12.カリスマアスリート

 糸川さんが、水泳チームに入ってしばらく経ちました。

スイミングクラブの閉館前、自由時間。

僕「みんな蟹マスターズの応募が始まるけど出場種目を何にするか決めとこうよ。」と中野と糸川さんに言った。

プールの中で立ち話も何なので、プールサイドに上がってチーム会議を開始します。

僕「取り敢えず、4泳法で各25m、50m、100m、200m、500mあって、あとは個人メドレーとチームメドレーがあります。」

中野「チームメドレーは、3人居るから決まりだな。4人居たら、丁度よいけどね。」と、プールを見てみます。

プールの中で、50代花田さんと女性初心水泳教室の生徒が一緒に歩いています。

中野「もう、いないな・・・」

糸川さん「取り敢えず私達、3人だけど、チームメドレー決まりですね!」

僕「問い合わせてみたら3人ならチームの中で、1人で2種目しても大丈夫らしいから、4泳法だから僕が2種目をするよ。」

中野と糸川さんが頷きます。

僕「個人種目だけど中野は、バタフライが得意だから50mに出たらどう?」

中野「おう!100mは出来ないから50mで上位3位を狙うよ。

糸川さん「何種目でもいいの?」

僕「いいみたい。上位3位に入れるかどうかというだけ。たくさん出てもいいけど、疲れるかどうかの問題かな?」

糸川さん「なるほど・・」

中野「上位3位に蟹プレゼントか・・・面白い大会だな。手軽さが俺たちには丁度いいね。」

糸川さん「じゃあ私は、クロール200mで行こうかな。上位は狙えないけどね。」

僕と中野「おお!200m。やってみますか!」

糸川さん「やってみます。何とか200m は泳げるから」と笑顔で答えます。

僕「じゃあ、僕は得意の平泳ぎ500mで行くかな。」

中野「海さんなら平泳ぎ500mなら余裕だね!」「よっし!決まり。」

僕「糸川さんクロール200mで中野がバタフライ50mで僕が平泳ぎ500m、あと全員でチームメドレー50×4で200mに応募するよ。これに出来るだけ全力をつくそうよ。」

中野と糸川さん「盛り上がってきた〜」

糸川さん「なんか私、スポーツ大会は、始めてでドキドキします。」「ワクワクもします。」

中野「糸川さんクロール500m泳げるから競技の200mは大丈夫だよ。もともとスポーツに、向いていたんじゃないかな。」

笑顔で糸川さんが中野を見てます。

僕「糸川さん女性が1人でごめんね。」

糸川さん「大丈夫よ。最初は、気になってたけど慣れちゃった。」

一同笑いながら会議終了。

 次のスイミングクラブ、中級者水泳教室の日。

今日は、速水 隼一コーチの日です。

参加者は、ほぼ似たようなメンバーで僕と中野と工務店社長の黒田さん、雑貨屋の市松さんにロードバイク乗りだった60代の大原さん、女性が糸川さんに50代の花田さん、60代の藤田さんに60代の井ノ神さんの9名。

今日の水泳教室は、4泳法です。

生徒9名は隼一コーチの指示で、バタフライ50m→休憩→背泳ぎ50m→休憩→平泳ぎ50m→クロール50m→50m水中ウォーキングを繰り返します。

藤田さん「きついわ〜」「他の泳ぎは、いいけどバッタ50mは、私らにはキツイ。」

井ノ神さん「そうよ。そうよ。」と、年輩グループは文句を言いながら泳ぎます。

クロール50mが終わり、50m全員で水中ウォーキングをしているとプール端のレーンに自由コースがあり、1人黙々と泳いでいる人がいます。

「バシャバシャバシャ〜ン!」速いクロールです。

僕「結構、凄い泳ぎだね。」

中野「それなりに速そうだな・・」

隼一コーチ「何かの大会に出てるって言ってましたよ。」

糸川さん「何に出てるんだろ?一般の人ですか?」

隼一コーチ「一般の人ですね。確か・・そうそうトライアスロンしてる方です。成績は、いいみたいで優勝経験もあるみたいですよ。」

僕「へぇ〜」

中野「面白いじゃないか。やっぱり活躍出来ると面白いよな〜」「まっ俺もかつては、そうだったけどね!」

工務店社長黒田さん「女の子だね。泳ぎが速いね。」

僕は、その女性を見ながら50mを歩き終えました。

隼一コーチ「今日の4泳法は、どうだったでしょうか?違う泳法を入れると筋肉も色んな部分が鍛えられるので、頑張って4泳法マスターしていきましょう。

それでは、これで終わりにします。ありがとうございました。」

一同「ありがとうございました!」という事で今日の水泳教室は、終わりになりました。

 僕は、中野と糸川さんに「みんな応募したよ。一応定員があったみたいだけど先着順で全員エントリー出来ました!」

中野と糸川さん「やったー!」

中野「久しぶりに腕がなるぜー!」僕「空手じゃないぞ!」

中野「わかってら〜」

糸川さんが笑います。

糸川さん「私は出来るだけ頑張ってみますね!」

工務店社長黒田さん「いいね〜若いうちにやっておくといいよ。」

雑貨屋市松さん「我々の分まで頑張ってね!」

60代大原さん「おっ!やっとるね〜ええのぉ〜がんばれよっ!」

僕と中野と糸川さん「ありがとうございます。」

と・・・自由コースからさっき泳いでいた女性が、プールサイドに上がってきました。

競泳用水着で、ハイレグカットの本格派です。

そのままシャワー室へ行くところに60代大原さんが「おーい!おーい!」とその女性に呼びかけます。

一同、ビックリ!

女性が振り向きます。

大原さん「よーなんかしよんのか?」

女性が「少し競技をしてます・・?」と言って軽く会釈してシャワー室へ行きました。

大原さん「はっはっはっえらく愛想が悪いじゃないか」と笑顔で話しました。

雑貨屋市松さん「ちょっと大原さんが怖かったかも?!」

黒田さん「最近来るようになった子だな。まっプールの練習場所がないから、来てるだけだろね。」

中野「まっレベル高そうだけど俺達は俺達!」「自分の目標に向かって頑張ろうぜ!」

僕と糸川さん「OK。」

大会は、3ヶ月後に控えてました・・・

つづく・・・

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