6.バタフライ競泳
いよいよ、空手家中野との水泳対決の時間が来ました。
僕が「さて!」中野は、「おっし!」と、うなずきます。
対決を始める前に各選手、プールサイドで準備体操をします。
僕は現在でも、泳ぐ前には肩甲骨を伸ばすストレッチをしています。
その方が手の回しが良くなるからです。まあ、この対決を始める前に「中級者水泳教室」へ、参加して40分間泳いでいるので、ストレッチの意味はないと思います。
ほんとは、休憩して体力を回復したほうがいいはずです。
この時は、緊張していたのでストレッチ体操をしました。緊張すると人間は筋肉が硬くなるので、静的ストレッチをして筋肉を弛緩させた方がよいと思ったからです。
空手家中野は、プールで練習をしていました。
バタフライではなくクロールの練習をしています。
空手家中野のクロールは、ぶん殴るような力強いクロールで、僕より少し速い泳ぎです。
プールサイドから見てると、また力任せなクロールが速くなってると感じました。腕力では、向こうの方が上なのでバタフライは、力任せでやると負けてしまう可能性があります。
得意のうねりを使ってリズムよく泳いで、対決しようと思いました。
そしていよいよ10分が過ぎ、対決の時が来ました。
僕「よし!」女性コーチ「がんばって!」
いつもだったら中級者水泳教室の、老若男女。メンバーはプールから上がって、サウナに行ってしまうのですが、今日は全員残っています。
コーチは、いつもの女性コーチと男性コーチが残っています。
注目されているのかは、よくわかりませんが面白い対決なので、残っているようです。
そして空手家中野と僕は、プールに入りました。
隣のコースロープ側から、中級者水泳教室のメンバーが応援をしてくれています。
老若男女の生徒「がんばれ〜」
男性コーチと女性コーチは、老若男女と一緒のコースロープに入ってから、スタートの声掛けをする事になりました。
そして僕と空手家中野はプールの中に入りました。
2レーンを使ってスタート位置に並びました。飛び込みは2人共、習っていないので出来ません。
緊張感が周りにも走ります。
女性コーチが手を上げて「よーい、スタート!」手を振り下ろします。
プールの中で、2人が壁キックから蹴伸びをし、ドルフィンキックでスタートします。
僕は、7mで浮上しバタフライを始めます。
中野は、5mで浮上してバタフライを始めました。
潜水していた距離分、先行しているのは僕です。
しかし、中野のバタフライは強力で僕との差を少しづつ詰めていきます。
ついに、ら僕と中野が並びました。
折り返し、手前5mに近づいてくると両者、少しスピードを上げていきます!
折り返しは、バタフライから壁をタッチ!体の向きを変えて壁キックをします。そのまま蹴伸び。ドルフィンキックに入ります。
僕のドルフィンキックは、中野より速く潜水時間が長い為、ドルフィンキックで中野より前に出ます。
5mで浮上した中野は、行きに自分で作った水の流れを掻き分けながらバタフライをしています。
僕は7mで浮上し、バタフライに入ります。少しだけ中野より前に出ています。
37.5m半分まで来ると僕と中野は並びます。
僕は、練習した強烈なバタフライのうねりを使い中野よりも軽快な泳ぎをしています。
中野は、力任せの強力な泳ぎをみせます。両者横並び。ゴール手前で中野がより強烈なバタフライの手の掻きをし、少しづつ僕の前にでます。
両者、そのままの状態でゴール!
結果は、中野の勝ち!・・・
2戦目もすることになりました。
両者くたくた・・・女性コーチも喜びます。
老若男女の生徒も、喜びます。
さて、2戦目・・・僕も、中野もあまり力が残ってない状態です。
プールに入って両者スタート位置に着きます。
女性コーチが、「よーい!」両者構えます。
「スタート!」一斉に、壁キックから蹴伸びに入ります。
両者、ドルフィンキック。中野は、7mで浮上しバタフライに入ります。
僕は・・・12.5m、半分を越えてからバタフライに入ります。
潜水、ドルフィンキックで僕が先行します。
中野が、すぐ後ろから追いかけてきます。さすが空手日本チャンピオン!限界を越えたバタフライとも言えない腕をブン回す強烈な泳ぎでドンドン詰めて来ます。
折り返し手前で両者並びます。壁タッチ!体を捻って壁キック!蹴伸び・・・中野が前に出ます。
タッチターンは中野は、速く僕より蹴伸びで前に出て5mで浮上。強烈なバタフライ!
僕は7mで浮上してバタフライに入ります。
中野は力任せのバタフライ!僕はうねりを生かしたバタフライ!
37.5mの半分で、両者並びました。
そのまま両者並んで泳ぎます!
スタミナ的に力任せでない僕に、持久戦では理がありました。
余裕が僕にはあります。しかし、短距離!ゴール手前での格闘家ばりの中野のバタフライは強烈。
中野が僕より前にでます。
両者、それから泳ぎは変わらず中野が少しの差で壁タッチ!ゴール!
一同から歓喜が、上がります!
「全勝中野さんの勝ち」と、女性コーチが声を上げました。
中野は「めちゃヤバイ〜」と「はぁはぁ」と息を切らしながら、僕と苦笑して、プールサイドで座ってました。
中野は、簡単に勝ったと思いきや、死にかけ半々状態だったみたいです。
スポーツとは、不思議なものでお互いの力を最大限、出し切って、勝負した人間は、認め合うようで格闘家中野は、僕を正式にライバルと認めるようになります。
まあ、友達みたいなものです。
中野が「いやー大変だったよ。ここまでやるとは、思わなかった。空手の決勝みたいだったな〜」
ここから僕が、妻と出合い仲間達と出合うトライアスロンチーム「SAURUS」の結成初期になるのでした。