5.物語が始まる
スイミングクラブに通うようになって10ヶ月過ぎました。
僕は同じ教室の人達と、仲良くなって、中級者水泳教室に昇格しました。、
それから、しばらく経ちました。
ある日、新しい生徒が入って来ました。
元々それなりに泳げる人は、いきなり中級者水泳教室に入ってきます。
彼は僕より、肩幅のある年下の男性で、元極真空手をやっていた中野という人で、ガッチリ体型をしています。
レベルは、学生全国大会個人優勝経験のある凄い人でした。なかなか強そうです。
今では、あまり知られてないらしいです。
スイムキャップは、メッシュの無地黒色で水着は、フィットネスタイプの黒色ハーフスパッツ。少し緩めの丈が長い水着のことです。柄なし。
わりと、あっさりとした人でした。
ちなみに僕は、スラッとした体型で8年間畜産業をしていたので、力には、そこそこ自身がありました。
この空手家の人は、中野直也(なかのなおや)という名前で、僕以上に体型がガッチリしていました。
中級者水泳教室は、男性4名女性5名の9人ほどになりました。
まあ、日によって参加しない人もいるので人数は前後しますが、だいたいそのくらいの人数です。
平均年齢は高く50歳前後。僕は当時20代後半で、その中でかなり年齢高めの集まりです。
教室でバタフライを習っていて僕は、靭やかなうねりを入れた力強い泳ぎをしていました。
空手家中野は、靭やかなうねりではない力任せな泳ぎを見せていました。
中野の方が、全身パワーがあるようで僕より力強い泳ぎでした。
まあ、どちらもバタフライ50m、やっと泳げるレベルです。
で、中級者水泳教室の生徒も、みんな50mやっと泳げるレベルです。
そう大したことないレベルです。
とうぜん、50m以上泳げるコーチの方が速いんですが、力任せの短距離だとわからないと言われていました。
生徒の内では、僕と空手家中野が50mバタフライは、速かったです。
中級者水泳教室が終わって老若男女20代〜60代の生徒同士で話していると「あんたらどっちが速いか、わからないから競争すれば面白いよ。」と言う話になりました。
競争となると何泳ぎ?という話をすると、「もちろんバタフライだよ。」中級者水泳教室内では、最強?の2人の対決に注目が集まります。
でもバタフライは、かなり辛い泳法。教室でコーチが、今からバタフライ50m×4本というと老若男女20代〜60代の生徒が文句を言います。
コーチは20代半ばで、折角考えてくれた練習メニューを変えて50m×2本と、言います。
「納得」と、老若男女の生徒が無言の表情で答えます。
甘い集まりですが、そのくらいバタフライ数本というと、疲れる泳法なのです。
まあ、みんな技術がないだけですが・・・他の泳法は、空手家中野が若干速い感じでした。バタフライだは、どちらが速いかはわからない。
そんな中で、今日はバタフライ教室だったので、バタフライ対決が決定しました。
対決は、1週間後の中級者水泳教室の後。閉館30分の自由時間を使って行います。
距離は、50m以上無理なので、50mで決まり!
僕は、スイミングクラブ週3回コースだったので、別の日に練習をしてみることにしました。
他の泳法は、若干中野が速いけどバタフライならミラクルがあるかも、知れないと思い、まずはドルフィンキックから改めて練習することにしました。
いつもの女性コーチも、空手家中野と対決することを聞き、僕に近寄ってきました。
僕は女性コーチに「対決するんだけど、中野さんは体が大きいから勝てないかも知れないな〜」というと言うと、コーチは笑顔で「水泳は、力よりは技術だからポイントを練習すれば勝てるよ。」と言いました。
ポイントが、よくわからん。
帰って参考書のバタフライを見ます。参考書は、僕には写真と文章だけでは、よくわからなかったです。
なので、考えながらインターネットの記事で調べてみます。
水着は、露出が多い方が水の抵抗が減ってよい・・・と、いうのは昔の話。
最近は、水着の生地が良くなってきたので撥水効果と締め付け効果などで体を水着で覆った方が、水の抵抗が減らせて速い。若干浮力もあります。
これは、選手レベルの話だな。まあ、僕はビキニタイプの競泳用水着が良いので、この記事は関係がないと判断します。
2日後に、スイミングクラブへ行き中級者水泳教室終了後、閉館30分前の自由時間に練習を始めました。
中野は、別のレーンで練習を始めました。
僕がプールサイドにいると女性コーチが、寄ってきたので話をしてみました。「バタフライは、ドルフィンキックのうねりが結構大事で、うねりが上手く出来るとバタフライは、なんてことはないよ。」と、自分の経験談をしてくれました。
今までバタフライは、うねりは入れていたが、主に「両手で掻いて両足キック!」ということを意識していたが、潜水してうねりを入れながら両足キックをする、ドルフィンキックをもっと練習してみようと、思いました。
次の日スイミングクラブへ行きました。
今日は中級者水泳教室がない日で、自由コースで練習しました。
2レーンが自由コースで、ウォーキングしてる人もいれば、凄くゆっくりスイムの人もいて練習しずらいです。
仕方なく閉館30分前の自由時間で、またまた練習です。
スイミングクラブは、高齢者も多いので、譲り合いながら使わなくてはいけないのです。
今日は、空手家中野は来ておらずライバルに見られないようにコソトレです。
いつもの女性コーチが担当の水泳教室が終わり、こちらに来ました。
ドルフィンキックの練習をしていると他の仕事があるのに、なんと手伝ってくれました。
うねりの見本を見せてくれたり、バタフライの見本を見せてくれたり、してくれました。
結果、僕は対決までに時間がないので、あまり変化はないですが、女性コーチは「うねりにプルとキックをリズムよくやると速くなりますよ。」と言ってくれてスタッフルームへ帰りました。
何となくわかったような?しかし、のちに役に立つことになります。
そして、1週間後の中級者水泳教室が来ました。
水泳は、道具に頼れるのはスイムキャップとスイムゴーグルと水着ぐらいです。
その日、空手男性は、いつもと同じゴーグルと無地黒のスイムキャップ。
少し緩いフィットネスタイプのハーフスパッツ水着です。
いつものままです。
僕も、いつもと同じゴーグルと今日は、ブルーのスイムキャップです。
水着は、ビキニタイプの競泳用水着です。
まあ当然、このくらいの対決で水着を変えたりはしません。
中級者水泳教室が終わり、いよいよ対決の時が近づいてきました。
プール中、注目が集まります!