使用する為、今は誰もいません。

5レーンが空いて6レーンは年配者が泳いでいます。

5レーンに全員入ります。

僕「じゃあ、バタフライから50m泳いでいこう。」

中野「よっし!俺が今度は先にいくよ。」と、中野がスタートし、僕が続いて糸川さんがスタート、唯コーチが続いて、バタフライで泳いでいきます。

 そのうち1レーンから4レーンに男性の学生選手がゾロゾロ入ってきました。

全員がビキニ型の競泳用水着です。この頃は、このタイプが主流でした。一部にハーフスパッツ型競泳用水着を履いている人がいる感じです。

中野「水泳部だな・・」

僕「けっこうガタイがいいな。」

水泳部が、練習を始めだすと飛び込みやら沢山、勢いよく泳ぐ為、波がたち、水の流れが物凄くでき泳ぎにくくなります。

僕達は、練習をしていると簡単に追い抜かれたりしてレベルの違いに少し落胆します。

中野「さ、さすがだな。」「気にするなと言われても真横だと気にしてしまうよな。」

男性学生水泳部も、4人の男女連れで連なって泳いでいる為か、チラチラこちらを見てます。

プールでは、よくあることで100%、人に見られます。まあ、自分もチラ見はしますけどね。

糸川さん「凄く泳ぎにくいし、水泳部が速すぎてなんか私達が遅すぎて、何だかガックシしますね・・チラチラ見てるし」

中野「こっちに女の子が2人もいるから、見てるだけかもよ。」

糸川さん「そうかな〜?」

唯コーチ「気にしないで、がんばりまっしょ!」

僕「しかし速いな〜」

僕達は、暫くクロールの練習をし立ち止まって休憩を挟みます。

中野「この300mはキツかったな。」糸川さん「やっぱり水の流れが凄いです。」

僕「向こうの水泳部は、4レーン使ってゴーゴー泳いでいるからね。」

唯コーチ「みんな大丈夫?」

中野「レベルの違いに自分が、少し恥ずかしくなるな。」

唯コーチ「・・・」

僕「まあ、仕方ないよ。」

全員1回プールサイドに上って給水です。

全員給水をしてプールに入ると唯コーチだけプールサイドに残りました。

僕「唯コーチ早くおいでよ。」

すると唯コーチが水泳キャップを被りゴーグルを付け飛び込み台前に立てります。

唯コーチ「みんな・・見ててね!」と笑顔でみんなを見てます。

僕達は、狭い5レーンの端に寄って見てます。

中野「まさか、奴等の横で対抗しておよぐんじゃないか?!」

僕「まさか・・さすがに今の唯コーチが男性選手に勝てるとは思えないな。」

糸川さん・・・「唯コーチ頑張って」

唯コーチは、僕達を見て「みんな・・」「仲間の私が、あの人達より速く泳いで見せるから見てて。」と言って、みんなを勇気づけようとします。

僕「やっぱりそうか」

中野「さすがハチャメチャなところがあるな。」

糸川さん「頑張って。」

数年ぶりに本気になって泳ごうとする唯コーチをみんなが見守ります。

今まで飛び込みを見せなかった、唯コーチがついに飛び込み台に立ちます。

一同、カッコイイ〜と感動する。

男性選手もチラチラ見ている。

他に練習している男性選手もいる中、唯コーチは飛び込み台で深呼吸をする。

深呼吸は、吸って吐いてをゆっくりすると心拍数を下げる事が出来る。

周りは、水泳の練習をしている為、バシャバシャうるさい。

ひとりの男性選手がプールサイドから唯コーチを見てます。

中野「大丈夫なのか?唯コーチ?」

僕「さすがに、あの男の選手には無理なんじゃないかな?」

糸川さん「・・・」

 周りの水泳部選手は泳いでますが、キャプテンらしき男性選手が飛び込み台から飛び込みました。バッシャ〜ン〜!クロールで泳ぎます。速い!唯コーチが構えます。

唯コーチが、飛び込み台から・・・飛び込みスタートー!

バッシャーン〜!

蹴伸びからドルフィンキック!

一同「速いー!おお!」浮上して6ビートクロール!速い!ひとりの男性選手がプールサイドから見てます。

唯コーチが、6ビートクロールで泳ぐ!折り返しクイックターン!

蹴伸びからドルフィンキック。

浮上してから6ビートクロール鮮やかです。

既に先に泳いでいた数レーン向こうの男性選手2名をクロールで抜いています。

折り返しクイックターン!蹴伸びとドルフィンキックで、また1名抜いた。

一同「おおー!すげぇー速い。」

男性選手も数人が唯コーチを見ています。

折り返しクイックターン!蹴伸びからドルフィンキック。

隣のレーンで泳いでいるキャプテンらしい選手との距離を縮めていきます。

唯コーチは、ターンだけが速いんじゃなくて、なんとクロールも男性選手よりも速い。

隣のレーンで泳いでいるキャプテンらしい男性選手と遂に並びました。

キャプテンらしい男性選手は、意識したのかスピードを上げます。

唯コーチは、力負けしたのか男性選手より遅れをとります。

キャプテンらしい男性選手が、少し先に折り返しでクイックターンをします。

唯コーチも、すぐにクイックターンをします。

両者、蹴伸びからドルフィンキック。

なかなか浮上しません・・・

男性が先に浮上しクロールで泳ぎます。

そして男性選手の前に唯コーチが浮上してきます。

一同「おお!」

プールサイドから見ていた男性選手が「えっ!?」とした表情をします。

クロールをしているキャプテンらしい男性選手より唯コーチが前に出てバシャバシャクロールで泳ぎます。

なんと徐々に唯コーチが引き離していきます。は・速い!

ゴール!?・・は、ないんですけどね。

唯コーチは、壁にタッチして立ち上がります。 

誰が見ても水泳部より圧勝していることが、わかります。

キャプテンらしい男性選手は、そのまま遅れをとってクイックターンをし、クロールで泳いでいきます。

唯コーチは、プールサイドに上ってガッツポーズをします。

僕、中野、糸川さんは笑顔で「すごーい」と言いながらプールサイドに上って唯コーチのところへ行きました。

つづく・・・

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