22.スポーツは道具も重要です

※この話は、実話をもとにしたフィクションであり、全てにおいてオリジナルな世界観になっています。よろしくお願いします。 

 

 

  ━━━━━本編━━━━━  

   蟹マスターズ大会 

  Bブロックも終了しました。

 

 

中野「Bブロックは、知らないチームが多かったな〜」

僕「僕達の知ってるチームは、見事にAブロックに集中したね!」

糸川さん「私達、負けちゃったけど沢山、得るものがありましたね。」

唯コーチ「私達は、良い経験しましたよ。」

僕「僕は、仲間の良さが、よくわかったよ。このチームなら、まだまだ色んな事が出来るって・・・」

糸川さん「そうですよ。最高のチームですよね!」「それに、このチームには、水泳日本一の唯コーチがいるし、空手日本一の中野さんまでいますから、まさに最強チームですね。」

中野「まあ、元日本一だけどな」

唯コーチは、笑っています。

  

実際、僕のチームは、それなりな成績しか出していないけど所属しているメンバーは日本トップクラスの人間が2人もいます。

僕は、このTeamサウルスに居る事で、色んな知識や技術、スポーツの楽しみ方を、知ることが出来ました。

僕は、このトップレベルの人と、熱い心を持ったメンバーと過ごす事が、誇りとなっていました。

 

のちに結婚に至る切っ掛けとなりました。

 

 

━━━Bブロック終了しました。

 

 

1位 Team外国人連合

2位 チーム最強!庶民

3位 ファルコンスポーツ

と、なりました。

 

1位の「Team外国人連合」は、名前通り外国人の集まりで結成したチームのようで、さすがにパワーが違い、Bブロック1位となったようです。

まあ、体格が違う。

 

 

中野「さすがに、人種の差があるよな。こんな田舎でも外国人だけの水泳コミュニティがあったんだな。」

僕「でも、全員が速かった訳じゃないから、そこに決勝戦で日本人に勝機があるだろうね。」

 

2位の「チーム最強!庶民」も、有志だけの寄せ集めみたいなチームだけど、庶民アスリートレベルで速い人がだけが集まったチームだと「Team外国人連合」とは、寸志の差しかなかった。

 

糸川さん「チームって体格やパワーだけじゃないんですね〜チームバランスが良いと、やっぱり速いですね。」

唯コーチ「チーム戦は、バランスですよ。チーム全体も良い影響を受けてモチベーション維持にもなりますよ。」

糸川さん「へぇ〜物は考えようですね〜」

唯コーチ「そうです!」

 

 

3位の「ファルコンスポーツ」は、さっぱり?無名なチームみたいで?泳ぎを見ても本当、素人スイマーの集団みたいです。

何故3位になったのか、わからないチームです。

チームの近くにあの怪しいスーツ姿の男性がいます。選手ではないようですが、特例でチームのところに入っているようです。

 

中野「そういえば、チームの「ファルコンスポーツ」に、あのさっきからプールサイドの隅にいたスーツ姿の兄ちゃんみたいなのがいるぞ?」「あれは誰だ?」

僕「しかも、チーム全員が上下の水着を着ているな??」

 

この頃の時代は、競技においても男性でも、上半身の水着を着ていても大丈夫でした。

全身水着です。

 

糸川さん「3位以下のチームも特別、遅かった訳ではなかったですよね?フォームも泳ぎもよかったですから・・・」

唯コーチ「たぶん?水着に秘密があるん?でしょうか?よくわからないです。」

 

普通に水着の生地面積が多いと、水の抵抗になりますが、この頃では素材がよくなり、鮫肌水着のような整流機能と撥水性が、上がり生地面積が増えていく傾向がありました。

ただ価格は高いです。

 

僕「なんだろね?あのファルコンスポーツってチームは?」

 

スーツを着た男性は今、チーム「ファルコンスポーツ」のところに居て、時々僕達をチラッチラッと見ています。

 

中野「お、おい!や、やばいぞ!あ、あいつこっちをみたぞ!!」

糸川さん「なんか水泳大会に、似つかわしい格好だから怪しく見えますね〜」

僕「そ、そうだね。」

唯コーチ「まっ大丈夫!大丈夫!」

中野「み、みんな帰りは気をつけるんだぞ!」

と言ってるうちに・・・

 

    ついに、決勝戦!

  

1レーン いるかスイミング

2レーン 鉄神51.5

3レーン チーム隼

4レーン Team外国人連合

5レーン チーム最強!庶民

6レーン ファルコンスポーツ

の、レースが開始されますが、僕達のチームは出場しておらず、このレースの模様は省略して結果だけ、お伝えします。

   

━━決勝戦が終わりました━━━

 この大会での最大の事件は、この大会後にありました。

 

ちなみに決勝戦結果は・・・

 

優勝   チーム隼

準優勝  いるかスイミング

3位   鉄神51.5

4位   チーム最強!庶民

5位   Team外国人連合

6位   ファルコンスポーツ

でした。

 

さすが、潮川さん率いる「チーム隼」は、速くて石塚さん率いる、いるかスイミングを抜いて優勝しました。

岬さん率いるトライアスロンチームも水泳単体ではないのに、3位という速さでした。

3位までは、あまり差がありませんでした。

 

「チーム最強!庶民」は、速い人のみを集めたチームで庶民といえど能力が高い為、4位でした。

「Team外国人連合」は、意外に5位で外国人と言えど速い日本人に技術負けといった感じでした。

当然、本当に速い外国人だけの集まりだと、上位に喰い込むのは間違いないのですが、ここは田舎の「蟹マスターズ水泳大会」。

こんなレベルの外国人チームでした。

 

でも、楽しかった様で、みんな笑顔でした。

 

6位のファルコンスポーツ。

泳ぎ方は悪いのに、この速さは水着のテクノロジーによるものでしょうか??ミステリアスです。

 

 

そして閉会式が終わり、蟹マスターズ水泳大会が終わりました。

 

 

僕達は、着替えの為に、プールから更衣室へ周りの人が引き上げで、混雑する中、ゆっくり歩いているとチラチラ、こちらを見ていたスーツ姿の男性がプール出入り口に立っていました。

 

他のチームの人は、そのまま通り過ぎて、ついに僕達の「Teamサウルス」が、通ろうとした瞬間。

 

スーツ男性「あっ皆さんお疲れ様でした。」と僕達に声を掛けてきました。

中野「ん?なんだ?」と中野が前に出ます。

僕と糸川さんに唯コーチも、動揺もせず振り向きます。
さすがです。 

スーツ男性「代表の方は、誰でしょうか?」とリーダーは誰か聞いてきました。

僕「あっ僕ですけど・・・」

スーツ男性「あっすみません。私、驚かすつもりはなかったのですが・・・」

中野「ん、みんな水着姿なのに1人だけスーツ姿だと、驚くよな。」「営業の人っすか?」

スーツ男性「いえ、私こういうものです。」と名刺を僕に渡してきた。

 

僕は名刺を手に取り見ました。

 

 

 

  株式会社ファルコンスポーツ 

  技術開発部 部長 
                       
  植田 亮一

 

 

僕「技術開発?」「あの全身水着の開発ですか?」

スーツ男性・植田「いいえ」「しかし、今は水着としての開発なんですが、正式にはトライアスロンスーツの開発なんです。」

僕「へぇ〜、だから上半身まで水着になってるの使っているのか〜」

スーツ男性・植田「水泳よりも、トライアスロンの方が、道具に頼る機会が多くランニングシューズの開発をしていたので、次はまた自社製品で、ウェアーで勝てる物を作ろうと思いました。

成績が、良いと名が知れ渡るし売る時に助かるので、開発テストを兼ねて水泳素人の社員が出場していました。

うちは無名のスポーツメーカーなので。」

植田さんは、見た感じセールスマンのようで髪は七三にキッチリ分けた、カッチカチな感じの人です。

 

スーツ男性・植田「私、堅苦しい格好していますが、じつは技術者なんです。営業ではありません。」

中野「技術者?!物を作っている方?」

スーツ男性・植田「そうなんです。よくセールスマンと間違われます。」「私は物は売りません。」

中野「ほほう。」と、ニヤッとする。「しかし、何だか面白そうだな。道具だけで勝つなんて、出来るのか?」

糸川さん「あの〜トライアスロンスーツってなんですか?」

唯コーチ「トライアスロン用のウェアーの事ですよね?たしか?」

スーツ男性・植田「そのとおりです。トライスーツと言いまして、皆さん試合を見て、わかったと思いますが、この大会の成績が試作スーツの成果です。」

唯コーチ「えっま、まさか全員ほんとに素人なんですかっ!?成績よかったですよ!」

スーツ男性・植田「そうです。素人です。」「今回は、水着としての開発でしたが、なかなかの結果がでました。」

中野「まあ、水泳と言ったら水着と帽子とゴーグルしか道具に頼るところないからな。あとは技術しかないしな〜」

スーツ男性・植田「いちおう、この研究の為に、彼らもそこそこ練習はしましたから、ある程度技術もありますが、やはり水泳は素人です。」

 

糸川さん「どんなトライスーツの開発なんですか?」

スーツ男性・植田「うちには、世間には知られてないのですが、超高性能コンピューターがありまして、数値上では世界一です。」

僕「えっほんと?そんなのが無名な企業にあるものなんかな。」

スーツ男性・植田「うちは、天才集団なので開発しました。」

中野「まさに、漫画のようだな・・」と腕組しながら言いました。

 

スーツ男性・植田「うちは実験解析により、曲線技術で水の抵抗と流水性能技術を飛躍的に向上させる事に成功しました。

それプラス、うちの開発した特殊生地を使用して試験的にトライスーツを作ってみました。ちなみに今回のスーツにチャックなどの金具は付いてません。」

糸川さん「あのチーム、ファルコンスポーツの人達の水着がそうですか?」

中野「そういえば、曲線がカットのところにあるような感じがするな。」

 

 

チーム、ファルコンスポーツの水着は上半身は、タンクトップになっていて、下は短い20cmくらいの股下丈のワンピース型でした。

 

スーツ男性・植田「じつは、微妙にカットの部分を曲線に切ってありまして、タンクトップの部分も真っ直ぐには切っておらず角度○度にする事により・・@#$%%%@#・・・」と、植田さんは難しい理論を語りだした。

とにかく、この特殊水着のカットは、特殊生地と特殊カットとのセットにする事により、世界に類を見ない水の抵抗と流水性能を発揮する事を、説明していました。

あまりに、難しい説明はカットします。

みんな理解は出来ていない様子でした。

僕もさっぱり理解できません。

 

凄い物だと言うのは大会の成績で、わかりチーム全員が関心した様子です。

 

スーツ男性・植田「結果は、この大会の成績を見た通りです。」

唯コーチ「確かに凄いですね。あの泳ぎで決勝6位は、凄いです。」

僕「そんなに凄いの?」

唯コーチ「たぶん普通の競泳用水着だと最下位あたりになると思います。

僕「えっ?!ほんと?」

スーツ男性・植田「しかも、あのスーツは、空気中の整流性能も良いので、空力抵抗も劇的に減らしてくれます。」「現地点で流水性能も空力性能も、数値上は世界一です。ついでに、体温調整性能も数値上は世界一です。」

中野「なに〜まじか!?陸でも効果大なのか?!」

 

スーツ男性・植田「なので水陸両用のトライスーツなのです。」
指を立てて
「一般のトライスーツよりも露出度は、多めですが効果は絶大なのです。」

糸川さん「何だか、面白そうですね。」

スーツ男性・植田「予定では、男女ともワンピース型か、ツーピース型で上半身がタンクトップで下半身がビキニタイプにしようとしてます。」

僕「ビキニタイプなんですか?」

 

スーツ男性・植田「そうです。この方が、沢山曲線を作れますので技術的に丁度いいし、製品としてトライアスロンウエアで、タンクトップとビキニタイプの2ピースで発売すると、タンクトップとビキニのツーピース型は現在でも、それなりに使用されてますが、ハーフスパッツ型が技術的に有利面で増えてる中で、ビキニ型で勝負出来るので上手くいくと、かなりの利益になります。それに目立ちますからね。」

 

唯コーチ「周りがスパッツ型が増えてきているのに対して反対をするってことですね。確かに面白そうです。」

 

周りの人達が、更衣室にほとんど行ってしまい少なくなってきました。

 

中野「しかし、なんで俺達に声掛けたんだ??」

スーツ男性・植田「そうです。そのことなんです。私、このウエアーを提供して活躍出来る一般の実力ありそうなチームを探していたんですよ。」

糸川さん「もしかして、私達??」と自分に指を指す。

 

スーツ男性・植田「そういうことです。私が今まで色んなチームを見て、この人達ならイケると思いまして、スポーツ用品のスポンサーになりたくて声を掛けた次第です。」

スーツ男性・植田「いちおう私共にも、全国的にヒットしてる商品がありまして、ランニングシューズなんですが、有名な大手会社のミズキスポーツRから出てるファルコンウェーブ3がそれです。」

中野「えっ!あのファルコンウェーブ3?」

スーツ男性・植田「あれは、うちの製品で大手のミズキスポーツRから出してもらってまして、その収益で今の開発をしています。資金には、余裕があります。」

 

 

ファルコンウェーブ3は、今や世界の金メダリストランナーが、使用している世界最高峰シューズである。

ミズキスポーツRは、日本で有名な大手スポーツメーカーで、ファルコンスポーツは下請けではなく、ミズキスポーツからファルコンウェーブ3を出したいとのことで、ファルコンスポーツから提供して発売しているOEMとの事らしい。(OEMは、製造会社が他社の製品を製造する。)

  

スーツ男性・植田「うちは、天才集団の会社なので、もっと凄い技術を持っていまして、今開発しているトライスーツは自信作で完全自社製品で発売する予定です。」

 

植田さんは、ビジネス的な話を始めましたが、凄すぎてみんな理解できず省略します・・・

 

スーツ男性・植田「どうでしょう?リーダーの海さん?私達の製品を使って大会へ出てもらっても良いでしょうか?無償で提供させてもらいます。」「うちの会社は人数が少ないし、チーム「ファルコンスポーツ」は、開発側に回りたいので、お願いしたいのです。」

 

中野「いい話だけど大丈夫か?」

僕「そうだね。」

糸川さん「すぐ決断するのはどうなのかな?」

唯コーチ「そうですね。でも、面白そう。」

スーツ男性・植田「ちなみにトライスーツの発売の際には、ポスターに載せさせて頂きます。」

僕「なんか話が大きくなったな・・でも、僕達はトライアスロンはしていないしするかは、わかりませんよ。」

スーツ男性・植田「そうですか?おしいな〜でも、トライアスロンチームの方と親しい感じでしたよ。」

僕「誘われたんですが、僕達は誰もトライアスロンをした事がないし、返事もしてないんですよ。」

スーツ男性・植田「そうですか。でも先にチームが決まってしまうと、商品提供が出来なくなってしまいます。」

 

スーツ男性・植田は、黙ったままカチッとした姿勢で立って待ってます。

 

僕「じゃあ、少し考えさせてくれないかな?みんなで話してみるよ。また、何かの大会に出ようと話していたところなので。」

スーツ男性・植田「大丈夫です。また、都合良ければ、その名刺の電話番号に連絡を下さい。」「質問も、いつでも大丈夫です。」「よろしくお願いします。」と言いスーツ男性・植田さんはチーム、ファルコンスポーツのメンバーと更衣室へ帰っていきました。

 

 

僕達は、更衣室内が混雑している為、プールの出入り口で話をしながら待つことにしました。

 

僕達は、不思議なスーツ姿の植田さんとの、出合いに好奇心を持ちながら、しばらくしてから更衣室へ向かい会場をあとにするのでした。

 

つづく・・・

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