17.自分を成長させるにはライバルが必要

※この話は、実話を元にしたフィクションです。よろしくお願いします。

    ━━本編━━

水泳大会も、終盤。個人種目のクロールとチームメドレーです。

現在は、クロール男性500mの競技中。

僕はプールサイドを歩いて自分の結果を見に掲示板を見にいきました。

僕「おっ!平泳ぎ500mは・・・えーと?」 

3位 海 男性500m6名中3位 

8分30秒12

おっ!出てる出てるリザルト。

やったー!と、言っても出場人数が少ない大会なので、順位はわかってたんですけどね。

何の大会でも順位がよいと気分もいいものでした。

まあ、別に水泳で仕事してる訳でもないし、オリンピック目指す訳でもない一般的な競技者なので、その大会で順位が良ければいいのです。

練習をする時も、やりすぎは良くないとも、同じ競技者仲間から言われていました。

特に、練習しすぎは家庭崩壊も招きますからね。

競技と家庭両立が大事なのです。

話を戻して、そこへ中野と糸川さん、唯コーチも来ました。

中野「海さん、どう出てた?リザルト」

糸川さん「あっ!出てるね!海さんいいね〜私のは背泳ぎ100m。」と、糸川さんは、自分のリザルトを見ています。

唯コーチ「海さん、お見事です!」

僕「ありがとう!唯コーチ。」

僕は、リザルト記録を見てる糸川さんを見て

僕「糸川さん」「糸川さんの進歩は凄いよ。人生初の競技大会で泳ぎ切ったから、次に必ず繋がるよ。」

糸川さん「海さん、私大丈夫ですよ。ドベだけど、次のチームメドレーが楽しみになってきました。」

唯コーチ「糸川さん、チームメドレーがんばりましょう!」

唯コーチ「それに糸川さんは、少ない練習期間でだいぶ成長しましたから、次に個人種目出場したら、きっとランキング上がりますよ。チームで練習すると、更に上達しやすいですよ。」

僕「さすが唯コーチ!」

糸川さん「ありがとうございます。」

中野「俺は、やばいよな・・ドベだぜ!」

僕「中野もバタフライの上達スピードは、早いから次はいけるよ。」

唯コーチ「そうですよ。」

糸川さん「中野さん、練習の時より速かったから、次のチームメドレーはいけますよ。」

中野「みんな勘違いしないでほしい。」と右手を握りしめて「俺は空手で日本一を取った男だぜ!」

一同、固まる。

中野「こういう状況下は燃えるのさ!!次のチームメドレーが楽しみだせ!」 

糸川さん「さすが中野さん。凄い!」

僕「さすが中野だな」

唯コーチ「日本チャンピオンですからね!」

中野「このチームは海さんリーダーだ。メドレーでは、海さんに恥は、かかせないよ。」右手で親指を立ててグーとする。

中野「おっしゃ、みんな行くぞ〜」

僕「なんか、みんなにプレッシャーになる発言だな。」

僕は、みんなを見ると・・糸川さん「はーい」両手を上げている。

唯コーチ「ハーイ!」こちらも両手を上げている。

僕「結構盛り上がっているな〜」

そこに、女性が僕らの近くのリザルト記録を、見に近づいてきました。

女性「えーと、えーと」

僕は、女性と目が会いました。

僕「・・・ん?」

それは、スイミングクラブの自由コースで練習していたトライアスロン優勝者の女性でした。

僕「あっこんにちは」と挨拶をしました。

女性「ん?」しばらく沈黙が続く。

僕「誰か、わかりますか?」

女性「すみません。わからないです。」

僕「・・・」

中野と糸川さんも女性に気づきました。

僕「あっすみません。僕は、スイミングクラブに通っている者です。」

女性「なるほど、あそこのスイミングクラブの会員さんですね。」「ごめんない。私ただ練習に行ってるだけだから中の人まで把握してないです。」

僕「ああ、なるほどね。」

女性「色んな人から、よく声も掛けられちゃうんで、誰が誰だからわかりにくいんで。ごめんなさい。」

この女性は、地元のトライアスロン大会のテレビ放送でよくテレビに出ていて知名度がありました。なんせよく女性優勝している凄い人なので・・・

唯コーチが、こちらを向きます。

唯コーチ「こんにちは、岬さんお世話になってます。」

女性 岬「ああ、スイミングクラブのコーチしてる人ですね。」「スイミングクラブで来ているんですか?」

唯コーチ「いえ、プライベートで来ているんですよ。」

岬「コーチは競技とかするんですね。他のコーチは、ただ働いているだけという感じで・・」「まさか、スイミングクラブのコーチに、ここで会うとは思わなかったので、びっくりしました。」

唯コーチ「競技は終わったんですか?」

岬「いえ、あと個人種目でクロール700mに出ます。トライアスロンの練習ついでに、ここの水泳大会で一番長い距離の700mにエントリーしました。」「この大会は気楽に出られて良い大会です。」

唯コーチ「そうなんですか。頑張ってくださいね!私も出場種目クロール700mなので同じですね!よろしくお願いします。」

女性「ああ、コーチも同じなんですね。まあ、お互い頑張りましょう。」といって女性のチームの方に目をやって「それでは私は・・」と軽く会釈をして向こうにいるチームの方へ行きました。

中野「あの人、なかなかいい成績だな。前回背泳ぎ200m1位か・・・タイムは2分8秒58。劇的な速さだ。」

僕も糸川さんも中野も、沈黙しました。

─女子クロール50m 競技開始です─

 プールでは競技が始まりました。唯コーチは、短パンを履いて柔軟体操を始めました。

糸川さんは、唯コーチの近くで座って見てます。

僕と中野は、少し離れたところにいます。

中野「唯コーチの番が近づいてるな。」

僕「唯コーチの、泳ぎが凄いのは僕達、チームみんなが知ってるけど、唯コーチの練習は、僕らとしかしてないはずだよね。練習不足だよね。」

中野「まあ・・勝とうとは思ってないんじゃないかな?・・・さすがに高校卒業してから選手してないから現役選手には勝てないよな。」

僕「そうだね。でも、以前にプールで学生選手に圧勝したよね。しかも男の選手相手に勝っちゃったな。」

中野「そういえば、そんなことあったな・・・うーん」「まあ〜俺たちと一緒だから勝つとか負けるとかじゃないと思うよ。」

僕「そうだよね。」

中野「だが・・俺も元日本チャンピオンだが、俺の視点ではこういうのは燃えるかな・・1本取りまーす。」「という感じです!」

僕「相手はトライアスロン優勝者で水泳優勝者ではないからね。」

中野「まあ、他の選手もいるから勝負になるかは、わからないけど水泳チャンピオン対トライアスロンチャンピオンということだな。」と、二人で暇つぶしに話してました。

糸川さんが、こちらに来ました。

糸川さん「唯コーチ大丈夫かな?」

僕「大丈夫だよ。勝つとか負けるじゃなくて、次に繋がる泳ぎが出来るか出来ないかだよね。」

中野「そうそう、俺も糸川さんも次のチームメドレーで本領発揮!次回の大会出場に繋げようよ。」と親指を立ててグーのポーズを糸川さんにします。

糸川さん「そうですね!」「でも唯コーチ。プレッシャーになってないかな?」

中野「なってるかも知れないけど、わかってると思うよ。」

僕「大丈夫!大丈夫!」

糸川さんは、少し安心した様子です。

僕「ほんといいチームになったね!」「よっし!唯コーチと一緒に、みんなで柔軟体操するでぇ〜」

中野と糸川さん「よ〜し!」と立ち上がって唯コーチのところに行きました。

僕「唯コーチ!みんなで一緒に柔軟体操しようよ。」

唯コーチ「はい!いいですよ〜」と、言ってチームで「いっち、にっ、さんっ、しっ、ごー、ろく、ひち、はちっ!」と体操を始めました。

周りの競技者達が、ジロジロ見ている人もいます。

目立ってます。

─女性 クロール700m─

アナウンス「えーまもなく女性のクロール700mを始めますので、お集まりください。」

唯コーチ「いよっし!」と座っていた唯コーチが勢いよく立ち上がります。

中野「いよっ!出番がきやしたぜ!」

僕「次に繋がる泳ぎでね!」

糸川さん「頑張って唯コーチ!」

唯コーチは、羽織っていたパーカーと短パンを脱いで「いっちょやりますか〜!」とガッツポーツをします。

中野「ファイトー!」

僕「ファイヤ〜!」

糸川さん「がんばって〜!」

唯コーチは、左手のひらを広げて「みんな見てて下さいね!」「私の泳ぎ!」

僕「みんなで見てるよ。チームだからね!」

中野「俺も見てるよ!」親指立ててグーとします。

糸川さん「私も見てます!私達のコーチですから。」

唯コーチは意気揚々と集合場所に歩いて行きました。

僕は、唯コーチをじっと見つめています。

 そして、各飛び込み台に並びに行きます。

順番に名前を呼ばれます・・・

第1レーン 〇〇 選手

第2レーン △△ 選手

第3レーン 速水唯 選手

第4レーン 石塚静 選手 

第5レーン □□ 選手

第6レーン 岬智子 選手

読み上げが終わりました。

隣チームの女性1人が「石塚さん今年も1位になるのかな?」

隣チームの男性「石塚さん速いよね。」

隣チームの女性「でも、今年はトライアスロンで優勝している岬さんが出てるわよ。」

隣チームの男性「岬さんも速いらしいね。」「まあ、所詮トライアスロンだから水泳単体のレースでは石塚さんが速いと思うよ。」

隣チームの女性「石塚さんVS岬さんって感じね。」

僕「なんか速いの他にいるみたいだよ。」

中野「かんけーなし!自分の力を出し切るのみっす!」

糸川さん「唯コーチ!私達が付いてるからね〜!」

1レーン、2レーン、5レーンは黒色の膝まであるスパッツ型の競泳用水着です。

3レーンの唯コーチは、ターコイズ色のハイレグカット型の競泳用水着。

4レーンの石塚さんは、黒色の膝まであるスパッツ型競泳用水着。

6レーンの岬さんは、紫色のかなり高めのハイレグカット型の競泳用水着です。

この頃の水着は、スパッツ型とハイレグカット型は半々くらいでした。

─女性700mクロールは、全員飛び込みスタートです。

唯コーチは、ゴーグルを目に付け臨戦態勢です。

石塚選手も、ゴーグルを付けて飛び込み体制です。体つきも大きく速そうです。

岬選手も、ゴーグルを付けて飛び込み準備に入ります。

位置に付きます。

3人の争いになるか。それとも○選手△選手□選手が、出てくるか・・・

つづく・・・

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