33.激闘!アクアスロン練習会
※この話は現実とは違う90%、フィクション作品です。
※主人公の名前は「海」です。今回は海が舞台なので、僕(うみ)という名前が、ややこしいので漢字ではなく「うみ」と表記します。
よろしくお願いします。
※主な登場人物※
近江 海(おうみ うみ)→僕
中野 直也(なかの なおや)→今では忘れられた元空手道全国大会優勝者。ほぼ秒殺優勝というあり得ない強さをもつ。
糸川 陽子(いとかわ ようこ)→会社事務員
速水 唯(はやみ ゆい)→今では忘れられた元学生水泳全国大会優勝者。男性よりも速い伝説的な泳力を持つ。
━━━本編━━━
浜辺の旗を走って周り、いよいよスイム後半500mです。
石原さん「浜辺に上がった時に確認をとったんじゃが・・・
1位 嘉栗選手
2位 速水選手
3位 岬選手
4位 八王子選手
5位 大澤選手
6位 近江選手
7位 中野選手
・・・あとはまだ前半500mまで行ってないな(汗)」
嘉栗と唯コーチがお互い譲らないレースをしています。
石原さん「パワーで嘉栗が少し前に出とるな。でも技術で速水さんが勝っとるからランパートでは体力温存している速水さんが有利じゃな。」
続いてショートトライアスリートの岬さん。
少し離れてロングトライアスリートの八王子。
石原さん「以外に八王子苦戦しとるが、長距離向きじゃからな八王子は・・ランに入ってどうなるかじゃ!」
続いて岬さんの仲間の大澤さんが前に出てきています。
波が高いからか落ち着いて泳いでいます。
石原さん「大澤さんも悪天候なのにがんばっとるな。実力者じゃが今日は凄い選手ばかりじゃから、仕方ないのぅ」
そのすぐ後ろに二人並んで、うみと中野。
うみ「な、な、なかのぉ〜!!ブクブク」荒れた波の中の力強いクロールです。
中野「ブクブクブクブク〜な、な、なんだー!」
うみ「な、な、なんでも、ない!」
中野「おっ、おっ、おまえ〜、ブクブクブクブク〜」
その後、離れたところになんと糸川さんが続きます。
高波ですが、チームサウルスでの練習でレベルが上がり、落ち着いたクロールをしています。意外に速い。
石原さん「糸川さん、以外に綺麗なクロールじゃな。技術力があるな〜あの子は・・・」
波が高い、少し小雨が降ってる中、嘘のような条件下でレースのような練習会は進みます。
しばらく時間が経って・・・
抜き合いをしているのは嘉栗と唯コーチ。
少しだけ嘉栗が前。
荒れた波の中をフォームの綺麗な唯コーチが嘉栗と闘っています。
岬さんと八王子は岬さんの方が前です。ふたりの距離は一定です。
うみと中野は遊んでいるような力強い高波に負けないような波しぶき立ててクロールで泳いでいます。
石原さん「あんな力の入ったガムシャラなクロールでよく体力がもつもんじゃわい!」
その少し離れたところを糸川さんが綺麗なクロールで泳いでいます。
更にしばらく時間が経ちます・・・
嘉栗と唯コーチはトップ争いをしながら、いよいよ陸に上がります。
1位で上がってきたのは、嘉栗!嘉栗と重なるように上がってきたのは、やはり唯コーチ!
ふたりとも走ってトランジッションに向かいます。
続いて岬さんも上がってきました。
陸にあがっても強い体幹を活かして凄く速いランニングでトランジッションに走ります。
その後ろから八王子が上がってきます。八王子はウェットスーツを着ているのでトランジッションが不利です。ツーピースのウェットスーツを脱ぎながらトランジッションへゆっくりと走ります。
少しして大澤さんが上がってきました。疲れた様子で、速歩きでトランジッションへ行きます。
荒波と悪天候に参った感じでしょうか?
大澤さんもウェットスーツを着用しているので、トランジッションは不利です。
暫くして、うみと中野が同時に仲良く・・陸にあがってきました。
ふたりとも全身全霊!全力疾走でトランジッションへ走っていきました。
むちゃくちゃな選手です!
20秒ほど経ってから黄色のハイカット競泳用水着を着た糸川さんが上がってきました。
糸川さんは、ゆっくりとした動きでトランジッションに走っていきました。
石原さん「実況。石原です。スイムは意外な展開じゃ〜った!意外なのは速水選手が、むちゃくちゃ速い選手じゃったことです。何者なんでしょう〜っ」
「近江選手と中野選手はむちゃくちゃな泳ぎじゃったのに、以外にスイムアップが速いです!」
「潮の流れに、うまく乗れた感じのスピードでした。」
ついにたくさんの選手が陸に上がりトランジッションエリアに入っています。
ここで、彼らは次のランパートの準備に取り掛かります。
先頭を嘉栗、そのすぐ後ろには速水唯コーチが息を切らせながら追いすがります。
彼らの背後には岬さんが、そして八王子がいます。
少し離れて、うみと中野が続きトランジッションエリアに入ってきました。
すでに嘉栗と唯コーチはランに入ってトランジションにはいませんでした。
トランジッションエリアでは、一刻も早く着替えて走り出すために、急いでランパートの準備をしています。
嘉栗とチームサウルスのメンバーである唯コーチとうみと中野。あと別のチームである岬さんの5人は、揃ってウェットスーツを着ていない水着のままのスイムだったので、すぐにランニングシューズに履き替え10kmのランに走り出します。
ちなみにレースではなく練習会です。
うみと中野がトランジションに入った直後に岬さんがランスタートしました。
少し遅れて八王子がスタート!
やはり水着だけ着ている岬さんに比べて八王子はウェットスーツを着ているので遅くなります。
うみ「いくぞ、中野!」と僕が叫びます。
中野も元気に応じ「おうよ!行くぞい!」と答えます。
糸川さんも、トランジッションに入ってきました。糸川さんも競泳用水着のみで泳いでいた為、トランジションは速いです。
うみと中野とすれ違い様に、少し緊張した面持ちで、「頑張ります!」と手を上げながら声を出して答えます。
うみと中野は手を上げて答えます。ふたりはランパートに力強い走りで入っていきました。
少しして糸川さんもランパートに入りました。トランジションが早い!
だいたい主力選手がトランジションに入りランパートに入りました。
それ以下の選手は、まだ後ろなので省略です・・・(すまん・・)
石原さん「嘉栗選手が先頭ですぐ後ろを速水選手が走っちょります。速水選手は無名じゃがアスリート顔負けの特有の冷静さをもっとるのぅ」
続いて岬さんと八王子もランに入って激走をしています。
八王子が岬さんに接近してきました。八王子も実力者です。
その後ろを・・・なんと・・・うみと中野が猛スピードで走っています。
ふたり並んで走っています。
石原さん「どうやったらふたり並んで全力で走れるんじゃ!変な奴らじゃ!?」
そう!そうなのです!うみと中野は実力者の大澤さんを抜いています。
石原さん「しかし大澤さんを抜くとは、こいつらなかなか見所があるぞ!」
また、なんと!その後ろから糸川さんが迫ります。大澤さんを抜いています。
その後ろから大澤さんがゆっくり走りながら見えてきました。
石原さん「大澤選手。どうもコンディションが悪い感じです。」
しばらくしてから大澤さんが立ち止まりました。
石原さんが単車で近づきます。ブロロロロ〜
石原さん「大澤さんどうした?」
大澤さん「スイムで体調が悪くなったみたいです。リタイヤします。」
石原さん「大丈夫か?」
大澤さん「大丈夫です。ひとりでトランジッションの方に行ってます。」とボランティアの人と一緒にトランジッションに歩いていきました。
石原さん「さあ〜今回は悪天候じゃから何があるかわかりません。大澤選手リタイアです。練習会じゃから無理しないように・・・」
練習会は嘉栗が先頭を維持していますが、唯コーチが少しの差で追いかけてます。
岬さんも八王子にだいぶ接近されています。
ランのコースは、まっすぐな道ばかりですが悪天候で小雨と風が吹いています。
選手たちは体力だけでなく、技術も試されます。
1周回っての順位は
1位 嘉栗
2位 唯コーチ
3位 八王子
4位 岬さん
5位 うみ
6位 中野
7位 糸川さん
あとは、かなり後ろで見えません。
順位が岬さんと八王子が入れ替わり八王子が岬さんより前になっています。
石原さん「やはり八王子強いのぅ」
うみと中野は少しスピードが落ちてきました。
中野「うみさんや〜はぁはぁ」
うみ「なんだぁ〜はぁはぁ」
中野「そろそろ〜はぁはぁ」
うみ「なんだぁ〜はぁはぁ」
中野「疲れて〜はぁはぁ〜きた〜」
うみ「僕も疲れてきた〜はぁはぁ」
中野「うみさんや〜はぁはぁ」
うみ「なんだ〜はぁはぁ」
中野「唯コーチなかなかいいね〜」
うみ「ん〜」
中野「まあ〜意外に水泳だけかと思ったら〜はぁはぁ〜ランも速いじゃねーか」
うみ「確かに速い〜はぁはぁさすがだ〜」
中野「うみさんや〜」
うみ「なんだ〜はぁはぁ」
中野「俺はもうあかん〜はぁはぁ先にいってくれぇ〜」
うみ「あっ〜なかのぉ〜」と言いながら中野はペースを落としました。
うみ「骨は拾ってやるからな〜ぁ」
うみが中野より前に出ていきました。
石原さん「中野選手!急にスピードが落ちました。」道路に倒れ込みます!
石原さんが単車で近づきますブロロロ〜
石原さん「大丈夫かぁ〜」
中野「走れねぇからリタイヤするわ〜」
中野選手リタイヤです。
石原さん、「やはりこの天候はきついのぅ」「しかしよくあんな変な泳ぎと走りでここまで来れたもんじゃわい」
糸川さんが後ろから走ってきました。
糸川さん「なかのさん〜はぁはぁ〜大丈夫ですか?〜」
中野「今回はさすがの俺もだめじゃ〜あとを頼んだよ〜」
糸川さん「がんばりまーす!」
糸川さんは走っていきました。
1位 嘉栗
2位 唯コーチ
3位 八王子
4位 岬さん
5位 うみ
6位 糸川さん
ここでわかったのは意外にチームサウルスは速かった。当然といえば当然。スイムのコーチは、あの日本1位になった伝説とされている唯コーチ!知らない間にチームサウルスはレベルが上がっていたのでした!
ランニング技術は、みんな元々の素質があったよいに思われます。
3周回ほど走って、うみが見たものは・・・
唯コーチが嘉栗を抜いて1位になってます。少し後ろに嘉栗。
その後ろに八王子が迫ってます。
しかしその後ろに岬さん。
うみは、その一団から離れていて1周遅れになっています。
石原さん「このレースじゃなかった練習会は目が話せないぞ!誰が勝つかわからん。」
これは練習会・・・
うみ「唯コーチさすがだ!」
しばらく走ると糸川さんとすれ違います。うみより1周遅れです。
糸川さん「うみさん私も中野さん同様にスタミナ切れです。ゆっくり行きます〜はぁはぁ」
うみ「糸川さん大丈夫大丈夫!練習会練習会〜はぁはぁ」
糸川さん「そうでした〜はぁはぁ」
うみ「僕もスタミナをだいぶ切らしているよ」「唯コーチさすがだね〜」
糸川さん「いま1位になってますね〜すごいなぁ〜」と、しばらく僕は1周遅れの糸川さんと走ります。
レース・・いや!練習会が進むにつれ、ランの厳しさが選手たちに押し掛かります。
風が強くなり、曇り空はますます暗くなります。雨も降ってます。
ランコース、4周目で嘉栗が唯コーチに追いつきます。二人の間で激しい先頭争いが繰り広げられます。
唯コーチは、水泳選手としての経験を活かし、効率よく走ります。
嘉栗もまた、その強靭な肺活量を最大限に活用して、彼女に対抗します。
その後ろでは、八王子が着実に二人に迫っています。熟練した走りは、ロングトライアスロンに対応した練習で鍛えてきた物です。
しかしその後ろにはショートディスタンス連続優勝者の岬さんが迫ってます。
石原さん「この4人は接近しているから誰が勝つかわからんのぅ」
ついに最後の1周になりました。
嘉栗が唯コーチの前に出ます。
順位が入れ替わります。
そして・・
八王子と岬さんが並びます。
八王子「もう少し長いコースならな・・なかなかやるな・・」
岬さん「・・・」
岬さんが八王子を抜きました。
唯コーチは綺麗なフォームで力強い嘉栗の後ろから離れません。
岬さんの後ろには、すぐ八王子がいます。
その遥か後ろには、うみと糸川さんが無難な走りをしています。
うみ「練習」
糸川さん「会・・です」
と、言いながら走ってます・・・
石原さん「そろそろラストスパートじゃな。直線に入るぞ!」
直線に差し掛かると、唯コーチと嘉栗がほぼ同時に走ってきます。
嘉栗は力強い走りで、唯コーチは靭やかな走りです。
その後ろからは・・・八王子が力強い走りで入ってきました。
岬さんがその後ろから入ってきました。
やはり岬さんは女性選手なのか八王子が速いです。
石原さん「おっ!ゴール手前で嘉栗に少し疲れが見えますじゃ!どうなる?」
唯コーチが前に出ます。
嘉栗もペースは上げますが、さすが唯コーチ!スーパーアスリート!
そのままスピードを上げてそのままゴールに飛び込みます。
わずかな差で唯コーチが先にゴールに入りました。
彼女は優勝者としてではなく練習会1位の栄誉を勝ち取りました!
嘉栗2位。
八王子がゴール!3位。
岬さんが4位でゴールしました。
そのころ・・・
うみ「はぁはぁ〜」
石原さん「近江選手が見えてきました。」「だいぶ悪天候にやられとるな」ゴール〜!
それでも5位!
それからだいぶ待って糸川さんがゴール前の直線に見えてきました。
ゴールにはリタイヤした中野もいます!
中野「糸川さんおつかれ〜」
うみ「糸川さんやったね〜おつかれ〜」
唯コーチ「やったねー!」
みんなで笑顔を交わしながらゴールラインを越え、チームサウルスの団結と友情をみせます。
糸川さん「ありがとう!私が主役みたいになってるね!」
うみ「後続者の応援も清々しくて凄くいいよ」
中野「この悪天候を走りきったな〜糸川さんすごいぜ!」
唯コーチ「私もそう思います!」
糸川さん「ありがとう!みんな」
石原さん「このチームはハチャメチャじゃがいいチームじゃのう!」「次が楽しみじゃ!」
うみが近づいてきた石原さんに聞きました。
うみ「他の人はどうしました?」
石原さん「嘉栗は神出鬼没で変なやつじゃから、もうおらん。たぶん次の夢の島トライアスロンに来るぞ!パワーアップしてなっ!フフフッ」
中野「おっなんだか大魔王みたいで、わっくわくするやつだな」
うみ「やってやろうぜ!」
一同「おーーー!!」
岬さんと大澤さんが近づいてきました。
大澤さん「この悪天候にかなりやられました。次はがんばります!」
岬さん「私もアクアスロンでは唯コーチに負けちゃったわ。」「次はがんばります。」
唯コーチ「夢の島トライアスロンでは、お互いにベストでがんばりましょう!」
岬さん「OK!」
西原さん「八王子はプライドが高いからもう帰ったぞ!しかしやつも今年は夢の島トライアスロンに出場するかもしれんぞ!」
練習会は終わり、みんながお互いを称賛し合う中、この日のレースじゃなく練習会はチームサウルスとその仲間たちにとって、忘れられない経験となりました。
レース後、みんなで集まり、今日のレースじゃなく練習会について話しました。
唯コーチ「今日は本当に素晴らしいレースだったね。みんなの頑張りに感動しました」と話し、特に「チームサウルス」のコーチとして成長を褒めました。
うみは、この日の経験から得たものが大きいと感じていました。
チームの仲間との絆、唯コーチへの深い尊敬、そしてトライアスロンに対する情熱が、うみの中でさらに強く燃え上がっていました。
つづく・・・