13.新しい仲間

大会が3ヶ月後に迫っている中、僕と中野と糸川さんの3人で、スイミングクラブ閉館30分前の自由時間で練習を続けています。

3人共、泳力がなく唯コーチの教室の日は、いつも残って10分ほど水泳を教えてくれていました。

 ある日のスイミングクラブ。

今日は、唯コーチのクロール教室でした。

唯コーチ「今日もありがとうございました。次回もがんばりましょう。」

一同、礼・・をします。

「よーし!今日も練習がんばるぜ〜!」と中野は威勢よくいいます!

僕「今日はチームメドレーの練習をしようよ。」「メドレーだからタッチの仕方も練習しないといけないしね!」

糸川さん「そういえば難しいですね。」

中野「大丈夫!みんなで練習すれば、このくらい出来るから。」

僕「水泳の場合は、泳者が壁にタッチしたら次の泳者がスタートをしたらいいよ。」「飛び込みでも水の中からでも、スタートは自由だよ。」

中野「何なら飛び込みを、唯コーチに教えて貰うのもいいよね!」

糸川さん「わあ〜何だかドキドキするね!」と言いながら僕と糸川さんと中野は、唯コーチを見つめます。

中野と僕と糸川さんに見つめられた唯コーチは、苦笑いをします。

唯コーチ「・・みんな頑張ってますね!チームって感じでいい雰囲気です。」

僕は、唯コーチを見て「じゃあ中野がバタフライをして、僕が背泳ぎ、次に糸川さんが、平泳ぎでラストクロールを僕がするよ。」

唯コーチ「取り敢えず練習してから順番を決めるといいですよ。個人種目で得意な種目にするよりかは、練習してみて種目を決めるた方が、タイムが速いことがありますよ。」

中野「さすが唯コーチだ!俺達素人とは違うな。」

唯コーチは、スタッフルームを見たあとに、こちらを見ます。

唯コーチ「すみません。今日は他に仕事があって・・」

僕「あっごめん。また、よろしくお願いします。」

唯コーチは、笑顔で「皆さん応援してます。」と言ってプールサイドに上がりシャワー室へ歩いて行きました。

中野「じゃあ俺達で練習してから、みんなでチームメドレーの順番決めようよ。」

僕と糸川さん「はーい!」

僕は、閉館までの30分間、練習をしてプールから上がりました。

時間ギリギリまで、練習したから、中野と糸川さんはシャワーを浴びてサウナに入らず、着替えて玄関まで行きました。

 

 スイミングクラブの玄関で、僕が「糸川さん背泳ぎが僕と中野と比べて速いね。」

中野「たぶん女性の方が浮力があるから泳ぎやすいんじゃないかな?」糸川さん「なんで女性の方が浮力があるのかな?」

唯コーチが、スイミングクラブの戸締まりをしに中から出てきました。

僕は唯コーチを見ました。すると、笑顔で唯コーチが、近寄ってきました。

唯コーチ「女性は体脂肪率が、男性よりも高いから浮きやすいんですよ。」「すみません。盗み聞きしちゃいました。」

僕「あはは、みんな声が大きかったからねぇ〜」

糸川さん「へぇ〜そうなんだ。」と少し考え込む・・・

唯コーチ「体脂肪と言っても、糸川さんは、スラッとした体型だし体脂肪が多いと言う訳ではなくて単に男女差ということですよ。」

僕「男性と女性では、体つきが違うから皮下脂肪料も違うという訳か。」

唯コーチ「筋肉は水に沈みます。脂肪は水に浮きます。」

糸川さん「なるほど・・」

中野「しかし、糸川さんも唯コーチも、水着姿と私服姿と雰囲気変わるね〜いい感じ。」

唯コーチ「えっ?あ、ありがとうございます。」と少し照れた感じで返します。

中野「あれ?糸川さん?」糸川さんが、黙っています。

中野「糸川さんごめん。俺、変なこと言ったわ」

糸川さん「えっいや、そんなこと言われたことないからつい黙っちゃった。」「ありがとう。」

糸川さん「そういえば、みんなと会うのはいつも水着姿だから、私服で会うとなんか別人に見えますね!」

中野「そう言われたら、みんな雰囲気違うよな〜」

これは実際に僕は、いつもスイミングクラブでは水着を着て会っていたので水着姿だと誰か、すぐわかりましたが、私服だとわかりにくいという事がありました。

僕「まあ・・・背泳ぎは僕らのレベルなら女性の方が浮力があって速いということだね。」

唯コーチ「男性は、足が水底に向かって下がっている人が多いですから水の抵抗が多いんですよ。」

一同「なるほど〜」

僕「今日は、外で唯コーチの水泳教室だったね!」

一同「おっそういえば!」

それから立ち話を少しして・・

中野「じゃあ、また今度な!」

糸川さん「また頑張ろうね〜」

僕「また、がんばろー!」

唯コーチ「さようなら、私はスイミングクラブの鍵閉めて帰りますね。」

先に中野と糸川さんが、車で出て行きました。

僕は、愛車1600ccのターボ車にエンジンを掛けて車を出そうとすると、唯コーチが走ってこちらに来ました。

唯コーチ

僕は、パワーウィンドウで車の窓を開けました。

唯コーチ「海さーん。」

僕「?」「どうしたの?」

唯コーチ「スイミングクラブの鍵掛けてきました。」

僕「?」何かちょっとドキドキするな。

唯コーチ「あ、あのすみません。」僕「?」

唯コーチ「今日は、教室終わった後に何も出来なくて・・・」

僕「いえいえ、こちらこそ時間外に水泳教えてくれて、みんな感謝してるよ。」「みんな唯コーチも、チームメンバーみたいなもんだって言ってるし・・」

唯コーチは、少し苦笑いをしてます。

唯コーチ「何だか楽しそうですね。」

僕「みんな大会に出るのが楽しみみたいだよ。僕もだけどね!」

唯コーチ「あっ・・あの、スイミングクラブの他のスタッフから水泳教室以外で、生徒に水泳を教えるのは駄目と言われまして・・」

僕「あっ!・・・」「そういえば・・そうだよね。」

当時、僕は生徒だったので、そこの施設のスタッフの立場が、わからない時がよくありました。

スイミングクラブは営利目的で営業しているから時間外での水泳教室は、契約外になります。

僕は、車の外に出て誤りました。

唯コーチ「私が好きでやった事だから私が悪いんですよ。はは・・」と苦笑いをします。

唯コーチ「あとの仕事を置いたままで水泳教えてたから・・・それからは、みんなに教えにくくなっちゃって」

僕「ごめんね。迷惑かけちゃった。」

唯コーチ「いえ、ほんと・・私が自分で進んでやっちゃったことだから、私が悪いんですよ。」

僕「みんなに伝えておくよ。」

唯コーチ「でも、私みんな応援してますよ。」

僕「唯コーチが、凄い人だから、みんなモチベーションになって、唯コーチの指導に、ついてきてくれたんだよ。」

「その甲斐あって、みんな泳力も向上したんだよ。ありがとね!」

唯コーチが、笑顔で僕を見ています。

僕「じゃあまた、中級者水泳教室でよろしくお願いします・・」

唯コーチが右手を上げて「みんなが成長していくところも見てみたいし、凄く楽しそう」と言いました。

愛車1600ccターボ 僕と唯コーチ

僕「少ない人数だけど、みんなに知り合えて水泳大会に出られるのは幸せだよ。」

唯コーチが、目を上にして少し考え混んでいます。

僕は、唯コーチを見ています。何か気まずい雰囲気なんかな??

僕「じゃあまたね!」と僕が言うと唯コーチが「すみません。」と言う。

唯コーチ「私、みんなに指導したいし、一緒に水泳やりたいんです。」

僕「ん??」

唯コーチ「私もチームに入れて貰えないでしょうか?!」

ふたりとも、しばらく固まります。

僕「えっ〜!ほんと?」

唯コーチ「指導もプライペートで、友達に教えるなら会社も文句はないと思います。」「どう?・・・」

僕「OK、OK、大丈夫よ!」

唯コーチ「ありがとうございます。」

僕「みんな唯コーチなら喜ぶし、糸川さんも女性1人だったから喜ぶよ。」

唯コーチは笑顔で、スボンのポケットから紙を渡してきた。

唯コーチ「急にチーム入りを言ちゃったから・・・これ私の連絡先です。メールアドレスも書いてあるので、よろしくお願いします。」

僕「さすが、スーパーアスリートは積極的だね!唯コーチ」

唯コーチ「少しハチャメチャなところもあるんですけどね!」

唯コーチが、飛び入り参加を表明したことで、チームは4人になりました。

唯コーチは、学生依頼の選手復帰をすることになったのです。

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