10.食事会
★★登場人物紹介★★
海(名前)→僕
中野→(元)空手学生日本優勝者
糸川→水泳教室メンバー
速水 唯→水泳コーチ
(元)水泳日本優勝者
▶本編◀
月曜日は、スイミングクラブは、お休みです。
今晩、初のスイミングクラブメンバーでのお食事会です。
僕は、仕事を手短に済ませ自宅に帰り、着替えてから、お食事会のある「焼肉 太極園」に向かいます。
僕の乗っている車は、コンパクトカーで、現在では珍しい1600cc DOHCターボ搭載の車です。
マニアックな車で、車好きにはロードバイク乗りが多いと聞いたことがありますが、科学的な根拠はありません。
水泳してる人がロードバイクを乗るようになるとトライアスロンが見えるようになってきます。
色んなことを考えながら、「焼肉 太極園」に着きました。
僕が一番遅かったようで、既にみんな焼肉屋の入口で待ってます。
車を駐車場に停めて、みんなのところへ向かいます。
空手家中野「おおっきたきた」「おつかれっす!」と威勢良い声。
糸川さん「こんばんは〜」
唯コーチ「こんばんは〜お疲れ様」と、4人揃いました。
スイミングクラブでは、この食事会以外にもコーチの結婚祝いなど何度か食事会をやったことがありました。楽しかった記憶があります。今回のお食事会はスイミングクラブの会としては初めてのことになります。
スポーツクラブと言っても、年齢層の幅が広く運動量も各水泳教室で違う為、打ち解ける人と打ち解けない人がいたので、食事会に来るメンバーは、だいたい同じでした。
トライアスロン練習会など、全員同じ練習メニューに参加した方が、みんな打ち解けやすい事が多かったです。
焼肉 太極園に、入って個室座敷部屋に入ります。みんな座りながら・・・「何だか密談のよう」と糸川さんが言いました。
ここを予約をしたのは、中野です。
この部屋を選んだ理由は、周りに居る客の話し声が、うるさいから個室にした。と、中野が言いました。
確かに個室の外の大広間は、団体客やらで「どやっ!」とした声がして、うるさいです。
中野「あと、ここの焼肉屋おいしいんだよね〜ほぼ無添加」なるべく無添加の物を食べるようにしていると中野は言います。さすが、日本空手優勝者。
中野「ちなみに、今回のお食事会を企画したのは俺なんだけど折角、スイミングクラブに長く通ってるからみんなで、またには食べに行こうと思って企画しました!」
中野は、こういった会は好きな方らしい。
暫くしてから糸川さんが、「海さんは、お仕事は何をしているんですか?」と聞いてきました。
僕は「福祉の仕事をしていて、今は高齢者の運動を担当してるよ。」「体が不自由になってくると、関節の可動域も限られてきて余計に運動しなくなってくるから、色んな動きを指示していく仕事で、なかなかやり甲斐があるよ。」「スイミングクラブで、教えてもらった運動なんかも体操に取り入れて趣味と両立出来ていい感じなんだよね。」
唯コーチ「何だか私と似てますね!」「私も、スイミングクラブに来ている利用者さんに、うまく泳げるようにプログラムを、考えています。人を動かすのは、なかなか難しいですよね。」
中野「でも、コーチの仕事をしていてスイミングクラブが切っ掛けで、これだけ人が集まったのは凄いよね!」
糸川さん「そうですよね。やっぱり唯コーチの指導で、みんな一生懸命に水泳をやってきた仲間って感じでなかなかいいですよね。私は、こういった食事会は初めてで、何だか嬉しいです。」
みんな笑いながら話が弾みます。
焼肉が運ばれてきて中野が焼きます。
唯コーチも、手伝って焼いていきます。
僕「糸川さんは、何の仕事しているんですか?」
糸川さん「私は宅配会社の事務員をしてます。」「で、運動不足になっちゃうからスイミングクラブへ試しに行ってみようと思ったのが切っ掛けです。」「ちなみに、運動経験なしですよ。」「立てって前屈しても手が床につかないしね。」
中野「それにしては、綺麗に泳いでるね!」
糸川さんが笑いながら「ありがとう。」と言い、「中野さんは、空手日本優勝者なんですか?」
中野「だいぶ前、高校の時だけどね。当時はちょっとした有名人だったよ。」「今は一部しか知らないだろうな。」
一同「へぇ〜凄いな〜」
僕「唯コーチも水泳日本優勝者なんだよね?」
唯コーチ「えっ!まっねっ」と一同、唯コーチを見てます。
唯コーチ「でも高校生の時の話で、優勝したあと3年生で選手引退して、個人的にプールで水泳はしていたんだけど、その後はクラブには所属しませんでした。」「燃え尽きたという感じかな・・」
「大学出てから、すぐにスイミングクラブのコーチになりました。」「こういう仕事がやりたかったから、選手に未練はなかったんです。」「私の実績は、あまり知られてないですよ。」
一同「へぇ〜何だかもったいない。」
僕「まあ、自分の人生だから、周りに振り回されずにやりたいようにした方がいいよね〜」とフォローします。
唯コーチ「いちおう男女混合で1位でした。」
一同「なにぃ〜!」
唯コーチ「ちょっとだけ自慢させてください。」「だいぶ前の話ですけどね。」と笑いながら唯コーチは話しました。
糸川さん「何だか凄い人達と食事会してるんですね。凄いな〜」
僕も「これ聞くと、場違いな感じがしますな。」
中野「気にすることはない。気にすることはない。さあ、喰ってくれ〜割り勘だ!」
2時間くらい経って・・・個室の外から、テレビのCMが聞こえてきました。
「今年も開催します。鉄人たちの夏!第21回 島の国トライアスロン大会!4月よりエントリー開始!〜」
僕「今年も島の国トライアスロンの季節だね。」
中野「あれは歴史が長いからな〜夏って感じがするよ。」
糸川さん「何だか凄いですよね〜私にはありえないですけど・・・」
唯コーチ「私も知らない世界です。」
中野「そういえば速水 隼一コーチが、クイックターンのレッスンしている時に、競技に出るならクイックターンを覚えるとよいと言っていたな。」
唯コーチ「クロールのターンは、人によればタッチターンの方が、速い人がいるみたいですけど私的には、タッチターンとクイックターンを試したら、やっぱりクイックターンの方が水の抵抗が少なく速いかったです。」
「そうだ!」
と、僕はみんなの前で言いました。
遊び感覚で、4人で水泳大会に出ない?
一同「えっ?」
僕は「何だか人生にハリと言うか何かあっていいような気がする。」
中野「そうだな〜水泳って4泳法だから基本的に4人いれば出来るよな〜」
糸川さん「私は、ちょっと・・・」
唯コーチ「私も・・・」
「それに水泳は、クロールだけでも25m50m75m100m200m・・・と種目があって、その他の泳法×4だから4人でするのは、かなり大変だと思いますよ。」
一同「えー!言われてみれば・・・」
僕「なかなか難しいな。」
中野「そうだな・・でも折角、水泳習ってきて、上達してきてるし」「なんか、みんなに見てもらいたいよな。」「競技に出てみたいな。」
僕「そうだね〜競うのは無理っぽいしな〜」
糸川「・・・」
唯コーチは笑顔で「・・・」
僕「スイミングクラブで、募ってみるかのぅ」
つづく・・・