9.自分の仲間が誕生!
僕は週3回、スイミングクラブに通っています。月13回コースです。
なので、月12回通って1日あまってしまいます。週3回のスイミングクラブへ通う中に、中級者水泳教室の曜日が、ありました。
毎回、スイミングクラブへ行くと老若男女、仲間意識が出来て気楽に話せるようになります。
そして、スイミングクラブに通うようになり、早2年が経ちました。
空手家中野とは、スイミングクラブ以外にも電話やメールで話せる仲になっていました。
ある日、中野からメールでスイミングクラブのメンバーだけで、焼肉でも食べに行こうと言う話をされました。
折角、顔見知りも出来てきたからという事で誘われた話ですが、この話をしたのは、僕が最初だったようです。なぜ焼肉?という話をすると、ただ好きだからと言うことです・・・
実際に、まあまあ高い焼肉屋さんで4人で20000円したことを覚えています。
当時20代の僕と中野は一緒に、今日の中級者水泳教室に参加することにしました。
今日は、速水 唯(はやみ ゆい)コーチです。
全国水泳大会で、優勝した実績があり相当速い泳ぎという噂があります。
見た目には、そうは見えないコーチですが、自分達と同じ庶民水泳レベルかと始めは思ってたら、なんと全国優勝してたと聞いた時には、びっくりしたものでした。
今日の水泳教室の参加者は、男性が僕と中野と工務店経営社長の黒田さんに、女性は20代糸川さんに50代の花田さんに60代藤中さんと片岡さんの計7名です。
今日は、久しぶりにクロールの練習をしました。
そして最後に、みんな苦手なクイックターンの練習をするということです。
僕と中野と糸川さんは、それなりにクイックターンは出来ていましたが、なかなか難しくて水泳教室では、ほとんどタッチターンをしていました。
というのも、クイックターンの前転タイミングが、稀に上手く出来ない時があり、スピードが落ちて後続者に接触する恐れがあった為、水泳教室中は、クイックターンする時もありましたが、基本的にはタッチターンでした。
唯コーチ「では、残りの時間でクイックターンの練習をします。」
最初に唯コーチが、お手本と言うことで今日初めてゴーグルを付けて、5m先から壁に目掛けてクロールで泳いでいきます。
壁手前で綺麗に、足が上がり前転をします。
壁キックをしたあとは、蹴伸びをして少しだけドルフィンキックを打ってから立ち上がりました。
「おおっ綺麗!」一同。
唯コーチは、笑顔で「クイックターンは、見た目がいいので速く回ろうとせずに、綺麗に回るようにするとカッコよくて見栄えがいいですよ。」一同「おおっーなるほど」
唯コーチ「当然ですが、水泳はプールでしか出来ないので、わりと見られてることが多いので、綺麗に回ることを意識してみてくださいね。」
では、5m手前から一列に並んで練習します。
やっぱりトップは僕から始めるようになります。
壁、5m手前からクロールをします。
壁が見えてくるとおヘソを見るように前転をします。
僕はいつも、壁キックをする時に早く息がしたい為、いつも水面の方に蹴伸びをしてしまいます。
蹴伸びをして5mほどで立ち上がりました。
唯コーチは、パチパチと拍手をし「上手ですね!」と言ってくれました。「ただ、回転前に上半身を先に沈めるようにしておくと、回りやすいですよ。足はやや伸ばしておくとゆっくり回ります。」と言い、次は中野が行きます。
中野「よしっ!」といい5m手前からクロールをし、壁に近づいてきたら前転をします。バッシャーンと勢いよく回ります。壁キックから蹴伸びは、やや蹴る方向が悪かったのか、みんなが立てっているところへ突っ込んでいきます。
中野は、直前で立ち上がり「前、見てなかった・・・」と言いました。
唯コーチ「中野さん速いターンでいいですね。」僕は、まあ綺麗な回り方ではないな・・と思いました。
次は糸川さん。5m手前からクロールをします。壁が近づいてくると前転を入れて足が出ます。やや腰の重心が前に出ず、足がゆっくり持ち上がっていきます。両足を折ってコンパクトにし、ゆっくり回転しました。壁キックから蹴伸びをします。立ち上がって、みんなを見ます。
唯コーチが拍手をして「糸川さん一番綺麗に回れてました。」一同「おおっー」と喜びます。
次は、工務店社長の黒田さんと続きます。黒田さんは、唯コーチの手を借りて回転します。
黒田「ほとんどクイックターンはしないから、むずかしいわ〜」
50代花田さんが行きます。唯コーチの手を借りて前転しますが、前転してから、すぐに立ち上がり頭が痛そうにしてます。
「鼻に水が入ったわ〜」
花田さんはクイックターンを、習ってはいますが、普段は全然していないようです。
クイックターンは、やらないと難しいので出来るようになると泳ぐ楽しみにもなります。難しいのは僕もよく知っています。
60代藤中さんと片岡さんも、唯コーチの手を借りて前転し壁キックから蹴伸びまで出来ました。
唯コーチ「はーい!皆さんクイックターンは、なかなか難しいですが、自分で機会を作って、またやってみてくださいね!」と中級者水泳教室の終わりの挨拶をして、今日のレッスンを締めました。
中野が、今日のレッスンは結構ハードだったなと言いました。
僕が頷いたあとに、中野がみんなの前で今度、みんなで焼肉でも食べに行きませんか?と言いました。
僕はびっくりして単刀直入な人だと思いました。
僕は、中野と一緒に、みんなの顔を見ました。
60代の藤中さんと片岡さんは「あんたらだけで、食べて来なさい。」と言って拒否してきました。
公務員店経営の黒田さんは「そうだね〜行ってみたいんだけど、仕事が忙しくてね〜」「また年末にでもみんなでやりましょう」と言ってくれました。
50代女性の花田さんは、私は「いいです。」と言いました。
さすがに、20代の中に50代は、きついと思ったのでしょう。
糸川さんは少し考え込みます。
まあ仕方がないと思いますが、女性1人で男性2人について来るというのは、あまりないと思います。
僕は、「そういえば今プールから上がった唯コーチも、誘ってみて・・行くって言ったら行きませんか?」と言ってみました。
糸川さんは「そうですね〜」僕は、返事を待たずに、中野と糸川さんを置いてプールサイドに上がり、唯コーチを探しに行きました。
中野が糸川さんに「わりと、さっさと動く方だな」と言いました。
僕は、スタッフルームの方へ歩いて行きましたが、いきなりスタッフルームに行き唯コーチを呼び出すのは、何だかデートに誘ってるみたいで不審なので、よく考えて、コーチはプールに浸かっているだけで寒いと言っていたので、サウナの方に行ってみました。
サウナは、プールよりも少し奥に入ったところにあります。サウナの出口から60代藤中さん片岡さんが、出てきました。
僕は「あれやっぱり中には誰にもいないのかな」と思い、とりあえずサウナの中に入っていました。
中に入ってみると誰もいないと思いきやサウナの角に、唯コーチがいました。
「あれ?」とした表情で唯コーチは、僕を見ました。
僕も、さすがに1対1だとびっくりしました。
なんか、ここで焼肉食べに行きませんか?というのは、もろにデートに誘っているようで、いつも話をしている人なのに、ものすごく緊張しました。
しかも、いきなり焼肉とはムツコイです。
僕は緊張すると、喋りだしにくい方で、向こうもいきなりバッタリでビックリした感じです。
唯コーチが、いつものように普通に話してきて「今日は寒いですよね〜」言ってきました。
僕は、何だか気まずくなり、焼肉の話は言えず「真冬は、プールの仕事は大変だね〜」
焼肉を食べに行きましょうと言うのは、デートに行きましょうという意味で、唯コーチに彼氏が居たらアウト!という図式になるな・・と、1対1で行く訳ではないし、緊張していちいちデートの話と考えてしまう・・そんなことばかり考えてなかなか言えませんでした。
唯コーチが、もうすぐスイミングクラブが締まるから、よろしくおねがいします。と言ってサウナを出て行こうとします。
僕は「みんなで、焼肉食べに行こうと話てたんだけど、どう?」と唯コーチが、サウナを出る瞬間いいました。
それを言えばいいのに人間は、余計な事を考えもんだよな・・・と思いました。
唯コーチ「え?」僕は「そうそう、みんなで焼肉?」
糸川さんは、唯コーチが行くなら考えると言ってる事を話すと、唯コーチは「そうですね・・・」「いいですよ。」と言いました。
僕「OK?」
唯コーチ「OKです。」
僕は、喜んでプールに帰り唯コーチもスタッフルームへ帰りました。
中野と糸川さんは、2人でプールのシャワーを浴びていました。
中野「もう閉店時間が迫ってるよ。」糸川さん「どうでした?」
僕「うん、来るって行ってたよ。」
中野「じゃあ決まりということで、初めてのスイミングクラブお食事会だな。」
糸川さんは、笑いながら僕と中野を見ました。
この食事会が、トライアスロンへの道に繋がっていく、競技大会出場へ向かっていくのでした。